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竜姫の番探し9

「さて、出発しよう」

「みんなたくさんくれてありがとう!」

荷台にはローガンの仕入れた荷に負けず劣らお土産が積まれている。ローガンとルクスは村中の人に見送られて出発した。


「ルクスちゃん、また来るんだよ!」

「気をつけてね、良い人を見つけるんだよ!」

「ローガン、しっかり守ってやってくれよ」


なぜだか町中総出で親戚の娘の旅立ちを送るみたいになっていたが見えなくなるまで手を振っていた。


「この町は美味しいものがいっぱいあったけど、運命の番いなかったな~」

朝ごはんもしっかり頂いたルクスが荷台でぼやく。


「ふはっ。まあそんなに簡単に運命の相手なんて見つかるとは思えないからな。俺はこれから王都に帰るんだ。ルクスも良ければこのまま一緒に来ないか?番ってのが見つからなければ、商会で働きながら見つければ良いし」

「いいの?私みんなが言ってたお金って持ってないけど」


昨日町でローガンが荷物を渡したとき受け取っている鉱物は何かと聞いたらみんなに驚かれた。

「これはお金と言って、欲しい物と交換するための代わりになるものだよ」

まあな、田舎だと現金より物々交換が多いところもあるよな、とローガンが思っていたら革袋から


「これはお金になる?」

と言って出して来たのは親指の爪くらいあるエメラルドだった。


「ルクス、これ...」

「みんながたくさんくれたんだけど、重かったから大きいのは置いてきたんだ」

いやいやいや、充分大きいです!ローガンは焦った。


「あとは、青いのと透明なのとか、あ、母さまが涙を固めてくれたのは薬だって言ってた」

ざらざらと宝石を取り出す。


「わあー!ストップ!ストップ! こういうの他の人に見せちゃダメってお母さんに言われなかったか?!」

「なんで?」

「そりゃ、悪い奴に盗まれたり、危ない目に会うからで...」

ローガンはくしゃりと頭を抱えた。


『ダメだこの子、本当に危ない!お母さん、お使いもできない子は旅に出しちゃ行けませんよ!』と見も知らない母親に向かって叫びたくなった。


「お金は王都に着いたら宝石と交換してやるよ。あんなに大きなエメラルドは田舎じゃあ買い手が付かない」

ぽくぽくと長閑な蹄の音をたてて荷馬車が進む。


ルクスはなるほど、と殊勝な顔をしながら

「やっぱり石なんかじゃあのおいしかったチーズとは交換できないもんね」などと言うので


「ぶわっふ! ち、チーズと交換...。チーズはたくさん貰ったから良いだろ。番よりうまいもの探しの旅になってきたな」


「!! そっか、番が見つかるまでおいしい物をたくさん食べていれば良いよね!おいしい物いっぱい探すぞ~」

元気いっぱいに手を上げたルクスにガクッとなった。


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