表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/158

生臭い焼き魚と呪いの王

 あれから数日、山吹の騎士団探しに進展はなく雨も降り続いていた。

 白雷は元気そのもので、たまに外に行っては雨雲を食べて帰ってきた。

 しかし、どうやら雲の中でも視界が利くようになったらしく、行ったきり暗くなっても戻ってこないというようなことは全くなくなった。呪いが解けた体をのびのびと楽しんでいるようだ。


 ニカは針仕事や料理にテントの掃除などをやりながら時間を潰している。

 忍は木工製品を作ったり、雨よけに大きなタープを立てるための支柱などを作っていた。

 千影は晴れの日には周囲の警戒と食料集め、薪集めをやってくれているのだが、雨の日は薪も濡れてしまうため、ずっと警戒だけをしている。

 昨日、話を聞いてしまった手前、こういうとき千影とできることがなにかないものか考えてしまう。

 忍はタープを張りに外に出る。


 「千影、手伝ってくれ。」


 『かしこまりました。』


 支柱を立てて回るとすぐに数羽の烏が飛んできて忍の指示通りに布を押さえてくれる。

 ものの数分でタープははり終わり、テントの前に焚き火の出来そうな空間ができた。

 テントの下にははじめから木の板を敷いてあるので簡単には浸水しないが、テントの前はぬかるんでドロドロだ。

 そのうち鍛冶屋で焚き火台のようなものを作ってもらってもいいかもしれない。

 今は石で作ったかまどに小さめの丸太を渡して、それに立てかけるように木を置いていく。

 火が高くなると布を焼いてしまうため、丸太の上には積み上げず、左右から少しづつ平たく薪を足していく。

 ちなみにテントの中に火鉢があるので、この火起こしは練習がてらやってみただけである。


 「千影、火の番をお願いしていいか。こうやって薪を少しづつ足すんだ。火が高くなると上の布が燃えるからな。」


 『承知しました。』


 魚を木の枝に刺して、石の間に立てて焼く、懐かしい魚の丸焼きだ。


 「しのぶさん、おなべでやかないの?ニカがやろっか?」


 「すまん、今日はこっちの気分なんだ。自分でやるから大丈夫。」


 ニカがテントに引っ込んだのを確認して、椅子にするのに手頃な丸木をだして焚き火を楽しむ。

 ニカのおかげで忍が家事系のことをする必要がなくなってますます自由時間が増えた。


 「千影、懐かしくないか?」


 『そうですね。』


 「これからも、たまにやろうな。」


 『仰せのままに。』


 千影は楽しんでくれているのかがいまいちわからない。

 この焚き火も楽しんでくれているのか、面倒がっているのか、虚無なのかよくわからない。

 この落ち着いた時間が忍としてはとても好きなのだが、趣味の押し付けになっていないかが不安だ。

 いや、考えるまい。


 『忍様、魚が食べごろです。』


 「あ、ああ、ありがとう。」


 もしゃもしゃと魚の身を食べる。

 ちょっと生臭い、塩も何もかかっていないとやはりうまくない、が、この味だ。

 最近は快適すぎて忘れていたが、野生では食うか食われるかだった。

 話し合いなんて言っていると先制攻撃でお陀仏だ、蛇に呑まれたのもちょっと緩んでいたかもしれない。

 ヘビに飲み込まれる前、体が動かせなくても魔法は放てたかもしれない、次からはもっと冷静に行動しなければ。

 木札に魔法陣を刻む、蛇の消化液で服と共にぼろぼろになってしまった分の補充だ。

 もちろん予備は二セットほど作ってあるが、新しくおろしたら追加を作っておかねばならない。

 【抗魔相殺】に至っては消耗していくから、いくら作っておいてもいいはずだ。


 「しのぶさん、テントのなかもしんすいしてきちゃったかも。どうしよう。」


 「テントは限界かもな。仕方ない、従魔車を出そう。広いところを探さないとな。」


 そういえばビリジアンには雨季があるとウッドメンが言っていた、これはしばらくやまないかもしれない。

 山吹も呼び戻すべきだろう、次の定時連絡で騎士団を発見できていなければ、切り上げて作戦変更をしよう。


 『忍様、豚畜生と虎が来ました。殺しますか?』


 「いや、やめて。トントラロウがこっちに向かってきてるのか?」


