第十七話
続きです。
よろしくお願いします。
視界が滲んで私の前に座っている二人の姿がぼやけてきて、私は、ああ、ここで目を閉じたなら絶対に溢れてしまうと思った。
そして実際そうなった。ゆっくり目を閉じると涙が一筋ずつ両の頬を伝った。そこから先はもはや自分ではもうどうしようもなくなって、私に向けられていた滲んだ二つの顔、一つは慌てたような、もう一つは優しげなままの顔をこの目に映したのを最後に私は顔を両手で覆い、静かに嗚咽を漏らして溜まった涙をぼろぼろと溢した。私が涙を溢したことで静かになったこの部屋の音は少しの間それだけになった。
私がこうして泣いているのは、憂いていることは何も変わらないままだとしても、それでもやっぱりホッとしたからで、いとも簡単に私の警戒心を容易く解かす優しさに触れたからで、割と近くに私と同じ人が、理解てくれる人がいたからで、今はただ悩める小さな存在でしかない私にはその全てがとても有り難かったから。
明日香とあまちゃん、そこに理香と亜衣が遅れてやって来て、クリスマスという名のタコパーをして一夜を過ごしたその別れ際、良いお年を、また来年もよろしくねと年末の挨拶を交わし、あっという間に新しく迎えた年は公私共に一つの区切りが着く年。高校生活最後の一年であり、私の恋の最後の一年。いよいよ終わりが近づきつつあるという感じがしている。
とは言え年度というシステムだから、それを強く意識するのは高三になってからだろうけど、私の中では既にそんな感じだから、今もこの先も疎かにすることなく、終わりの日まで悔いなく過ごすつもり。それが私の今年の抱負。
「好きなもん選んでくれいいぞ。奢ってやるよ」
「いいんですか?」
「おう。三つでも四つでもじゃんじゃんな」
と、そんな抱負を一年の感謝とともに土地神様に報告した初詣も今は少し昔になって、早くも一月が終わろうとしている今日という日の土曜日の午後、前に言った通り話でもしようぜーと連絡をくれた玲さんに連れて来られた知らない人の部屋で、慣れない面子の中にいて私は一人困惑していた。
ちなみに上の会話は来る前に寄ったケーキ屋さんで手土産を買う時のこと。
「真里。連れてきた。この子が美月な」
「あなたが美月さんね。いらっしゃい。どうぞ入って」
「あ、はい」
真里さんに招かれるまま部屋に入り、早速食おうぜー、あと、飲み物用意するから美月は適当に座って待っててくれと玲さんに言われたままにソファにちょこんと座るその前にお手洗いをお借りした。
「これお土産な」
「ありがとう。なに買ってきてくれたの?」
「すげーやつ。まぁ見てくれよ」
お手洗いから戻ったあと、私は言われた通り借りてきた猫のように大人しくソファに座り、頭だけを左右に動かしながら私もこんな部屋に住みたいなぁと考えているとそんな会話が聞こえてきた。
私はそちらに目を向けて、すげーやつって明日香みたいなこと言うなぁとこっそり笑って、さてこのお二人は一体どんな関係なんだろうと、その仲良さげな様子を眺めていると、程なくコーヒーと玲さんが買った手土産をテーブルに並べた終えたお二人が私の前に互いの体がくっ付くくらいの距離で座った。やけに近い。
「まずは食おうぜ」
「うん。いただきます」
「いただきます」
ともあれ玲さんの言う通り、先ずは玲さんの手土産ついでに買ってもらったゼリーを食べる。なぜここなのか。この女性はなんなのか。疑問は尽きず、私の困惑と緊張を解すには持ってこいの甘い物。これはそれらを解すためで逃避とは違う。
「あ、美味しい」
「まじか。私もそれにすりゃよかった」
「よかったらひと口食べます?」
私はモカジャバゼリーの入った容器を玲さんに差し出した。
「お。いいのかよ。ラッキー」
まるで明日香のようにはち切れんばかりの笑顔を浮かべて玲さんはそれを受け取った。早速口に入れようとするも、おっ、ホークじゃ食いづれぇなこのやろーめって言っている。
