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契約

私はルイと会って2回目になる。

「あんたはこうやって色んな女と会って遊んでるのかしら?」

私はルイに聞いた。

「そうだ。俺は恋なんてしない。体だけの関係で十分なんだ。」

「それなら私もそのうち満足するまでやって、ようがなくなったら捨てるってわけね。」

「そうだ。それくらいの方が良いだろ。お互い詮索するよりずっとましだ。」

ルイはかなりの女好きで絶倫だ。しかし彼にはパートナーがいないし今後パートナーを作ることもない。彼は何回か一夜限りの経験も体験したことがある。パートナーや子供を持って生きるよりかは欲望に忠実になって生きるタイプの人間だ。

「私もこれで最後なのかしら?」 

「何でそんなことを聞くんだ?」

「私は旦那とすることに楽しいと感じたことがないの。一夜限りでも相手を満足させる能力あなたの方がマシね。夫は主導権は全部自分だしそんなに上手くないのよ。あなたの方がずっとテクニックがあるわね。」

「満足してくれたなら良かった。これは割り切った関係だ分かってくれ。」

「だけど私のことをもっと満たして欲しい。だから私の情夫になってくれないかしら?」

「情夫?」

「そうよ。1回850フランでどうかしら?」

ルイは少し無言になった。

「何を悩んでるのかしら?もっとお金をあげた方が良いのかしら?」

「悪くない。その契約でお前に会ってやる。」

「契約成立ね。それと私の専属の情夫になるわけだから他の女と寝る時は私の許可を必ず通して。」

「分かった。」

「もちろん会ってはいけないと私が思ったら絶対に会わないでちょうだい。あ、そうね。専属の情夫になるわけだから今度は私の屋敷に来てよ。」

「旦那は大丈夫なのか?義両親と暮らしてるって聞いてたけど。」

「旦那がいない間にするのよ。あなた特別に仕事してるわけじゃないでしょ。こんなに美味しい話しないと思うわ。多少はリスクを踏むべきよ。」

「メイドもいるだろ。面倒臭いことになるぞ。」

「ルイ、あんたは意外に心配性なところがあるのね。私の指示に従えば確実よ。」

ルイと私は服を着た。

「今度またよろしく。私を満足させてちょうだい。」

私はルイとキスをした。数秒間ずっと。満足する時間だ。私が先にホテルに出て。ルイが数秒経ってホテルに出た。車で屋敷まで行く。

「おかえりなさいませ、奥様。」

ポレットが私の荷物を運んでくれた。

「今日もありがとう。私からも話があるのよ。」

「どう言った話ですか?」

「私、情夫が出来たの。お金で雇ったわ。」

「それは良かったですね。相手はどんな感じの人なんですか?」

「175cmくらいで黒髪で女好きな男よ。でもステファンとは大違いよ。女性を満足させる能力のある色男よ。ポレットもそんな男と体験したことあるかしら?」

「残念ながら私はメイドの仕事に熱中してましたのでそんなことは一切したことはありません。」

「あらそう。あなたにもぜひ幸せになって欲しいわ。」

「私のことは気にしなくて良いんです。私は奥様が幸せならそれで良いんです。」

「それで頼みがあるけどうちには他にメイド2人と義両親がいるの。情夫を連れ込むのにはかなりスリルがある環境よ。だからその時は屋敷をよく見張っててくれないかしら?」

「かしこまりました。任せてください。」

「特に義母のニコルは鋭いし誤魔化しが利かないから要注意人物ね。」

「ちゃんと監視しておきますので。」

旦那が帰って来て全員で夕ご飯を食べる。旦那の知り合いの養子縁組事務所の人も一緒に夕飯を食べる。

「エリーズ、シャルドネちょうだい。」

「私はアリゴテで。」

エリーズが全員のグラスにワインを注ぐ。

「たくさん食べてください。」

トランティニャン家の客人への料理はいつも豪勢だ。

「養子縁組の話は後でにしよう。今は夕食を楽しんで。」

「そう言えば、オディール!後で一曲弾いてくれないか?」

「分かったわ。」

この屋敷でピアノが弾けるのは私だけだ。私は小さい頃からピアノとヴァイオリンを習っていた。今でもピアノもヴァイオリンも弾ける。ピアノを弾く時は旦那は私に興味を向ける。