 『はい、おそらくは焼き魚の匂いにつられでもしたのでしょう。浅ましい限りです。』


 千影の中ではすでにクルトンは敵認定されてしまっているらしい、ひどい言われようだ。

 豚畜生と言われてクルトンの顔が出てくる忍も大概だが、それも気にしては負けな気がする。


 「千影、ここは私に任せてくれ。不意打ちを仕掛けてくることはないだろうし。」


 『承知しました。しかし、不意打ちしてきた際は容赦なく殺します。よろしいですね。』


 クルトンが近づくだけで千影の気が立ってしまう、頼むから穏便に要件すませて帰ってほしい。

 しばらくすると茂みがガサガサと音を立ててマントをかぶったトントラロウが現れた。


 「やっぱりおまえらか。魚の匂いが森中でしてたぞ。」


 「焼き魚が食べたかったんですよ。なんの用ですか。」


 突っかかろうとするクルトンを止めて、トラビスが口を開く。


 「すまん、こいつはバカだからすぐに熱くなるんだ。二度も助けてもらって感謝している。ただ、二回目のことはこいつから聞いたがどうも要領を得なくてな。お礼がてらあんたらを探していた。」


 「おい、バカってなんだこの筋肉バカが。」


 「話を遮るなバカ。」


 忍の目の前で二人は雨の中殴り合いをはじめた、忍の中ではどっちもバカ判定になりそうだ。


 「喧嘩しないでください。うちの精霊がかなり怒っています。用事がないならお帰りください。」


 二人はピタッと止まると忍に頭を下げた。


 「あの夜のことをお聞かせ願いたい。」


 「あなた達はフラフラと街の方から歩いてきて道の端で奇行をはじめました。そうしたら白い大蛇がでてきてクルトンさんを飲み込んだので、助けに入って討伐しました。トラビスさんの怪我は完治したんですか?」


 「ああ、それに関しても礼をいう。ファロウの状態を見たが、ひどい有り様だった。あれは人と戦った怪我じゃない。」


 「……お悔やみを申し上げます。」


 「チッ。」


 トントラロウは仲間を失っている、クルトンが忍に突っかかりたくなるのも仕方のないことにおもえた。

 記憶がないうちに仲間がぐちゃぐちゃになって、目を覚ましたら裸な上に知らないおっさんに助けられたと言われて信じるほうが困難だ。

 蛇に溶かされかかっていた肌がなんともなさそうなので忍はホッとした。


 「あんたは白蛇を倒したんだな、なら、相談がある。白蛇の魔石を譲ってくれないだろうか。あの付近には蛇の這った跡はあったが白蛇の死体はなかった、あんたがなにかしたんだろう?」


 なるほど、トントラロウの目的は魔石だったな。

 しかし、買うことができる資金力があるのなら、自分たちで狩ろうとするだろうか。


 「あれほどの蛇の魔石はとても高価ですよ。タダというわけにはいきません。」


 「俺達二人があんたの奴隷になる。売っぱらってくれても構わない。」


 「は?」


 サラリと奴隷という単語が出てきたことに忍は混乱する。

 何がどうしたらそうなるのだろうか。


 「俺達はどうしてもいますぐ魔石を手に入れなきゃいけない、だが、高価な魔石は俺達が五年は働いて金を貯めないと手に入れることなんてできない。俺達に売れるものはこの体くらいしか無いんだ。」


 「……魔石が必要な理由を聞きましょうか?」


 「結界を張るためだ、それ以上は話せない。」


 「えぇ……?」


 理由は話せないが魔石がほしい、そのためなら奴隷になる。

 頭が痛いしめんどくさい。

 それに、下手に魔石を渡して悪用されでもしたらかなりまずいことになる。


 『忍様、虎はいくぶん理知的なようですが、このような畜生共を配下にいれるなど千影は反対です。この場で処してしまいましょう。』


 千影がヒートアップしている、処すというのは置いておいて忍も反対に一票だ、下手に仲間にしたら千影が暴走しかねない。


 「その条件は飲めません。対価としても足りないですし、悪用されない保証もない。」


 「たしかに、しかし、これはビリジアン大森林のモリビトの問題なのだ。ノーマルのあんたは巻き込めないし、ノーマルに漏らすこともできない。なんとか折れてくれないか。頼む。あんたが首を縦に振ってくれるまで俺達はここを動かん。」