「玲ったら子供みたいよ」
「いいんだよ。私はまだ学生だから子供みたいなもんなんだし」
「美味しそうだね。美月さん。私もいい?」
「もちろんです」
「ありがとう」
「真里はだめー」
「あ、こら。よこしなさい」
突然、でもないけど、私の前で二人の女性が私のモカジャバゼリーを食べながらイチャつくように話をしている現在、私は何を見せられているのかと思いながらも万が一の可能性についても考えていた。
それは、もしも私がこのあと騙されたり嵌められたりする可能性があるとするのなら、玲さんの隣で静かな笑みを湛える女性、朝香真里さんが怪しい何かの勧誘員だったりする場合、ということ。
チュウチュウ。と言うわけだから椎名さん。これは貴女だけの特別なチャンス。こんな話は二度とないから迷っていないで今すぐ契約なさい。現物と資料が送られて来るから、そうしたら次は自分で会員を集めるの。そうすれば貴女もすぐに私のように稼げるようになるわよ。それこそ払ってもらう契約金の五十万円や月に納める会費の十万円なんて微々たる額だと思えるくらいにはね。どう? いい話でしょう? チュウチュウ。
なんて言われたりする場合だけど私はまだ高校生だからそれはないとする。と、あとはよく当たる、何処何処の母と呼ばれる占い系、又はお祓い系とかご利益系のお札とか壺とかそれ系何考えられると私は思うの。
確かに信教の自由は憲法で保障されているし個人の自由だと私も思うけど、それを人に強要したり巻き込んでは駄目だと私は思うから、話がややこしくなる前に、いやぁ、それはちょっと……と、やんわりとお断りを入れたいところ。
「はい。ありがとう。美味しいねそれ」
「あ、はい」
そうなったら面倒くさいなぁ、なんて考えていると私が選んだ私のモカジャバゼリーが私の元に無事に帰って来た。残り三分の一くらいに減ってしまったことを顔に出さないように嘆きつつ、こんなことならもう一つ買って貰えばよかったなぁと思いながらスプーンでゼリーを掬って口に含んだ途端、玲さんが食べながら聞いてくれと、とんでもないことをなんでもないふうに言った。
「さてと。今日ここにきた理由なんだけど、美月、お前には教えておく。私と真里は付き合ってんだよ。恋人ってやつだな」
「そういうことなの。いきなりだけど玲は私の彼女ってわけ」
極自然に、さも当たり前のように言われたことに私は耳を疑った。二人は今も、つまり私と玲はカノカノの関係なのよ、カノカノって何だよと、とても楽しそうに話している。
「カレカノなんだから私たちはカノカノでしょう?」
「カノカノなぁ」
何を言われたか、それはちゃんと理解は出来た。私は耳が悪いわけじゃないし日本語だって造詣が深い。幼い頃に自然と身について使っている唯一の言語だから、会話の中の単語やその意味を聞き間違えたり間違って捉えたりする筈がない。言われたことを素直に聞けば、お二人が恋人同士というのは本当のことなんだと思う。今お二人が使っているお揃いのマグとか、ここに着いてすぐに借りた洗面所でなんの気無しに見た、カップに入った対の歯ブラシも暗にそれを証明していたんだと今は思う。
「カノカノ」
「わかったよ。カノカノな」
「カノカノ」
「しつけーよ。わかったっての」
目の前に私と同じ、Lという文字で括られた女性が二人いて、しかもお二人は、私が明日香とそうなれたならどんなにいいだろうと諦めながらも思い続けた恋人同士だと言う。
玲さんがわざわざ私を連れ出して、こうしてこの場を設けた意味は何だろう? と、そう考えたのはほんの一瞬で、察しのいい私はその意味をとっくに理解していた。
それは救い。私のことがどこでどうバレたのかわからないけどそういうこと。とてもありがたいことに、お前は一人じゃねぇぞと、ウチらがいるぞと、お前にもこんな未来があるんだぞと、真里さんと二人、親しくもない私に自らの秘密を晒け出してくれたのだ。
