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温泉の弊害と毒

 「主殿、主殿。」


 遠くで山吹の声がする、体をぐいぐいと揺さぶられて忍は目を覚ました。

 窓の外はすでに夜になっていた。


 「主殿、ガー殿が湯着をもってきてくれました。試着をお願いしたいそうです。」


 山吹はすでに白襦袢の姿だった、浴衣のお尻に穴が空いており、尻尾が出ている。

 清廉な巫女のような神秘的な姿は、掛け軸の天女が現実に出てきたかのようだった。


 「主殿、こちらへ。」

 

 起き上がって間仕切りの向こうに行くと、ニカが湯着の帯を結んでもらっていた。


 「湯着は帯をきちんと結びますと脱げなくなってしまいますので、こうしてキツめに巻いて帯を入れ込んで着るのです。激しく動くと脱げてしまうのでお気をつけください。」


 「はーい!」


 白襦袢のニカはなんというか、扇情的だった。

 あどけない表情で笑いかけてくるのに女性らしい体が布一枚では隠しきれていない。

 流石にクルものがある、目に毒だ。


 「ガーさん、お手数おかけします。」


 「いえ、しかしお連れのお二人は、すごいですね。ドキドキしてしまいました。」


 「まあ、色々ありまして。私も美人すぎて緊張してしまうんですよ。」


 二人ではははと談笑するが、忍は急に真顔になる。


 「ところで、ニカと山吹の裸を見たんですか?」


 「え、い、いえ、帯を結んだだけでございます…。」


 その回答に忍は眉間にしわを寄せた。

 着物の気付けは男性がするのが一般的だ、帯を強く締めなければならないので力が強い男性がやる仕事なのだ。

 ガーはただ仕事をしているだけだ文句を言うのは可哀想だが、忍としても微妙に折り合いがつかない。しかし、クレーマーになるのはどうなのだろう。

 つまらない嫉妬だが、イケメン許すまじというのはなんとなく忍の中に根付いてしまっていた。

 結局、忍は言葉を飲み込んだのだった。


 「いや、すまなかった。」


 「ニカ、言ったとおりでしょう。主殿が嫉妬に狂ったゆえ。」


 「やまぶきさん、だいなし。」


 忍は一瞬事態を飲み込めなかったが、その一言を聞いて頭が冷えてきた。

 ガーはキョトンとしている、当て馬にされたことに気がついていないらしい。


 「ガーさん、すみません。山吹に一杯食わされました。後で注意しておきますので、どうかお許しください。」


 「いえいえ、さあ、忍様も試着をお願いします。」


 忍はニカと山吹を追い払って試着を済ませた。

 袖や裾の長さもちょうどよく、帯も長めで太鼓腹でもきちんと巻けた。


 「大丈夫そうですね。岩風呂をご利用の際はこちらを着用してください。お部屋のお風呂は裸でも大丈夫ですので。」


 再度説明を受けている時に白雷がこちらに飛んできた。

 忍が寝ている時、白雷は忍の近くに常にいる。

 今回も一緒にいてくれたのだろう。


 「そういえば小型従魔は岩風呂に行っても大丈夫でしょうか?」


 「あ、その、あまり快くおもわれない方もいらっしゃいますので、お薦めはできません。」


 宿のルールでは大丈夫だが、トラブルが起こる可能性があるということか。


 「従魔というのはほとんどの人にとって家畜ですので、忍様のように可愛がっている人というのは珍しいです。狩人の中にはそういう接し方をする人もいらっしゃるようですが、家畜と一緒となると嫌がる方もいらっしゃいますので…。」