 トラビスとクルトンがドロドロになりながら地面に膝をつき頭を下げる。

 なにかに追い詰められているような雰囲気がある、忍も心が痛かった。


 『……忍様、記憶を読んだ限りでは悪用されることはありません。なにかの封印のための結界に必要なようです。』


 「わかりました、トントラロウに売りましょう。ただし、借金してお金を払っていただきます。大金貨百枚でいかがですか?」


 「なんだよそれ!めちゃくちゃだろ!」


 「いや、それでいい。」


 法外な値段にクルトンが叫ぶがトラビスがそれを制した。

 忍も足元を見たわけではない、レッサーフェンリルから取れた炎の魔力を持った魔石でさえ大金貨数枚になる。

 大型白魔の魔石など値段がつけられるわけがないからだ、トラビスもそれがわかっている。


 「まだ、死体を解体してないんです。おまかせしてもよろしいですか?」


 「ああ、まかせてくれ。」


 二人をキャンプで待たせて、ちょっとした広場に白蛇の死体を出した。

 降り続く雨でぬかるんではいたが、急ぎならば仕方がない。

 トントラロウの二人を呼んでくるとクルトンが白蛇を見てあっけにとられていた。


 「……マジで、これを?」


 「あまり言いふらさないでくださいね。討伐依頼とか直接持ってこられてもめんどうなので。」


 「クルトン、早く終わらせよう。体が冷える。」


 トラビスは尻尾の方に歩いていくと太鼓のような音を出していた器官にナイフを入れようとしているが、鱗が硬すぎて刃が入っていかないようだ。

 しばらく見ていたが、クルトンと二人でもかなり苦戦している。


 「あのー、手伝いましょうか?」


 「い、いや、解体は俺達モリビトの狩人が得意とするところだ。このくらい……」


 バキン。


 トラビスの使っていたナイフが折れた。


 「あーっと、刃を入れていいところを教えてもらえますか?」


 赫狼牙を抜いて二人に聞く。

 指示通りのところに刃をいれるが、たしかにかなり固い、赫狼牙でギリギリというところだ。


 「すみません、魔力を流しますね。熱いので気をつけて。」


 炎を吹き上げた赫狼牙は蛇の鱗を焼き割りながら表面を切り開いていく。

 トントラロウの指示もあり、なんとか魔石の表面が顔をのぞかせた、が。


 「これですか?」


 「何だこの魔石は…?」


 スイカ大の石がでてきたが、表面がツルッとしているだけで色は真っ黒だった。

 普通の魔石でも少しは魔力の気配があるものなのだが、この真っ黒な石には魔力の気配は欠片もない。


 「なんか違う石ですか?」


 「いや、魔物に魔石は一つだけのはずだ。こんな魔石は見たことがない。さぞ強い魔力が宿っているのだろう。」


 いや、宿っていないです。

 何度見てもツルッとした重いだけの黒い石だ。

 しかし、トントラロウの二人は涙を流して忍にお礼を言ってくる。

 いや、しかし、こんなので結界なんて作れるものなのか。


 「なんか変な感じですけどこれでいいんですか?」


 「この黒き輝き、さぞや強力な結界になるに違いない!」


 「いや、でも魔力が……」


 「おい、やっぱなしなんて許さないぞ!おまえはこの石をあたしらに売ったんだからな!」


 「ああ、はい。」


 なんだか反論しても長引いて疲れるだけになりそうなので、さっさと商談をまとめることにした。雨に濡れた体が寒い。

 トントラロウの二人に署名をしてもらって、大金貨百枚の契約書を四枚作成した。

 一枚をトントラロウの二人に、一枚は忍、一枚はスキップに送り、一枚はあとで行商ギルドに提出しておく。

 これで踏み倒すことは難しくなるだろう、契約内容もスキップに教わったとおりにしたし。

 満足気に黒い塊を背負って、トントラロウの二人はどこかに去っていった。


 「千影、あの石って。」


 『よくわかりませんが、魔力はありませんでした。』


 白蛇の死体には魔石がなかったのだろうか、いや、魔物の死体なのだからそんなことはないはずだ。

 まあ鱗などもすごく硬いので何かしらに使えるだろう、死体は指輪に死蔵しておこう。

 疲れた。もう、知らん。風呂だ風呂。

 ちょっと熱めの風呂に雨に打たれながら入ってやる、その後は夜営の場所を変えて湖に向かうのだ。

 もう、トントラロウとは関わりたくない、距離を置こう、距離を。

 売ってしまったものはしょうがないのだから、あとはあの二人の責任だ。




 『なるほど、そんな事があったのですか。我はオーガヒル周辺でちょっといいものを見つけたゆえ、主殿にご足労願いたいのですが。』


 『何だ、温泉でも湧いてるのか。でもそうすると戻ってきてもらうよりはこちらが急いでそっちまで動いたほうがいいか。』


 忍は陸路を湖に向かって進みはじめ、夜にさしかかったところで山吹に定時連絡をしていた。

 副団長率いる騎士団はおそらく陸路でこちらに向かっている、山吹のいるオーガヒルというのはアリアンテから三つ先の街だ。

