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竜姫の番探し37

「殿下!ご無事ですか!?殿下!!」

騎士達がドアの前に駆けつけて中に走り込むと、窓から除くゼファにぎょろりと睨まれうおっと言って慌てて引く。


グラディウスは両手を広げて

「静まれ! 偉大なる竜王の御前である、控えおろう!」

抑揚をつけた朗々と響く声で騎士達に告げる。

騎士達は王子の様子にすかさず頭を下げて跪く。


「誰か陛下にお伝えしろ!竜王ゼファ様が降臨された。神託がくだされる。直ちに玉座を設えるように!」

「は?」

「え?神託って何?」

まぬけなゼファとルクスの答えをまるっと無視して騎士達に指示を飛ばす。それからグラディウスが竜に何事か伝えると竜は窓から離れ、空中でホバリングし始めた。


「おお、我らが王子は竜に認められた!すぐに陛下に伝令を、急げ!」

騎士達は一目散に国王の元に走って行く。


グラディウスはご機嫌な様子でルクスを抱き上げるとすたすた自分の部屋に向かう。長い廊下では皆逃げ出したのかあちこちに書類や物が散乱している。


「あの、どこ行くの?そしてなんでこの格好??」

揺れるので思わず首に手を回したルクスにグラディウスはちゅっとリップ音をたてて頬にキスをすると

「ちょうど良いから結婚の宣誓をしてしまおうと思って」


「「...は、はああ!?」」


真っ赤になったルクスは呼吸困難気味だ。

リージスも後から追いかけて驚きの声をあげる。


自室につくとなぜかウェディングドレスがトルソーにかかっており、さっと剥がすと侍女を呼びつける。


「いやちょっと待て、結婚の宣誓? 竜の騒ぎの最中に? そしてなんでウェディングドレスが既に完成してんの?!」


既に考えることがキャパオーバーしたルクスを侍女と共に隣室に送るとグラディウスは自分も真っ白の式典用の騎士服に着替え始める。


「おいこら馬鹿殿下、説明しやがれ!!!」

「わかった、わかった、落ち着け」

そう言って花瓶から引き抜いた薔薇の花をリージスの胸ポケットに差し込む。


「頼むからお前が落ち着かせてくれ」

膝から崩れ落ちたリージスの頭をぽんぽん叩くと

「つまり、一石二鳥どころか三鳥狩れる最高の機会がやって来たってことさ」

王子様スマイルを披露した。





城の中は竜が現れたことで大混乱に陥っていた。号泣するメイドや逃げ出そうとする役人、腰を抜かす貴族、誰もがこの世の終わりが来たと震撼した。


インウィクトス王は自分の目で本物の竜を確認すると即座に刺激をしないで城の防護にあたるよう指示を飛ばした。

「決してこちらから攻撃をするな!動向を見て、何が目的か探るのだ!」

城壁に設置されている見張り搭には弓を置かせ、騎士達には剣を納めさせた。そこへ伝令が届いた。


「ご連絡します!グラディウス殿下より、竜王様の神託がくだされるとのことです!速やかに城庭に玉座を設えるようにとのことです!」汗だくの騎士はなぜか感涙を浮かべている。


ぽかんとしたインウィクトス王は

「グラディウスが...? 竜の神託だと...?」


そして城に滞在していたバシレオスは呆然としていた。

まさか、まさか本当に竜が現れるなんて。


全ての人が混乱に陥っていたが、グラディウスが真っ白なドレスを着たルクスを抱き上げて城庭に現れると誰の咳の一つも聞こえないくらい静まりかえった。


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