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発見

朝方、旦那と裸で体を重ね合わせる。それぞれの香水の匂いをお互いに当てた。

「その香水、シャネルの香水だな。」

「あなたのはイタリアで買ったものね。」

「俺は君に合う香水しか買わない。」

私が持っている香水は全て旦那の金で買ったものだ。私の香水の好みはシプレやウッディ系が好みだ。ただ持っているのはほとんどオ・ド・トワレだ。旦那が私の体に求めてるのは女性らしいフローラル系のパルファムだ。旦那してる香水は私の好みではない。彼の選ぶ香水はオリエンタルタイプのものであまり私の好みではない。

「ステファン、香水を変えるつもりはないのかしら?」

「ない。俺はずっとこのタイプの香水をするつもりだ。」

彼は意見をねじ曲げることはない。

「オディール、愛してる。離さないからな。」

「ステファン。」

目の前にはステファンが見えて、彼の匂いが伝わっているはずなのに寝室に新しく飾った絵が頭の中に出て来る。あの絵はどんな香りがする絵なのか気になりだす。ついにはあの絵を男の香りまで考えてしまう。ステファンの匂いと絵画のことで頭がぐるぐると回る。頭の中では私は絵を抱いている。しかし本当に抱いているのは裸になったステファン。今する香りもステファンの匂いだ。

「オディール、こっちを向いて。」

私が他のところを向いてるのに彼は気がついた。今は彼だけを見ないといけない。1人の妻として。

「いきそうだ。良いぞ!オディール!」

彼は獣のように声を響かせた。1分間の間に。普段はエリートで紳士的でもベットの上に乗ってしまえば獣のような男に変貌してしまう。世の中綺麗に着飾ってる上流階級の男も女も欲がむき出しの獣だ。それなら私も獣の1人だ。旦那のお金で良いドレスで着飾っているのだから。

「君とは離れたくないけど、もう行かないといけない。」

旦那はそう言って服を着替えた。整ったスーツにちゃんと着替えた。そして寝室を出る。旦那がいなくなった後私はギャラリーで手に入れた絵の方に行った。また絵を見つめる。特に自由に飛び交う鳥たちを。よく見ると鳥がところどころ描いてある。分かりやすい鳥の絵と馴染みすぎてる鳥の絵だ。屋敷の窓にいる女の顔はよく見えない。適当に描いたのかそれとも誰かモデルがいるのかとても気になる。絵を見ているだけなのに心臓が鼓動する速さが少しばかり速くなる。こんな気持ちはいったい何だろうか。ギャラリーで絵画を手に入れた時と同じような気持ちだ。症状が治まることはない。私はどうかしてしまったのだろうか?ステファンの前ではそんなこと感じたこと無かった気持ちだ。あのギャラリーに行った時から私は変な気持ちに襲われた。答えが出ない症状が続いて、頭が混乱するような気持ちが常に反芻した。

「奥様どうされましたか?」

「絵を眺めていただけよ。」

「奥様は相当この作品が好きなんですね。」

「好きというか何だか不思議な気持ちになるのよ。今まで感じたこともない不思議な気持ちよ。そう言えば、ポレットは何でずっとトランティニャン家のメイドなのかしら?」

「私は小さい頃に両親を殺されたんです。祖父は2人とも第二次世界大戦で戦死、父方の祖母は自殺、母方の祖母は母が生まれる時に亡くなったんです。もちろん小さい時は良い仕事につくことにあこがれを持ってましたわ。だけど誰も私を引き取る人はいませんでした。その時、私はトランティニャン家の門の所までいたんです。とにかく私は助けを求めていたんです。その時に彼らは私のもとに来て私を引き取ろうとしたんです。そこで私はメイドになろうと決めたんです。」

「その話ははじめて聞いたわ。旦那からも聞いたことないから。」

「最初はすごい不慣れな仕事でした。ろくに夕食の準備も出来ませんでしたし。だけど私が生き残れる所はここしかないって思ったんです。結婚も望めるような環境ではなかったですから。しかしメイドとしての役割を果たしていくうちにこの仕事に誇りを持つようになったんです。」