 陸路では湖まで大小七つの街を経由するが、各街と街の間はアサリンドと大差ないので山吹のスピードも大概やばいことがわかる。

 これで白雷のほうが早いというのだからつくづく上には上がいる世界である。

 この世界の人類って、強さランクではバッタくらいの存在なのかもしれない。


 『では、我はこの周りで時間を潰していましょう。では。』


 連絡を終えて忍は千影たちに今後の動きを説明する。


 「というわけで、山吹と合流するのに白雷に乗せてもらいたい。スピードは抑えめで。」


 『わかったの。』


 従魔用の手綱をつけて白雷に大きさを調節してもらう。


 「ニカが前で、私が後ろで手綱を持って抑えるから、ポールマークの時みたいな形で乗ろう。」


 過去にポールマークでミネアを白雷に乗せたことがある。その時の要領で乗ろうとしたが、今回はうまくいかなかった。

 ニカが大きすぎて忍がうまく体を固定できないのだ、ミネアは小柄だったのでうまくいっただけなのかもしれない。


 「困った、今回も大丈夫だと思ったんだけど。」


 「しのぶさん、わたし、へんしんといてもいい?」


 「ああ、なにか閃いたのか?」


 ニカは植物の魔物だ、久々に変身を解いたニカは相変わらず全体に緑がかっていたが、少し肌の色が濃くなった気がする。

 ニカは忍の後ろに乗って白雷の手綱を握ると、白雷の胴体に髪の毛を伸ばして絡めはじめた。

 白雷の胴体が緑のミノムシみたいになっていく。


 「はくらいさん、くるしくない?」


 「プオッ!」


 なんかかなりぐるぐる巻きになってるが白雷は大丈夫そうだ。

 とりあえずはこれで移動してみることにしよう。


 「アリアンテはつ、おーがひるゆきー。はくらいさんがしゅっぱつしまーす。」


 ニカが上機嫌で出発を宣言した。

 この世界に電車はなかったはずだが、あ、シジミールの乗合従魔車か。


 「じゃあ白雷、頼むぞ。」


 「プオオオォォォ……」


 大きく鳴いた白雷が浮かび上がり、次の瞬間に体に不可視の力がかかる。

 白雷がものすごいスピードで飛び出したのだ、さらに少し気が遠くなってきたあたりで、ドンッという大きな音と衝撃が体を襲った。

 我に返る、やばい、これはやばい、息ができない、ニカのツタも緩んだ気がする。

 白雷、まて、止まれ、ストップ。


 『忍?!ごめん、とまるの!』


 白雷が急停止したため、忍とニカは空中に放り出された。

 忍は必死でニカのツタを掴むが、ニカは目を閉じて動かない、気絶してしまっているのか。

 なんとかニカを手繰り寄せ、頭を抱えこんで背中を丸める。

 もう駄目だと目を瞑った時、またしても衝撃とともに忍の落下が止まった。

 白雷が落下中の忍に追いついてマントを角に引っ掛けたのだった。


 『忍!ごめん!大丈夫なの?生きてるの?』


 「と、とりあえず降りようか、あと、止まるときは徐々にスピードを落としてな。」


 ニカは完全に目を回していた、起きるまでは動けそうにない。

 途中の大きな音はまさか音速の壁というやつだったりしないだろうか、ソニックブームとかなんかそんなのをロボット物で説明していた記憶がある。

 守備範囲外だったのでうろ覚えだが、こんなことならしっかり理解して見ておくんだった。

 確か速さが音速を超えるときに壁のようなものに当たってその衝撃波で敵を攻撃するのだったか。


 「白雷、怪我はないか?ニカも怪我してないといいんだが。」


 『白雷は大丈夫なの。飛んでるだけで怪我はしないの。』


 「飛んでるだけ…?なんか衝撃があったような?」


 『あのドンってやつはこのまえから加速するときに鳴るの。いつものやつなの。ニカがぐるぐる巻きにしてたからいけるとおもったの。』


 「うん、あれは早すぎるから、いつものスピードにしよう。」


 白雷の呪いが解けた弊害がこんなところにも、というかそろそろ白雷にも加減をしっかり覚えてもらいたい。


 「まったく、ここどこだ。耳飾りさん、地図。」


 地図上では忍たちの現在地はオーガヒルとその先のウシャの街の間に位置しているようだった。

 空中に放り出されたときにかなり飛ばされた感覚があったが、山吹も追い越してしまっているようだし、白雷が拾ってくれたからいいもののまた死にかけてるじゃないか。原因も白雷だけど。

 しかもシトシト降りの雨の中だぞ、なんだか挫けそうだ、いや、いかんいかん。


 「とにかく従魔車にニカを寝かせて……あれ?山吹がこっちに向かってきてる?」


 『忍様、千影を烏にしていただければ、山吹を誘導できます。』


 「よし、採用。」


 ニカの様子を見ながらマントを確認する。この宵闇のマント、何をしたら破けるのだろうか。

 ものすごい勢いで吹っ飛んでいる忍とニカの重みを白雷の角一点で受けても穴があかない。意味のわからない頑丈さだ。

 白蛇の消化液でも溶けない、レッサーフェンリルの魔法でも焼けない、そういえば白雷の雷でも燃えなかったな部屋中放電の跡だらけだったのに、燃えるコート掛けに平然とかかっていた。

