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竜姫の番探し25

ルクスが困っていると王子は「それはとても良いことを聞いた」と顔に書いて出してきた。

それに反して顔色が青くなるローガン、目を剥く騎士。


「良かった!ではぜひ僕をあなたの婚約者にしてくれませんか?」

「私の番になりたいの?」

あ言っちゃった、けどパーティーでないから約束その一には当てはまらないよね?


「はい!貴方に救われた後、体に残った貴方の魔力をなめるように確かめました。そして絶対に私の運命の相手だと思ったんです!」

「いやなんかちょっと気持ち悪い」

ミリイの方を見ると×マークを出している。


「ずっとずっとお探ししていました。しかし貴方はまるで幻影だったかのように見つからなかった...。しかし、今日パーティーで貴方の魔力を近くに感じて辿った! 一目見てあなたに間違いないと確信しました!!」


「「!!??」」

「えっと~急に言われても。そもそも今初めて会ったしね?」

ミリイの方を窺うと両手で○を出している。よしよし。


「そうですね、一般的には婚約前に釣書などを見てからお会いして決めますが...。そうだ、今せっかくお会いしているので検討してみてください、釣書など不要なくらいお話しします!では、ルクス嬢が婚約者に求める条件はどんなものがありますか?」

「条件?」

王子は自分の髪に手を触れて

「例えば髪は藍色が良いとか、背は高い方が良いとか、財産は多い方が良いとか」


『それ、自分のことじゃん!』

とローガンも騎士も心の中で突っ込む。


「う~ん、髪は何色でも良いし、大きさも特に気にしないし、財産...?」

ちらっとミリイの方を窺うと更に大きく×を出されている。何でぇ?


王子はぱあっと本当に発光したみたい笑うと

「そうですか、では私などいかがでしょう? 騎士団長を務めておりますから健康体ですし、王立学園首席卒業、魔術師資格取得、なかなかお得だと思うのですが」


『王子がお得とか言っていいの?』

ローガンと騎士は顔を見合わせる。


「う~ん、健康なのはよかったね。でも学園?は良くわからないし、そもそも魔術師ってなに?」

ミリイはストップマークを出しているが、いつの間にかやって来たオリビアが両腕で大きく○を出している。あれってどういう意味???


王子はいつの間にかルクスの手をにぎって説明する。

「ああ、魔術師とは魔力が一定以上あり尚且つ術式を発動できる人間で我が国ですとおよそ50人くらい存在しそのほとんどが王城の魔術団に所属しています」

「ちょっと、ちょっと待ってください、殿下。今日はルクス嬢に先日の出来事を確認するために伺っているんですよね?奇跡の技を使った魔術師なのか、あの薬はどうやって手に入れたのかとか聞くんでしょ?何で求婚することになっているんですか?っていうか何勝手に手とか握ってるんですか!」

リージスが二人の手の間に入れて離す。


王子は気にもとめない様子で甘く蕩けるように笑うと、

「ああ、そうだったね。命の恩人を探すために全ての夜会に出ていたけど、僕の勘ではルクス嬢で間違いないし、この魔力探知機みもルクス嬢を指しているからね。だからもうそれは置いておいて、とりあえずこの紙にサインをしてもらえばいいんじゃないかな」

スッと懐から『婚約宣誓書』をテーブルに出す。


「「用意が周到過ぎる!!」」


ローガンと騎士が叫んだ。


ルクスは目の前で繰り広げられる突然の求婚についていけてなかった。


『なんか良くわからないけど、この人は番になろうって言ってるってことで良いのかな?やたらぴかぴか光ってるから竜に好かれそう。う~ん、私はどうかな?番になれるかな?』


向かいに座っている相手にをじっくり見つめ直すと王子はにこりと微笑む。

なぜだかその微笑みに顔が赤くなる。微かに漏れている魔力が柔らかい光を帯びていて『気持ちが良さそう』と思う。


「だから、陛下に了承も得ずに勝手に婚約とかしちゃダメだって言ってるんですよ!」

「そうですよ、ルクスは平民ですし知り合いから預かっているんです。殿下と婚約なんて無理なんです!」

二人に止められて不思議そうな顔をして王子は

「でも、陛下は早く結婚しろって毎日言うし、ルクス嬢のご両親には魔鳩飛ばしてすぐに連絡するし、問題なくない?」


「「問題しかない!」」


わからないとばかりに肩をすくめると

「とにかく、一番はルクス嬢の気持ちだと思うんだ。どうだろう、僕をあなたの一生のパートナーにしてくれませんか?」


「うん、いいよ」

「良かった!では早速サインを」

「良いの!?」

「いや、良くないよ!ルクスちょっと待って!」


紛叫と絶叫の状況にミリイがゼファを抱えて飛び込んでくる。

「ルクス、結婚は一生の問題よ! もっと真剣に考えて!カッコよくても変な趣味とかあったらどうするの!?」


「「王子に不敬!」」


オリビアもアンディを抱いて飛び込んでくる。

「いいわ、いいわ!ルクスちゃん! 恋はするものじゃないの、落ちるものよね!」


「「また変な意見出てきた!」」


大混乱の周囲を置いて、ルクスは王子と見つめ合う。

菫色の瞳を細めてにこりと微笑むと王子の胸がどきりと音を立てる。

「ただ、絶対に譲れない条件があるの」

「なんでしょう? あなたの願いならなんでも叶えます」

「良かった!島に一緒に住んで欲しいの!」


「「「...島?」」」

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