「そうだな。娘や息子がが出来たらピアノとか習わせたい。」

「お前もちゃんと弾ければ良かったのにな。」

義父のアランが言った。

「俺は英語とか他のところで才能を開花させたんだ。ピアノは仕事に直結しないし、意味あることに時間をかけるんだ。」

ステファンは小さい頃から要領が良い人間で壁にぶつかっても難なく越えてしまう。

「お皿をお下げ致します。」

夕食が終わると客間で養子縁組についての話になった。

「これが今養父母を必要としてる子供達です。」

リストを旦那と義両親と一緒に確認した。

「跡取りは男の方が良いんじゃないか?」

「私は娘の方が欲しいわ。」

「息子がいた方が良いんじゃないか?」

「娘の方が良いわ。」

リストを全部確認したが納得行く答えが出なかったため、また後日養子縁組事務所の人が来ることになった。

「それにしても養子に黒人とかアラブ系の子がいるなんて驚いたわ。」

ニコルは言った。

「それはトランティニャン家にふさわしくないな。」

義両親は移民に対してかなり良いイメージがない。

「ミッテラン政権が移民に権利を与えすぎている。フランスは悲惨な未来をたどる。移民は反対だ。」

アランが言った。

「そう言えば、フランソワ・ミッテランはアクション・フランセーズに入ってた噂も聞いたことあるわ。どうやらもともとの右翼が社会党の左翼になったわけね。」

「とにかく移民のルーツがある養子は我家系の崩壊を意味する絶対に反対だ。」

義両親から許されるのはフランス人かアングロサクソン系の子供だ。

「父さんと母さんの言う通り、俺も移民系の子供は反対だ。中華系の連中も駄目だ。」

私はどんなルーツの子供でも気にしない。

「私は娘が欲しいわ。」

「子供は2人くらい欲しいな。もう1人は息子で良いな。」

「それなら娘が二人のほうが良いわ。たまには私の意見も聞いたほうが良いと思うわ。」

「それなら養女2人を迎え入れるか。父さん母さん、どんな子を選ぶは俺とオディールに決めさせてくれ。移民の子供だけは養子にしないことは約束する。俺もそれは反対だから。」

「分かったわ。ステファン、くれぐれも間違った選択をしないで。」

「大丈夫だから安心して。」

義母ニコルとステファンは抱きしめ合った。さらにアランとも抱きしめ合った。

「オディール、本当に娘二人で良いのか?」

「私、男の子は欲しくないのよ。育てるなら女の子のほうが良いわ。」

「分かった。それは君に付き合うよ。」

旦那は私に抱きついた。そしてキスをする。だけどルイのキスを体験したからどこか旦那のキスは満足しない。

「どうしたんだ?何かあったのか?」

「特に何もないわ。」

「そう言えばこの前、何でエリーズと取っ組み合いの喧嘩なんてしたんだ?親父から聞いたぞ。」

「それは彼女がいきなり攻撃したのよ。私は正当防衛なのよ。」

「君が何か嫌なことでも言ったんじゃないか?エリーズがそんな行動に出ると思えない。」

「私は何も言ってないのよ。」

「マグロ女って酷いことを言ったって聞いたぞ。いくら何でも彼女に失礼なんじゃないか?」

「そうだけど。私は何も悪くないわ。」

「エリーズの扱いに気をつけてくれ。」

「あなたはエリーズの味方なのね。妻である私はどうでも良いわけね。」

「そんなこと言ってないだろう。」

お互い大声で口論し合う。

「さっきから私のことを責めてるけど、あなたもこの女と写ってる写真どう言うことかしら?」

旦那のスーツから見つけた写真を見せた。

「それは…」

「最初から覚悟はしてたけど、ついにこの時が来るとはね。」

「離婚だけはやめてくれ。オディール愛してるんだ!頼む!その女とはただの火遊びなんだ。」

ステファンは焦っている様子だった。

「君を愛してる!」

私を失いたくないようだった。

「別に良いのよ。あなたはとても魅力な男だから女の1人や2人くらい寄ってくるのは覚悟してたわ。そんなんで私は離婚しないわ。その代わり私とエリーズの関係に詮索しないで。これで全てチャラよ。」

「分かった。君がエリーズと取っ組み合いの喧嘩してたことは責めないよ。もう詮索しない。」

私は旦那が外で女と不倫しようがどうでも良い。お金さえ貢いでくれればそれで良い。

「オディール、愛してる。」

いつものように彼の横で寝た。そして日が過ぎて朝になった。

「奥様、お出かけですか?」

「そうよ。これからベルクール広場に行くの。たまにはそう言うところで気晴らしも良いでしょ。」

「そうですね。奥様が出ていった方が楽しく作業できるので散策楽しんでください。」

エリーズは急かすように言った。

「奥様、行ってらっしゃいませ。屋敷のことは私達3人に任せてください。」

私はドアを閉めて、車に乗ってベルクール広場に向かった。広場に着くと人でにぎわっていてギターを演奏してる人もいた。

「良い景観ね。」

私は周辺を見渡した。

「もしかして。」

私は絵を描いてるベルナールを見つけた。

「ベルナール!」

走ってベルナールの所に来た。

「もしかしてこの前絵を購入してくれた方ですか?」

「そうよ。」

「先日は購入してくれてありがとうございます。」

「お礼はもう十分よ。ここで何してるの?」

「絵を描いてるんです。色んな場所で描くから意味があるんです。」

「何をイメージして描いてるのかしら?」

「リンゴなのに梨の人生を歩むリンゴを描いているんです。」

「相変わらず不思議な絵を描くのね。」

「不思議って具体的にどこが不思議ですか?」

「あなたの考えてる事、感性、物事の捉え方、あなたという個体、全てが不思議なのよ。」

「逆に人の全てを分かる人間なんていません。」

「ベルナール、電話番号教えてくれないかしら?」

「何故ですか?あなたのような女性が僕に何のようですか?」

「あんたと連絡取りたいの。もっと知りたいのよ。」

彼がとても気になる。ドキドキする。ルイに対する気持ちとも違う。でもいつか彼と触れ合う時が来て欲しい。

「電話番号はこちらです。」

ベルナールはメモを渡した。

「今度電話するわ。あとポストカードもちょうだい。」

彼のポストカードも数枚買った。

「また今度ね。ギャラリーあったら教えて。」

私はベルクール広場を離れようとするとホームレスの女性と目が合った。何かが欲しいような仕草をしていたが、私は彼女がどうなろうがどうでも良い。私に彼女を助ける理由なんてない。ルイ14世の銅像が建っていた。その銅像がホームレスの女性と土木作業員の男性の姿を見ているようだった。

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