けどそれを、これ幸いと諸手を挙げて信じてはいけない。私に向けて差し伸べられた手をすぐに取ってはいけない。私も同じです、なんてすぐに飛び付いてはいけない。信じたいけど油断は禁物。それはとても怖いこと。この時の私はそんな突拍子もないことを考えていた。
「玲。ちょっといきなり過ぎだったんじゃないの?」
黙ったままでいる私を見て真里さんが言った。もっとゆっくり時間をかけるべきだって言ったでしょうと。
「どうせ話すつもりだったんだからべつにいいだろ」
「それはそうだけど」
「うーん。ならどうすっかな。キスでもして見せりゃあ信じるかぁ?」
「ぶほっ」
「うわっ」
「バカなの?」
私の口からフリーズしたまま噛むことを忘れていたコーヒーゼリーが玲さんの方へ飛び出して行った。
咄嗟に自分のやつを持ち上げて、うわぁ汚ねえなぁって騒ぐ玲さんの横で真里さんが飛んだコーヒーゼリーを素早く紙で拭き取りながら、そういう話じゃないでしょうが、今のは玲が悪いと言ってくれている。
飛ばしたのは私だけどそこは私もそう思う。そしては私はそれとは別に、その様子が普段の私と明日香を見ているみたいで少しこそばゆい気持ちになっていた。
相手を想い合うという気持ちはこんな感じで表に出てしまうんだとすると、私の場合は片思いだけど、見る人が見ればバレてしまうのもなんだと、玲さんが私の抱えるモノを疑ったことに納得していた。ということは、玲さんは私が明日香を好きなことも朧げながらでもわかっているわけだ。
そして玲さんは、朧げながらでもそれがわかってしまったから私を放って置けなかったのだと思う。同じような経験が玲さんにもあっただろうから、悩める私の力になれるかもと考えてくれたのだと思う。口が悪くて態度も悪くても、玲さんはとても優しい女性。
玲さんには、私が同性愛者だという確信は無かった筈。真里さんに至っては会ったこともない私のことを玲さんから聞いただけ。なのにこのお二人は、その冒さなくてもいいリスクを冒し、自分が同性愛者だということを私にどう思われたとしても、口さがなく吹聴されたとしても、それを甘んじて享受するつもりでいたのだと思う。
そんなこと、全くもって信じられない。今日の全てはこの私のため。
なんと有り難いことか。有り難くって涙が出てくる。
「ううっ」
「なっ。おおおおい美月」
「大丈夫よ玲。ちゃんと伝わったのよ」
そう。私を気遣うお二人の気持ちはちゃんと私に伝わった。とても有り難くって涙が出てくるくらい強烈に。そして私は涙を溢した。
始めは静かだった啜り泣きはやがて大きな嗚咽になってしまっていた。いくら止めようとしても止まらない。誰にも何も言えなくて、溜まりに溜まった私が抱える負の感情が堰を切ったように流れ出てしまったから。
それを察したかのように、好きなだけ泣いちまえという優しい声に甘えることにして、私は暫くのあいだ、幼い私が抱えるには重くて大き過ぎるモノについて溜め込んでいたものを吐き出すためにうぐうぐと泣いた。
悲しくて辛くって一人で泣いた夜は間々あって、その度に寝落ちして暗い気持ちのまま朝を迎える。それを家族にも当の明日香にも、他の誰にも悟られないようにカラ元気よくまた新たなる日常へ。そういう日はこれからもある。何も変わらないんだから当たり前。
けど少なくとも今は、一人寂しく泣く時とは全然違う。私が泣く理由を知っている人が私の側に二人もいてくれて、二人は気の済むまで泣いていいと言ってくれた。だから私は声を上げてわんわんと泣く。
と、誰かが私を包むように抱いてくれた。それがとても温かくて、私は回された腕にしがみつくように握り締めていた。離した時に服がしわしわになっていたことを謝ったけど、それが少しおかしくて私は笑ってしまった。
そして私は泣きながら、泣き止んだあとは今まで泣いた時とは違って、気持ちが随分と軽くなっている筈だと心の隅っこでそう思っていた。
「すんすんっ、すすすすすすっ」