 ガーは申し訳無さそうにそう補足した。

 そもそも忍の従魔が話をしたり人に変身できるというのが特殊事例なのだ。

 それどころか普通の従魔使いは従魔の感情が何となく分かる程度で従魔と話せるわけではない。

 白雷はこの宿では対外的に忍のペットとして扱われているのだ。


 「仕方ないところですね。教えていただいてありがとうございます。」


 「いえ、もう少しすると皆さんお部屋に帰られるので岩風呂もすいてきます。楽しんでください。」


 そう言ってガーは本館に戻っていった。

 忍は山吹とニカに人に迷惑をかけてはいけないとこんこんと説教するのであった。


 「私だけならまだしも、周りの人をダシに使うなんて、なんてやつだ。」


 「しのぶさん、ごめんなさい。」


 山吹には罰を与えたのでしばらくは部屋で気絶しているだろう。

 忍はニカと千影と一緒に岩風呂に来ていた。


 「散々言ったけど、若い子が来るもんじゃないんだ。混浴なんて。」


 「せっかくだし、しのぶさんがそこまではいりたいっていう、おおきなおふろにきょうみがあるの。」


 山吹を置いていくのも気が引けたので部屋風呂で済まそうとしたら、ひとりでも行くと言って聞かないのだ。


 『千影も興味があります。それに、風呂ならうたた寝している者がいるかもしれません。』


 千影に調べろと言った手前、これも否定はしづらい。

 水魔法使いに変なことがおこっているとすれば次は忍の身にもふりかかってくるかもしれないのだ。


 夜の岩風呂は明かりが少なめで湯気もあいまって幻想的な雰囲気だった。

 薄暗いので千影も楽しめるだろう。

 忍は精霊の壺を懐に入れて、ニカとともに浴場に入った。

 桶はあるが洗い場はなく、シャワーのようなところがあるくらいだ。

 お湯に浸かってシャワーで洗い流して部屋に帰るようになっているのだろう。


 「岩風呂に入る前に一度お湯をくんで体にかけるんだ。かけ湯っていうんだが、湯船に入る前に一度体の汚れを落とす。しゃがんで。」


 「はーい。」


 感心しているニカの肩からお湯を流してやる。

 この湯着は本当に透けないようだ、ニカの背中の従魔の魔法陣はお湯をかけても見えなかった。

 しかし、体に張り付いた湯着がニカのプロポーションを強調してしまい、忍は頭から湯をかぶった。


 「温度は大丈夫そうだな、入るぞ。」


 「え、まって、はやいよしのぶさん!」


 忍はニカの方を見られなくて、そそくさと湯船に浸かる。

 追いかけてきたニカは忍の横にピタリとくっついてくる。

 岩風呂の奥まった方まで移動すると、忍は岩に背中を預けて目をつぶった。


 「桶だと手足を伸ばしてお湯に浸かるなんてできないから、大きい風呂は温まり方が違うんだ。その分のぼせやすいから気をつけないといけない。」


 「うん、きをつける。でも、やっぱりへんなにおい。」


 「ニカははじめての温泉だし、長風呂は控えよう。」


 忍は温泉好きなので二、三時間なら平気で入っていられるが、普通は三十分もすればのぼせるものが出てくる。気をつけてやらねばなるまい。


 『体があたたまるというのがいいのですか?』


 「まあ、温泉はそうかな。でも、ちょうどいい温度っていうのがある気がする。それに体があたたまると緊張がほぐれるんだ。温まってからマッサージなんか受けたら気持ち良すぎて一瞬で寝てしまう。」


 そういえばマッサージはどうなったのだろうか、まあ、マッサージ師の都合が付けばガーあたりが教えてくれるだろう。


 「すごいはやさでねたよね。つかれてたんだね。」


 「ニカが上手なんだ。体を触られるの好きじゃないから、本当はもっと緊張するんだけど。」


 世の中の人間はなぜ大きな腹をみると触ってくるのか。

 セクハラという言葉が世に浸透しはじめた頃でも、忍は出会い頭に腹を触られるという憂き目にあっていた。

 おかげですっかり手で触れられるのに緊張する癖がついてしまっている。

 すれ違いざまに人の手の動きを確認するやつなんて、そうそういないだろう。

 皆、軽い気持ちで忍の腹を触ってくる、人の気も知らないで。

 嫌なことを思い出す、もう帰ることのない世界なのに。

 なぜニカは大丈夫なのか、従魔車で隣に寝て慣れたのだろうか。

 いや、おそらく違うのだろう。

 