「メイドとして命をかけてるわけね。あなたの志は素晴らしいわ。褒めてあげる。最近旦那はエリーズばっかりひいきしてたり、義両親は偉そうな態度とってるでしょ。私はあなたのことを見てるわ。」

「奥様…」

「あなたは他のメイドより信用性があるのよ。たまには強気な態度で出ても良いのよ。」

「特に奥様には感謝しています。」

私は特別なことをポレットにしてないのに感謝される理由が何も思い当たらなかった。

「これから寝室の掃除に入ります。もちろん絵が傷つかないようにしますのでご安心ください。」

私は寝室の隣の旦那の服が保管されてる部屋に入った。きちんと整頓されている。昨日旦那が着ていたスーツの所に近づいた。何か匂いがする。近づいて匂いをかぐと旦那がいつもしないような匂いが広がった。他にも旦那の他のスーツのポケットを確認した。中には誰か知らない女と撮った写真が入っていた。そうなると旦那らしくない匂いも説明がつく。旦那には外に女がいるに違いない。だけど私は旦那のことを深く愛してるわけじゃないので怒りで燃える感情がいない。お金のために旦那と結婚生活を過ごしてるのだから、旦那が外で女がたくさんいるのは不思議ではない。最初から私はそのつもりでいた。旦那には愛人を満足させられるほどのお金がある。スーツの片隅を見たが他には怪しい所はなかった。

「奥様、これから部屋のお掃除に入ります。」

マリアが入って来た。

「分かったわ。書斎で読書してるわ。」

私は色んな本を読み漁る。中には不倫に溺れる男女をかいた小説も発見した。ドラマチックな恋は面白い。

「あら、こんな小説あったかしら?」

国籍不明の人が書いた小説だ。書斎はくまなく確認してるはずなのにこんな小説ははじめて見た。タイトルは「探し物」と言う小説だ。親に恵まれない少女の物語だ。だけど私がいる時代とは違う舞台に感じた。きっと未来を舞台にした小説だ。 

「この小説は後で読むわ。」

するとポレットが私のもとにやって来た。

「寝室の掃除と空き部屋の掃除が終わりました。」

「ありがとう。それよりあなたには頼みがあるのよ。」

「どんな頼みでしょうか?」

「私の頼みならどんな頼みも聞くよね?」

「もちろんです。」

「寝室の隣に旦那の服が保管されてる部屋があるでしょ。その部屋から旦那が他の女と写ってる写真を見つけたの。」

「ご主人様がこんなことを。」

彼女はかなり驚いていた。

「そんなに驚くことかしら?まあ良いわ。私の頼みは旦那が外にどれくらいの女がいるのか確かめて欲しいの。」

「今ので十分じゃないですか。奥様はご主人様と別れるつもりはないんですか?」

「ないのよ。あなたも知ってると思うけど私が旦那と結婚生活を送ってるのは金のためなのよ。それと外にどれくらい女がいるかは私の興味本位よ。嫉妬するような女だったら金持ちの妻としての役目は果たせないわ。だからこれを受け取って。」

私はポレットに小切手を渡した。

「貴重な情報を調べてちょうだい。」

「かしこまりました。奥様。」

ポレットは捜査をはじめた。いつもと違う服装で。

「私の車を使って良いわ。」

「お言葉に甘えて使わせて頂きます。」

その間、私は外の花を見ていた。ポレットが大事に水をあげた花々が元気に花を咲かせている。とても美しい。まるで絵の世界にいるように私は解放された気分だった。一匹の蜂が花に飛び交う。そしてその蜂は花にとまる。その様子を私はじっくりと見た。