やがて涙が落ちなくなって、その代わりというかなんというか、溜まりに溜まった鼻水を遠慮なくびーびーとかんだあと、私は真里さんが冷やしておきなさいと渡してくれた濡れタオルを目の上に乗せている。深く息を吸う度に胸の辺りで空気が引っかかって震える感じがする。
「あ、それなるよな」
「横隔膜が痙攣してるのよ」
「へぇ」
「あのぉ、それはしゃっくりじゃないかなぁと」
「そうなの?」
「たぶん、ですけど」
確かそうですよねとタオルを取って玲さんを見て、あ、同意を求める相手を間違えたなって思ったら案の定、そんな感じの答えが返ってきた。
「知らね。ってか私が知るわけねぇだろ」
「大丈夫。玲が知っているとは思っていないから。ね?」
「まぁ、はい」
「間違ってねぇけど、お前らなんかムカつくな」
「あはは」
「ふふふ」
こうして泣くだけ泣いて思った通りスッキリした気持ちになれたあと、私は名実ともに人生の先輩であるお二人と長々と色んな話をした。明日香のこともお二人はちゃんと聞いてくれた。何かしら思い当たることや思うこともあっただろうけど、肯定することも否定することも茶化すこともなく真剣に聞いてくれた。
「なんかすっきりしました」
「そりゃよかったな」
「そう」
「はい。ありがとうございました」
「べつに礼なんていらねぇぞ。ウチらが好きでしたことだからな」
「そうよ」
こうして溜め込んでいた思いの丈をぶち撒けることができたからと言って私が明日香と付き合えるようになるわけじゃない。現実はどこまで行っても現実のままで何も変わりはしない。そもそも私と明日香では見ている月が違うのだからそれは仕方のないこと。結局のところ、私は私の想いに応えられない女性を好きになって、その間色々思い悩んでいずれ失恋するだけ。私の恋は言ってしまえばそういうもの。それでも私にとってこの恋は特別で、私が想いを紡いで大事に育んだとても大切な恋だから、私は明日香を好きになってよかったと、恋をしてよかったと今思う。
「じゃあ送ってくるわ。あとでまた」
「うん。気をつけてね。美月さん、またね」
「はい。今日はありがとうございました」
そして外がすっかり暗くなったその帰り際、私が真里さんにお礼を伝えると、気にしなくていいのよ、いつでも遊びに来てね、美月さんなら歓迎するよと言ってくれた。それをとてもありがたいなぁと思っていると私の横でなにやら厳しい顔になった玲さん、いやいや、その不満たらたら不機嫌な様子はもはやゴリさんと言うべきものだった。けど私は平気。以前の私なら怖いと思っただろうけど、ゴリさんの優しい人柄を知った今では実は全く怖くない。
「美月。言っとくけど真里は私の彼女だからな」
「はあ」
だから気のない返事をしておいた。そして私はその言動から玲さんが妬いてるんだとわかった。今も、美月、お前泣いている時真里に抱き締められてたよななんて言っている。
チラリと真里さんを見ればなんだか嬉しそうな顔になっていた。たぶん、妬かれて嬉しくなっちゃったみたい。
「私の、だからな」
私は絡んでくる玲さんを華麗にスルーして真里さんに話を振る。これはあまちゃん直伝の、うるさくてしょうもない奴は無視をするというあまちゃんの得意技。あれだけ一緒に居れば私だって嫌でも使えるようになると言うもの。
「真里さん愛されてますね」
「そうなのよ。こういうところがまた可愛いのよね。玲はいつもはかっこいいからね、ギャップ萌えってやつ? うふふ」
「だそうですよ。玲さん、よかったですね」
「私の、だぞっ」
「ちょっと。聞いてくださいよ」
「うがー」
あ、キレた。
なんでレディースはみんなうがーってキレるのかなぁって思いながら、真里さん、うふふじゃなくて早くなんとかしてくださいと私は思った。
「うふふ。うふふふふふ」
「うがー」
「あぶなっ」
そして私はうがうが唸る玲さんを宥めながら、この先ずっと続いて行く予感がするこの新たな縁を大事にしたいなと思った。