 やはり魔王の持ち物は伊達ではないということか。


 「んー、しのぶさん。」


 「おはよう、どこか痛いところはないか?」


 「あめがぱちぱちぱちぱちってあたって、くるしくなったあと、ドンってきて、あれ?」


 「気絶してたんだ、大丈夫なら良かった。」


 「うん、ちょっといたいけど、だいじょぶそう。」


 念のために【ウォーターリジェネレーション】だけかけておくが、体も動くようだし問題なさそうだ。

 前向きに考えよう、まだ山吹と連絡を取って半日も経っていないのに合流できそうだ。

 いいものを見つけたと言っていたし、それを楽しみにしておこう。


 「白雷、こっちきて。」


 『なに?』


 白雷をぎゅっと抱いて暖を取る、山吹が帰ってくるまで忍は白雷を離さなかった。


 「主殿、山吹ただいま戻りました。目的を果たせず申し訳ございません。」


 「おつかれさま、私が途中で呼び戻したんだ、山吹は悪くない。では、天原忍者隊作戦会議をはじめる。」


 『忍様、精神攻撃を許可していただければ、千影の記憶を山吹に見せます。』


 忍たちは従魔車の中で車座になり、アリアンテ近くの森であった出来事を山吹に共有した。

 山吹にも黒い石のことはわからなかった。


 「我が発見したのは十近くの廃村と、遺跡です。あとは道行く行商人から多少の話も聞くことはできました。それと、白蛇のことを思い出しまして、倒して正解の相手ゆえ、主殿は気にされなくてもよろしいかと。」


 「わかった、順番に話していってくれ。」


 「廃村ですが、モリビトが住んでいる村がほとんどのようです。モリビトの中には街で暮らすのではなく大森林の森の中でもともとと同じ暮らしをしていくことを好む者が一定数おり、そのものたちは大森林の中で個々に村を作って生きているようです。」


 つまり廃村は自然派のモリビトの村ということか、前の世界でも部族とかの考えで都会に住むのを拒否するとかはあった気がする。


 「行商人によると、モリビトは男女ともに奴隷として人気があり、ビリジアン建国以前は捕まえてどこかに売られるといった商売もあったようで、他種族の人にいい印象を持たないものが多いということと、村に住んでいるモリビトは大森林に点在する遺跡を代々守っている一族などもいて、特殊な魔導具の保管や封印の守護などの秘密を抱えている事があるそうです。」


 「あー。トントラロウはそんな感じかも。」


 『結界を何に使うかは畜生共は知りませんでした。』


 「千影、畜生っていうのやめようか。彼らも必死だったんだから。」


 トントラロウの話は避けないと千影の機嫌が悪くなってしまう。

 忍は山吹に次の話を促した。


 「えー、実はあの白蛇なのですが、おそらく、山食いの配下の白蛇かと。だとすると、腹が減れば人も魔物も見境なく飲み込むゆえ、主殿が倒して正解だったかとおもわれます。」


 「山食いポンガ……か。」


 山吹の昔の名は砂岩のツィトローネ、名のしれた四体のドラゴンの生き残りである。

 肩を並べて称えられる四体のうち一体が山食いポンガ、地形を飲み込んで平地にしてしまう大食の竜である。


 「山食いはこの大森林を作ったドラゴンです。正確には腹をすかせて整地してしまった平野が大森林になったのでしょう。まあ、途中から雨が降ってしまって地面には潜れなかったゆえ、走り回ったことで気がついたのですが。」


 「雨が降ると地面にもぐれないのか?」


 「ぬかるみは土というよりも沼です。我は岩や土、砂には潜れますが、沼には潜れません。」


 なるほど、そんな制限があるのか。

 覚えておこう。


 「山食いは食べることには熱心ですが他のことには興味がなく、配下もドラゴンの威を借るタヌキばかりでしたが、中には骨のあるものもおりました。そのうち一人の気配がする遺跡を見つけまして、生きていれば従魔に推そうかと。実力は折り紙付きの呪いの専門家です。」