「マリア、出かけてくるから。」

「いってらっしゃいませ、奥様。」

近くにあるレコード屋でレコードを探しに行った。センスの良い曲ばかり取り揃えている。

「この棚はいつの年代のもの?」

「60年代だ。フランス・ギャル、ミッシェル・ポルナレフあたりのレコードだ。」

「ミッシェル・ポルナレフなら「愛の願い」って曲が好きね。子供の時にどこかで消えたことがあるわ。」

「わしのおすすめはジルベール・ベコーやシャルル・アズナヴールとか曲がおすすめだ。」

店主はジルベール・ベコーの曲を口ずさんで歌った。

「私が探してるのは最近の曲よ。」

私はあちこち探し回る。

「これも悪くないわね。」

私はどんどんレコードを手に取る。

「決まったわ。ジャン・ルイ・ミュラ、エルザ・ランギーニ、アンドシンヌのレコードを買うわ。」

私はお金を支払った。少しくしゃくしゃになったフランのお札を渡された。私はたくさんのレコードを持って豪邸に戻った。

「おかえりなさいませ、奥様。」

マリアとエリーズが私の方を見て言った。私は書斎にあるレコードプレーヤーにレコードを取り付けた。そして音楽は鳴る。

私はコーヒーを入れて、部屋でゆっくり聞く。いつも聞いてる曲だ。音楽につられてポレットがやって来た。

「この曲はシルヴィー・バルタンの曲ですね。」

「そうよ。彼女の曲の中で一番好きな曲ね。他の曲はパットしない曲ばかりだけどこの曲は特別よ。」

「私は彼女の曲はどれも好きですわ。」

「そうだ、ポレット。今流してる曲に合わせて踊ってよ。あなたの踊ったところまだ見たことなかったわね。だから踊って。」

「かしこまりました。」

彼女は私の要求は何でも聞いてくれる。そして歌に合わせて踊る。

「良い踊りだわ。もっと踊って。」

ポレットの踊りと美味しいコーヒー、レコードプレーヤーから流れる音楽とかなり至福な時間だ。誰かがこっちに向かって来る足音がした。だんだん近くなって来る。そしてノックをする。

「ポレット、踊りながら開けてちょうだい。」

彼女が開けるとエリーズが出てきた。

「ポレット、何をしてるの?」

「音楽に合わせて踊ってるのよ。」

「踊ってないで、夕食の準備を一緒にして!」

「エリーズ、ムキにならないで。私がポレットに踊れって指示を出したのよ。彼女は私の命令に従っただけなのよ。あなたがとやかく言える立場ではない。ポレットのように信頼されたいのであれば私から信頼を勝ち取ることね。淫乱メイドさん。」

「とにかく、奥様の指示が終わったらすぐに夕食の準備を手伝って。分かった?」

エリーズはすごい剣幕で怒って、ドアを乱暴に閉めた。そして不機嫌そうに歩いてく。

「エリーズ、どうしたの?」

「マリアには関係ないことよ。」

「奥様とまた何かあったわけね。」

「そうよ。あの女顔なんて二度と見たくないくらいね。ご主人様とは正反対よ。」

ポレットも踊り終わって、キッチンで料理をした。

数日経つとポレットから報告があった。

「奥様、先日ご主人様のことで調べさせて頂きましたが、こちらが証拠の写真です。さらに驚くことに以前奥様が見せた写真とまた別の女性です。」

「よくやったわね。調べてくれてありがとう。他にも女がいるに違いないわね。引き続き旦那のことを調べてくれないかしら?」

「かしこまりました。他にも証拠を手に入れます。」

しばらくすると旦那がやって来た。

「ポレットと何してたんだ?」

「書斎の配置替えの相談をしてたのよ。」

「そうか。新しくレコードも買ったもんな。それより寝室に行こう。」

寝室にお互いの服がベットの下に落ちる。

「触れるな。」

たまに私が旦那に触れていけない日が出て来る。

「動くな。」

私は何も着てない状態で手足を紐で縛られている。そんな私を見て彼は自慰行為をしている。これもステファンが私に求める妻という役目だ。だけどこんなことばかりだと何も刺激がない。もっと刺激が欲しいと思い私は思い切った行動に出ようとした。

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