「うふふ」
「うがー、うがー」
「っと、落ち着いてくださいって。そこも、喜んでないでなんとかしてください。あー、めんどくさいなもー」
あとね、玲さんに送ってもらう車の中でこんな話をしたよ。
「わたしさー、ずっとなごのことが好きだったんだよなー」
「それは…ウチの宇宙がなんかすいません」
「それは違うだろ。いくら側にいたってそうなることはなかったからな。それは美月もわかんだろ」
「はい」
「なごが幸せならそれでいい。宇宙君とああなって、なごは実際幸せそうだしな」
「玲さんて」
「ん?」
「なんかかっこいいですね」
「だろ? それにな、私も今は幸せだしな。真里さんと会ってなごのことはもうきっちりケリがついてんだよ。ま、始まってもなかったけどな。あー、もう過去のことなんだよなぁ」
忘れちまったなぁ。あんなに特別だと思ってたのに。不思議なもんだわ。
微かに聞こえたその言葉は独り言のようなもので、私に返事を求めているわけじゃない。思うところが口に出ただけ。それが後悔なのか寂しさなのか懐かしさなのか私にはわからないけどなんとなく、明日香とのことにケリがついたら私も同じことを口にしそうな気がした。
「それはそうと美月。周りをよく見てみろよ。案外なんか見えてくっかもしんねぇぞ」
「えっと。それは私以外にも、ってことですか?」
「さぁ? どうだろうな。いるかもしんねぇしいないかもしんねぇ。ま、ウチらに会って多少気持ちに余裕も出来たろうし、もう少し周りに目を向けてもいいんじゃねぇのかって話」
「玲さんもそうしたんですか?」
「いんや。私が高校生の時はそんな余裕ちっともなかったからしてねーな」
「えー、なんですかそれ」
「ははははは。けどな美月、それができるようになったから私は美月に気づいたんだぞ」
はっとした。そう言われて感じるものがあった。けど私は何も言えずに開きかけた口を閉じた。感じたものを上手く言葉に出来なかったからで、そんな自分が情けなくなってくる。
「つーわけで、年上からのちょっとした助言ってやつだな。ま、頑張れ若人」
美月はまだ子供だからべつに気にすんなよーと、運転席から手を伸ばして私の頭をぽんぽんと叩いて笑う玲さんの横顔は綺麗でかっこいい。
この女性は今もここ一帯のレディースのトップだし、今日私にしてくれたことを思えばいざという時には頼りたくなるし、何かの映画の、姐さん歌ってやーっていう台詞が頭に浮かぶのも当然と言える。玲さんは学年で言えば私の二つ上なだけ。潜った修羅場の数なんて噂で耳に入るだけで本人は何も言わないからよくわからないけど、いまだやんちゃな玲さんだって十分若人な筈なのにやっぱり姐という言葉がやけにしっくりくる。
「わかりました。頑張りますね。玲おばさん」
「あのなぁ。誰かおばさんだよ誰が」
「だって玲さん凄く大人びているように思えるので」
「そりゃ嬉しいけどよ。私よりも真里のがずっと大人だぞ。年上ってのもあるんだろうけど、この私を受け止めてくれたんだからな」
「おお、なるほど。ということは真里さんは…」
大叔母さんてか、酷ぇなはははって笑っているけど女性の年齢をイジるのはいかがなものか。ここは私が嗜める必要があると思う。私はちょっと振ってみただけだから悪くない。
「玲さん」
「ははは、んぁ?」
「大叔母さんてか酷ぇなはははって笑ってましたよなんて誰かの口から真里さんに伝わったらどうするんですか」
「あ、やべぇ。今の無しで。内緒で頼むな。絶対言うなよ。いやマジで。な、絶対だからな。な」
「大丈夫です。任せてください。振りですね?」
「ちげーよ馬鹿。お前全然わかってねぇじゃん」
「失敬ですね。ちゃんとわかってますって」
「ぜってーわかってねぇだろ。くそっ。不安しかねぇな」
「へへへ」
お疲れさまでございました。
いちゃいちゃまでもう暫くお待ち下さいませませ。
読んでくれてありがとうございます。