 「千影、白雷、ニカ、信じてる。」


 「わたしも、しのぶさんをしんじてるよ。」


 『千影は、常に忍様のお側に。』


 短時間なのにのぼせてきたかもしれない、変なことを口走った。


 「……よし、出るか。寝ちゃっても危ないし。」


 「しのぶさん、へやでまたマッサージするよ。」


 『千影は引き続き調べ物をすすめます。すべては忍様の仰せのままに。』


 風呂から出て温泉を洗い流そうとシャワーを出してみる。


 「おあぁっ??!」


 シャワーから出てきたのは水だった。

 改めて異世界だ、蛇口からお湯が出てくる風呂が恋しかった。



 部屋に戻った忍は湯着のままベッドに倒れ込み、ニカに背中を触られたところで意識が途切れている。

 朝起きたとき、ベッドで右向きに白雷を抱いて寝ていたのだが、目の前に山吹が寝息を立てており、そっと左側に寝返りをうつとニカの谷間に視線があってしまった。


 『忍、大丈夫?ドキドキ、すごい。』 


 白雷に心配されて天井を見て気持ちを落ち着ける。

 二人を起こさないようにそろっとベッドから立ち上がると、窓の外は薄暗い、夜明け前のようだ。

 心のなかで岩風呂に行ってくると白雷に伝える。


 『わかった、いってらっしゃい。』


 『忍様、お供します。』


 白雷に見送られたときに頭の中で千影の声が響いたので、壺だけ持って部屋を出た。

 まだ薄暗い風呂場は朝の寒さとお湯の温度差で昨日よりも湯気がすごかった。

 とりあえずかけ湯をして、視界が悪いので気をつけて湯船に入る。

 あまり動かず岩に背を預けて肩まで浸かった。


 「はぁー………。すぅー………。はぁー………。」


 細く長く息を吐く、全て吐ききったら、細く長く息を吸う。

 繰り返して精神の緊張を解いていく、目を閉じる、眠ってしまいそうだ。


 『本当にお好きなんですね。』


 「何も考えないでいられるんだ。ただ、気持ちいいだけだから。少し深めのところで首だけ縁に預けておくんだ。」


 体が浮かんで沈む感覚、水の中が好きなのかもしれない。

 プールや海水浴も好きだった、泳ぎはそこそこできたし、海の中を魚がチョロチョロと行き来するのが子供の頃は楽しかった。

 鳥を目で追っているニカもそんな気持ちなのだろうか。


 「子供、子供か。」


 歳を重ねても成長した気がしない。

 忍が辛かった時、助けなんてこなかった。

 ヒーローなんていない、人に助けを求めることもできない。

 その一方で、忍は人に助けられないと生きていられない。

 千影たちや知り合った人々に助けられて生きている。

 生きることが嫌になった後に、生きるための助けが来たのが悔しい。そしてちょっとだけ嬉しくもあった。


 『千影は不思議でした。なぜ忍様は自分が死ぬような方法を使ってまで人を助けようとするのか。』


 「してほしかったことをしたんだよ。」


 助けてほしいと考えたことも叫んだこともあった、しかし助けなんてこないので、忍は自力で解決しようとした。

 腹を決めて自分を助けようとした、方法なんてわからない。

 結果は忍の負けだった、全部投げ出してしまった。

 人の醜いところを忍はいやというほど知っている。


 「基本的に人が嫌いなんだ。もし、私に助けられたなんて勘違いしてるやつがいれば、そいつは運が良かったんだよ。」


 『では、千影は幸運です。』


 忍が千影を助けたことなんてあっただろうか。

 いつも助けられているのは忍の方なのに、逆な気がする。

 もしかして、励ましてくれているのだろうか。

 そういえば尻尾を振る狼の影分身は可愛かったな。


 『忍様は狼がお好きなのですか?』


 「ああ、犬と猫どっちが好きかって質問にずっと犬と答えてたな。どっちも飼ったことはないけどちょっと憧れた。人が飼ってる犬でもさ、私の話をまともに聞いてくれるから近所の犬に会いに行ってた。」