 「生きてるかはわからないんだな。本人が納得しないなら従魔にしたくはないし、千影たちとうまくやれるかもわからないだろう。」


 『千影は賛成です。戦力の強化はするべきでしょう。』


 『白雷は忍の好きでいいの。こそこそじゃないから許すの。』


 「わたしもさんせい、かな。せいかつするのはだいじょうぶでも、たたかいになるとしのぶさんがしんぱい。」


 心配されているらしい、努力はしてるんだけどやはり付け焼き刃か。

 まあ、呪いは未知数だし、詳しい仲間がいれば助かることは確かだ。

 ドラゴンの威を借るタヌキとは、おそらく虎の威を借る狐のことだろうか。


 「どんなやつなのか教えてもらえるか?」


 「そうですね。見た目は目が三つ、耳が四つ、角が二本の兎です。オーガラビットという魔物で、主食は血肉です。」


 超怖そう。

 というかここに来て主食が血肉って、いきなり魔物らしさを全面に押し出したやつが出てきてしまったな。

 オーガといえば人食い鬼、兎なのにそんな名前付いてるってことは、人も襲いそうだ。


 「聞く限りではなんか倒さないといけない気がするが?」


 「主殿、我のおすすめです!せめて会ってみてからにしていただきたい!」


 なんだか妙に推してくる、普段なら詐欺を疑うところなのだが。


 『忍様、精神攻撃を許可していただければ山吹をお調べいたします。』


 「いや、すごく怪しいけど、私も山吹を信じたい。会うだけ会ってみよう。」


 「ありがとうございます、主殿!明日にでもご案内いたしますので我と二人でいきましょう。」


 『二人とはどういうことですか?』


 『白雷もついていくの!こそこそだめなの!』


 山吹の発言に千影と白雷がとたんに食らいつく、忍としても胡散臭い感じはするのだが、山吹が今更信用を落としてまで裏切るともおもえない。


 「理由は話すと反対されそうなのです!主殿は我が命にかえても守りますゆえ!」

 

 白雷と千影が山吹を攻めるが、山吹は頑として理由をいいたがらない。


 「わかった、山吹と二人というのは時々あることだろう。今回は二人で行ってくる。」


 『しかし、さすがにこれは。』


 「決定権は私、だ。すまない。それに、みんなも戦力強化はしたいんだろう。」


 忍の鶴の一声でみんな黙ってしまう。


 「しのぶさん、マッサージするよ!ばんぜんにしないとね!」


 ニカが明るくそう言ってくれて、会議は終了した。

 かくして忍は山吹に連れられて人食い兎と交渉しに行くこととなったのだった。



 「それでは主殿、山吹の背中にお乗りください。」


 「お、おう。」


 場所が少し遠いとのことで山吹に乗っていくことになったが、三十すぎのビックなおっさんが華奢な女の子の背中におぶさるというのは絵柄がどうも……。

 山吹は元の姿が大きすぎるので仕方がないのだが、やはりちょっと躊躇してしまう。


 「さあ、早くしないと日が暮れてしまいます。」


 「……わかった、頼む。」


 意を決しておぶさった、おっさんを背負ってアルマジロのようなシルエットになった山吹が忍の位置を調整する。


 「では、行ってまいります。」


 そう言い残して雨の中を山吹は颯爽と走り出した。

 白雷ほどではないとしても山吹のスピードは十分怖い、ビュンビュンと風を切り木の間を縫って進むのを見ていられるわけもなく、忍は顔を伏せて一心不乱に山吹にしがみついた。


