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竜姫の番探し41

「ローガン、本当にありがとう。ローガンと知り合ったおかげで番を見つけられたよ」


涙を浮かべるローガンとオリビア、ミリイは言葉もなく美しいルクスを見つめている。

とうとうルクスとグラディウスが結婚の義を執り行う日がやって来たのだ。

ルクスは王子が張り切って準備した光沢のある白絹で作ったマーメイドラインのウェディングドレスに身を包んでいる。首元は複雑に編まれたレースで覆われており胸元の切り替えには真珠が並べられ、清楚なデザインになっている。


「オリビア、ミリイ、私を王都の家族にしてくれてありがとう」

オリビアは号泣して言葉もでない。

「ルクス、すごく綺麗。やっぱり本当にお姫様だったね」

ミリイがゼファを抱っこしながら言う。

「ふふふ、ミリイが私のことお姫様って言ってくれたから王子様を見つけられたんだね」

二人は笑い合う。


「お時間です」

神殿からやって来た神官の一人が呼びにやって来た。

ルクスは立ち上がるとゼファを抱っこしたミリイとオリビアと手を繋ぎ、後ろからローガンが付いて歩いていく。


「ふむ、この入場も悪くはないが、我がまるで人形のようだな。ひとつ竜の愛し子らしく入場してやろうではないか」

ゼファは抱かれたままの姿が気に入らないようで急にそんなことを言い出した。




花婿であるグラディウス王子は王城の一角にある神殿の入り口で花嫁を待っている。すでに中にはインウィクトス王をはじめとした王族と宰相や国の重鎮、そしてレーベンダルグ王国の王家が揃っている。

神殿は白く輝く太い柱で支えられ、荘厳な屋根には精緻なレリーフが施されている。中に続く階段には王家の色である藍色の絨毯がひかれ、左右の列には白と紫の花びらを入れた籠を持って待機する侍女達が緊張した面持ちで整列している。

その時、ごうっと風が吹き上がり、籠の中の花びらが空に舞い上がった。


「竜だ!!」


ゼファがルクスとローガン、オリビアとミリイを乗せて現れた。横座りに座ったルクスは輝く笑顔で手を振っている。王城の人々も城下の人々も空を見上げて歓声を上げる。真っ青な空にルクスの被った白いベールが風にたなびいて白夜の狐火のように光る。


「ルクス!!」


ふわりとゼファから降り立ったルクスに走りよって抱き締める。

ローガン達は初めて飛んだので腰が抜けぎみだが、ミリイは元気一杯でまた小さくなったゼファをさかんに褒めている。


「グラディウス!」

「なんて素敵な入場なんだ!こんなことなら、僕も一緒にゼファに乗せてもらったのに!」

喜びつつも悔しがる花婿に

「これからいつだって乗せてもらえるじゃない」

と花嫁は呆れ顔だ。


後ろから案内役だったリージスが全速力で走ってくる。

「こんのおお~!花婿がこれなら花嫁まで自由気ままに生きやがって!俺はもう絶対ついていかんぞ!護衛できない護衛騎士なぞ辞めてやる!」


その時、表の騒ぎに神殿の入り口が開いてインウィクトス王達が出てきた。

「一体、結婚式当日まで何をしでかしているんだ!早く来ないと延期にするぞ!」

王の一喝に全員が肩をすくめて改めて入場する。


「ルクス、言ってなかったけど、とても美しいよ」

そう言って頬にちゅっとキスを落とす。

真っ赤になったルクスが固まってしまったのでリージスが

「おい、こんなところでつまみ食いすんな。さっさと神様の前でやれ」呆れて促す。

「僕にとってはルクスが僕の女神だよ」

「いいから早く入れっていってんだよ!」

二人は苦労性のリージスに笑いながらみんなが待つ神殿に入っていった。


竜の祝福がありますように!


おわり

これで終了となります。

拙い文章を読んで頂きありがとうございました!


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