 最終的に忙しくなって会えないうちに死んでしまったと聞いた。

 悲しかったが、その頃にはかなり精神が疲弊してしまっていた気がする。


 『千影の姿のことなのですが。ずっと答えが出ないのです。千影らしいというのがわからないのです。』


 忍だって自分らしさなんてわからない。

 適当なことを言ってしまったのかもしれない、反省しなければ。


 「ヒントになるかはわからないが。そうだな。白雷の変身を見て、怖いと思った。でも、白雷と今も一緒にいるし、白雷のことは好きだ。だからたぶん、千影がどんな姿になっても私が千影を好きなのは変わらない、と思う。それでも変身するのが怖いなら、やめてもいい。街で隣を歩けなくても、こうして一緒にいるんだし。」


 『いえ、千影には人にならなければいけない理由があります。人の美醜はわかりませんが、必ず忍様の好む姿に……。』


 千影がふと気づくと、忍は眠ってしまっていた。

 そのとき、忍の言っていたことを思い出す。


 寝ちゃっても危ないし。


 寝る前に岩風呂に入った際、忍はたしかにそう言っていた。

 そろそろ夜明けの時間、忍を起こしたくても【精神攻撃無効】のせいで千影には干渉するすべがない。

 烏は一番近いものでも戻ってくるまでしばらくかかる。

 千影は焦った、なぜ危ないのかはわからないが、忍が危ないのだ。


 『捧げし魔力を糧として、我が身を繕い形を変えよ。【変身】』


 千影の取った選択は人に変身すること。

 イメージはできていなかったが、とにかく忍を起こさなければいけなかった。

 手足ができたのがわかる、影分身とも少し違う感覚だ。

 千影が手を伸ばす、忍の体に触れた感触を千影は初めて味わっていた。


 「んー・・・?」


 「忍様!忍様!」


 体が揺さぶられて、声がする、なんか聞き覚えがあるが、少し違うような。

 忍が目を開けるとそこに影がいた。


 「よかった、忍様、お加減はいかがでしょう?」


 影、影だ。

 体に触られている、耳があり、尻尾がある。

 大きな胸が体に当たる感触がある、しかし、忍の目の前で喋っているのはシルエットアートの影だった。


 「もしかして、千影なのか?」


 「はい、忍様が寝てしまわれたので、精神干渉ではどうにもできず。申し訳ございません。」


 横を向くとまつげも鼻もある、しかし、朝の光の中で陰影が見えない。

 光を反射していないのだ、これは千影の影分身の特徴とも一致する。

 流れるように広がる髪の毛は長めで、ふんわりと曲線を描いていた。

 かっこいい女性のシルエット、あれに耳と尻尾がついている感じといえばいいのだろうか。

 ライダースーツとかが似合いそうだった。


 「やはり、うまくいきませんでしたね。お恥ずかしい限りです。」


 「そんなことない!……美しくて、カッコいいな。千影。正直、見惚れてた。」


 忍がそういった時、入り口の方から話し声が聞こえてきた。

 どうやら朝風呂に入りに宿泊客が来たらしい。


 「忍様、千影は壺に戻ります。眠ってしまわないようお気をつけください。」


 そう話すとほぼ同時に溶けるように姿がかき消え、千影は壺の中に帰った。


 「大丈夫だったか、陽の光に当たってしまって。」


 『どうなるかはわかりませんでしたが、問題ないようです。損傷もありません。』


  忍はほっと胸をなでおろした。

 そうして我に返った後、千影の胸の感触を思い出してしまって、少し元気になってしまった、忍はしばらく岩風呂から出られなそうだった。

 薬湯の妖精亭の客層を考えると当たり前なのだが、入ってきたのはカップルで、湯気の濃い岩風呂でいちゃつきはじめる。