 しばらくしてスピードが緩んできたので忍は顔をあげた。

 ついたのは廃村、家屋はドアなどが壊れているが、壁や骨組みは壊れておらず、比較的最近廃村になったようにみえる。

 ツリーハウスと高床式住居の入り混じったような建物がざっと十軒ほど建っていた。

 そして何より、なんだか変なプレッシャーみたいなものを感じる。


 「ここには人も魔物もおりません、ご安心ください。」


 「目的地についたならそろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?どんな知り合いなんだ?」


 「……弟子です。」


 予想外の言葉が出てきて忍の思考がフリーズした。

 山吹は魔術師として名を馳せた竜だ、弟子の一人もいておかしくはない、か。


 「弟子って、何人もいるのか?」


 「はい、ただこいつは特別ゆえ。優秀なのですが、大きな問題を抱えていたのです。いや、大きな問題を抱えていたからこそ優秀だったのでしょう。……ここです。」


 なんだか語りが大真面目になってきた。

 抱えた大問題というのがおそらくは関係してくるのだろうが。

 村の中に小さな結界があった、その入口を山吹が開けると、感じていたプレッシャーが増す。

 入口には古い文字が彫りつけてあった。


 オーガヒルの呪いの王を解き放ってはならない。


 「オーガヒルの呪いの王?」


 「主殿は、読めてしまうのでしたな。そうです、オーガヒルの呪いの王、魔王パボラックの封印です。」


 「魔王ぅ?!」


 忍はものすごく嫌な顔をした、顔芸並みだ。

 魔王が悪いやつばかりではないのはわかるが、魔王を排除するために神に呼び出されている身としては嫌な顔にもなるというものだ。

 さらに魔王を従えるなんてことになれば、他の使徒から狙われる可能性だって出てくる、聞いていれば忍だけじゃなくおそらく全員が反対していただろう。


 「主殿、ここから先はこの護符をお持ちください。すでにお気づきでしょうが、この違和感が呪いです。魔力の少ないものはここに立つだけで死に至るやもしれません。」


 「えー、パボラックだっけ?そいつがこの呪いを出してるなら連れて帰るのは無理じゃないか?」


 「そうなのですが、そうではないのです。この呪いはパボラックがかけられた呪いの効果ゆえ、この呪いさえ解ければ、パボラックは忍様に忠実な下僕となるでしょう。」


 「なんでそう言い切れるんだ?」


 「その条件で我が解呪に挑戦したゆえ、魔術を教え、様々な方法を試みました。結果はご覧の有様ですが。」


 なんとなく合点がいった。

 山吹は意外と面倒見がいい、なんだかんだで心残りなんだろう。


 結界の中央の地面に扉が設置されており、地下に続く洞穴があった。

 開けるとプレッシャーがさらに増して、穴の奥に薄くなった結界が見えた。

 結界の中は魔力が渦巻いていて、視認できない。


 「これは…主殿、出直しましょう。これでは護符が持たないかもしれません。」


 「もたないとどうなるんだ?」


 「呪いにかかります。」


 「じゃあ、ここで待ってて。」


 「あ、主殿?!」


 どちらにしてもこのプレッシャーが呪いなら奥の結界から漏れ出ていることになる。

 最も強力な護符を山吹が忍に渡さないはずがないし、それなら再挑戦したほうが危険度が増す気がする。

 結界の前まで来た忍は中に声を掛ける。


 「えー、魔王、魔王パボラック、聞こえますか?」


 「……僕のとこまでくるなんて、すごいね。入口にいるのは先生かな?」


 「ちょっとやばそうなので手短に。ツィトローネの紹介で来ました。私があなたの呪いを解けたら、あなたはどうしますか?」


 「……顔もわからないあなたの下僕になるよ。何でも言うことを聞くし、死んでもいい。でも、できるわけがないさ。今まで誰もできなかったんだ。僕の張った結界も壊れてしまう。また僕の周りが死の森になってしまう。だけど僕を殺すことはできない、この呪いで誰も近づけないからね。」