 忍は気を静め次第、邪魔しないようにゆっくりと動いて、そそくさと脱衣所に脱出した。


 部屋に帰ってきたがニカも山吹も起きていない。

 白雷に手招きをして忍は湯着のまま露天風呂の方に歩いていった。


 『また入るのですか?』


 いいじゃないか、好きなんだもの。

 白雷も喜んで忍の方についてきた。

 扉を締めて中の二人を起こさないように小声で話す。


 「白雷、おいで。」


 「プオオォォ!」


 「しー。」


 湯船に浸かりながら木製の風呂椅子に乗せた白雷をブラッシングする。

 全体をブラッシングした後、桶に温泉を汲み、水で薄めて温度を下げていく。


 「白雷、どうだ?」


 『あつい。』


 白雷がヒレの先で温度を確かめる。いい温度になったら体を流した。


 『ナデナデ、好き。お風呂、嫌い。』


 「なんだ、そうなのか。でも、たまには流さないとくさくなるぞ。」


 『忍様、ストームユニコーンは嵐の中を飛びます。普段から水に触れているので、その心配は皆無かと。』


 言われてみればそうかもしれない。


 「すまない。また思い込みで話してた。」


 『白雷、くさくない。ナデナデ!』


 「毛が乾いたらね。濡れたままだと撫でづらいから。そういえばお腹は空いてないか?」


 『すいてる。』


 白雷はたまに雲を食べるために別行動をしている。

 しかし山間では視界を遮る障害物が多く合流するのが難しくなりそうだということで、あまり食事ができていなかった。


 「よし、雲を出す。【雨乞い】」


 忍が能力を使うと、みるみるうちに雲が広がり、ボボンガルにしとしとと雨が振ってきた。

 雨の中の露天風呂というのも乙なものだ。


 『雲、ありがとう!』


 白雷は浮かび上がるとすごいスピードで雲の中に突っ込んでいった。


 「もしかして、温泉が好きなの私だけか。」


 食事もそうだが、忍だけが好きなものならあまり皆を付き合わせるのは気が引けた。

 そしてもうひとり、温泉がダメな仲間が発覚する。



 忍が露天風呂から上がると、ニカがソファに座っていた。

 縮こまって膝を抱え込むように座っている。


 「しのぶさん、なんか……ピリピリする。」


 「どこ?見せて。」


 顔を上げたニカの全身には、小さな赤い発疹が出ていた。

 胸から下が特に酷い、忍は【シェッドシックネス】をかけたが、効果はない。

 次にかけた【リムーブポイズン】でニカの痛みは引いたようだ。

 【ウォーターリジェネレーション】をかけると、ほどなくして発疹自体もなくなっていった。


 「毒か、ニカ、心当たりはある?」


 「しのぶさん、ごめんなさい。おんせん、かも。」


 ニカが植物の魔物であることは間違いない、胸から下という位置からしても考えられることだった。

 温泉成分が悪さをするというのは人でもよくあることだ、だから忍は温泉からあがるときに真水で成分を流す。


 「すまない、温泉に来たいなんて言ったせいで。」


 「あやまらないで。しのぶさん、おんせんすきなのすごくわかったもん。」


 ニカは回復したばかりなのに忍の方を気遣ってくれる。

 浮かれていた自分に罰を下したい気分だった。


 「本当か?無理してないか?」


 「もう、だいじょうぶ。わたしもしらなかったし、しのぶさんがなおしてくれたんだよ。」


 その後、起き出してきた山吹も含めて天原忍者隊の風呂に対する考え方会議をした。

 結果、ニカは嫌いではない程度、白雷は風呂は苦手、山吹は結構好きで、千影は問題ないということが共有された。


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