 護符がもってるあいだに解呪しないとまた命の危機だ。

 この短期間で何回死にかけているのか、もう数えるのも嫌になってきた。

 とりあえず山吹は泣かす、何回か泣かさないと気が済まない。

 ……パボラックの声は死にたがってる、忍にはそれがわかってしまった。


 「結界の前まで来て私の手に手を重ねてください、合図で結界をといて頂けますか。勝負は一瞬なので。」


 「……本気かい?」


 「早く。」


 ポケットの中、山吹から渡された護符が熱を持っている。

 結界に右手を触れる、おそらく結界がなくなると同時に護符は壊れるだろう。

 そこで相手の手をにぎって【解呪】を発動する、忍が死ぬ前に【解呪】が成功すればこの呪いは消えるはずだ。

 結界の向こうに手が見えた、パボラックは忍の提案に乗ってくれたようだ。

 重要なのはタイミング、勝負は一瞬。


 「三・二・一・【解呪】!!」


 結界がなくなると同時に、目の前にある手を掴んだ。

 忍が解呪と叫ぶと同時に、ポケットの中の護符が燃えた。


 「あっつ?!ちょ、あつっ!!」


 左手から水を出して服の火を鎮火するが、その間忍は右手を握りしめたままだった。

 右手の先で人影が左右に振り回されている。


 「また服がだめになった……あ、えーっと、はじめまして?」


 「ああ、はじめまして。」


 忍よりも少し背が低い、ブカブカのローブを着てその上からマントまで羽織っているが、握った手はかなり細く、体もたぶん細いのだろう。

 目深に被ったフードから銀色の毛が覗いている、どうやら人に変身しているようだ、赤い瞳が印象的だった。

 中性的な見た目だが、口調から美少年という印象をうけた。


 「やま…ツィトローネを呼んでくるから出かける準備をしてくれ。君が逃げたらツィトローネが死ぬからそのつもりで。」


 「逃げないよ、ずっと色んな人に約束してるんだ。呪いを解いたら僕を好きにしていいって。ここには戻ってくるのかな?」


 「戻ってこないかもしれない。」


 魔力の渦巻いていた結界の中は大量の本と紙で埋め尽くされている。

 パボラックは指輪の中に部屋の書類や本棚、ありとあらゆる物を吸い込んだ。


 「底なしの指輪?」


 「ああ。もし欲しければあげるよ。」


 パボラックはあっさりとそう言った、なんだかまだぼうっとしているようだ。


 「……本当に、本当に呪いは解けたの?」


 パボラック何かぶつぶつと呟きながら忍のあとをついてきた。

 入口では山吹が倒れていた、どうやらさっきの一瞬で呪いに当てられたらしい。


 「主殿、本当に信じられない力をお持ちで。」


 「ボボンガルからこっち、何度死にかけてるかわからないので、山吹も一回死にかけてみるのはどうだろうか。」


 「お許しください、呪いは、後遺症もあるゆえ…。」


 「マジか。【解呪】!」


 後遺症などと聞くと遊んでいる気分が吹っ飛んだ、のだが、その危険に忍をさらしてきたのを考えるともう少し遊んでも良かったかなと思い直す。


 「おお、パボラック、そんな顔だったか。」


 「ええ、先生はお変わりなく。」


 「え、山吹、弟子の顔を忘れてたの?」


 「違います。あのような魔力が常時渦巻いていては我からはパボラックの姿は見えなかったゆえ、姿を見るのは初めてなのです。」


 そう言われると納得するしかない、強力で嫌な魔力が渦巻いていた。


 「先生、呪いは解けたの?」


 「それは主殿に聞いてみないと。」


 パボラックがこちらに視線を向けてくる。


 「解けたはず。」


 「ああ、ありがとう。えっと…」


 「忍。やっとゆっくり話ができる。」


 忍はここに来た目的をパボラックに話した。

 そのために山吹が骨を折ったことも含めて恥ずかしがる山吹を動けなくしてきっちり話した。


 「ああ、呪いを解いてくれたのだから僕をあげるよ。煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。」


 パボラックは二つ返事で従魔になることを了承する、というか処刑されると思っていたらしい。


 「僕に会いたがるのは復讐者か僕を従えたい人なんだけど、従えたい人は呪いの力のほうがほしいから呪いは解かないからね。生まれてから今まであの呪いのせいでだれかと触れ合ったことなんて無いから、忍の手の感触が新鮮だったよ。」


 「どんなことが得意なんだ?」


 「魔術と呪いと魔導具、本ばかりを読んでたから知識、というかそれだけかな。運動は苦手。」


 「主殿、なんとかお願いします。」


 山吹は土下座モードだ、パボラックはなんというかどっちでもいいという雰囲気を感じる。


 「もし、従魔にならなかったらどうする?」


 「世界を見て回って、きれいなところで死にたい。」


 「正直だな。」


 パボラックは本気で言っているのだろう、人の顔色を見て嘘なんてつかなそうだ。

 さらに山吹の弟子ということなら呪いがなくても相応の魔術師だろうし、放置しておくのも怖い。

 まあ最終的にこういうオチになるのか。


 「悪いけどパボラックという名前は捨ててもらう。魔王として有名だと困ることがあるんだ。それでもいいなら、私の従魔になってくれ。」


 「我も今は山吹という名になっている。主殿はお優しいゆえ、理不尽に責められることもない。」


 「ああ、それでいいよ。これから、よろしく。」


 「ああ、よろしく。」


 魔法陣の描かれている木札を渡す。

 いまいち不安もあるが、いざとなったら山吹に丸投げをしよう。


 「我と汝に絆を紡ぎ、ここに契約を結ばん。主たる我が名は、忍。汝の名は、鬼謀。」


 従魔の魔法陣が浮かび上がり、左肩に吸い込まれていった。

 なんだか怖いくらいにスムーズに、忍の従魔に魔王が加わった。


 「主殿、この場を離れましょう。見つかりでもしたら大問題です。」


 「たしかに、鬼謀も行こう。道中で状況を説明するから。」


 忍がふり向くと鬼謀がその場に倒れ込んでいた。


 「ごめ、んなさい、からだ、うごかしたの、ひさびさ、で。」


 「あー、そういうやつかー。」


 とりあえず山吹の背中に鬼謀を背負わせて、忍たちは足早に廃村をあとにした。

 戦力の補強の名目だったが戦力になるのだろうか、当の本人は山吹の背中で息も絶え絶えだ。


 「ところで主殿、【ウォータースクリーン】は使われないのですか?」


 「え?」


 「我は雨を避けるのに【エアスクリーン】を使っておりますが、主殿はずっと濡れ鼠ゆえ。能力を隠すのは大切ですが、それでは体が冷え切ってしまいます。」


 「いや、ありがとう。ただ思いつかなかっただけだ。」


 山吹は忍にとっても学ぶことの多い先生なのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