第十六話
続きです。
穏やかです。
よろしくお願いします。
つい先日文化祭が終わって期末試験がやって来たと思っていたら、時はその歩みを止めるつもりはないらしく気づいた時には高二の二学期までもが終わっていた。
この先の時間が長い筈の私たちはそのことを気にかけることなく、今がどれだけ貴重で尊い時間だったとしても、それを知らない私たちは今を単なる一つの区切りとして漫然とそれを遣り過ごす。
もしもやり直せたら、なんてことを考えたりするのは何十年も先の話で今はそんなことすら意識していない。それは当たり前のこと。私たちが気にすること、目に映すものはいつだって過去じゃなくて今とその先にある未来だから。
「なぁ。このあと時間あるならカラオケ行こうぜ」
私たちのマクダナルズ。さっさと学校を出た私たちがそこで早いお昼ご飯を食べていたら、ダブルでチーズなハンバーガーの一つ目を三口で食べ終えた明日香が二つ目の包装紙を剥がしながら最近歌ってねーからなんかすげー歌いてー気分なんだよなーって言った。
「それも三口とか」
「ね」
「うるさいよ。で、どうよ?」
「お店の手伝いはいいの?」
「今日はいいってさ」
「そっか。なら私はいいけどあまちゃんは?」
「行く」
「おしっ。じゃあ理香と亜衣も呼んでいいか? 最近会えてないん気がすんだよ」
「いいけど。あまちゃんは?」
「べつにいい」
私たちの言葉を受けて二人を誘うべく明日香が携帯を弄り出した。アイツら暇かなーって言っているその間もハンバーガーを離さないのはさすがとしか言えない。誰も奪ったりしないでしょって伝えてもそれについては聞く耳を持たない。
「あ」
そう言えば私が最後に食べようと思って置いておいたパンを、食わねぇなら貰うぞって言って明日香が食べちゃったことがあったような。私は嫌いなものを先に、好きなものを最後に食べる人だというのに。
あれは確かミートパイか塩あんぱんのどちらかだったようなと、思い出したらなんかちょっと腹が立ってきて、私は明日香の足を蹴っぽってやろうと足を出した。狙いはテーブルの下に投げ出された明日香の足。たとえ携帯を弄ってハンバーガーを食べるという二つのことを同時に出来ても、三つ目のこと、蹴られそうな足を避けるなんてことを同時に熟すなんてことはいくら明日香でも出来ないと思ったから。
「えい」
けど私が足を出した瞬間にカンって音がした。
そう。私が蹴ったのは足は足でもテーブルの足。その音に明日香もあまちゃんもぴくってしたけど特に気にした様子もないし、私の足の先が地味に痛くて悲しくなって私は頭を切り替えることにした。嫌なことはとっとと忘れるに限る。
「それにしても意外だよ。あまちゃんもカラオケとか行くんだね」
あまちゃんがマイクを持って楽しく歌う姿をどうしても想像出来なくて、行くと言った時ちょっと驚いた。合唱とかでもダルいとか言って口パクしてそうだし。
「べつに好きってわけじゃない。けど私は歌も上手いから。聴かせてあげるから私の美声に聴き惚れるといい」
「ははは。それはどうかなぁ。明日香は別として、たぶん私の方が上手いと思うよ」
「はっ。笑わせる」
冷たい眼差しで嘲笑うあまちゃん。ヒュってなるけど歌に関しては譲れない。私は伊達に毎日鼻唄を奏でているわけじゃないんだから。
なるほど今回のカラオケはもしかしなくてもあまちゃんの高々と真上に伸びた鼻をへし折るいい機会。世の中には上には上がいて、周りを見下して余裕をぶっこいていると足元を掬われてしまうことがあるということを教えてあげようと思う。
「あまちゃんこそ精々吠え面かくがいいさ」
「生意気」
「はーはーはー」
と、私たちがこんなやり取りをしている最中も、携帯をポチポチやりながら大きな口でハンバーガーに齧り付き、空いた手で携帯を弄る明日香。口の中の物を飲み込んだあと、んだよ、これじゃポテトが食えねぇじゃんかなんて言ってハンバーガーをトレイに置いてポテトを摘んで忙しそう。
「うまー」
そんな姿も意識してみれば余計に胸を締め付けてくる。失くしてしまうとわかっているからだろうけど、辛くたってなんだって私はこの気持ちから目を逸らしたり無理に蓋をしたりしない。これが今の私が出来る私の大事な初めての恋だから、形はどうあれちゃんと終わりにしてあげないと私の恋が可哀想。
って、明日香を見ながらしんみりしていたら、隣から、ふぇーふぇーと私を呼ぶ声がして、私の腕をちょんちょんする感触に顔を向けると、そこにはナゲットで頬を膨らませている壊れかけのあまちゃんがいた。
「ふまー」
「えー。何してんのあまちゃん」
「ふまー」
ついさっきまで、サラダをフォークで突きながらそのひとつ目をちまちまと申し訳程度に齧っていたナゲットの箱が空になっていた。
「ぷ」
理由がわからなくても、気分が落ちた私を構ってくれたんだと思う。こうして気遣ってくれる友だちがいることを私はとてもありがたく思う。
けど残念。あまちゃんはこんなことやり慣れていないと言うか初めての試みだろうから実はとんでもないことになっている。あまちゃんの今後のためにももっと上手くやりなさいって教えてあげようと思う。
「ふまー」
「見えてるって。やるなら明日香みたいに口の中を見せないようにやらないとダメ。汚いよ。このど素人め」
「痛い。痛いよあまちゃん」
ぼすぼすと私の脇腹を執拗に攻撃してくるあまちゃんの腕と格闘すること三分弱。
「何やってんだお前ら」
明日香の声に動きが止まった一瞬の隙を突いてあまちゃんの腕を掴むことに成功して、ホッとひと息漏らしながら明日香に訊ねる。
「あ、返事来たの? 二人とも来るって?」
「いや、まだ。ま、そのうち来んだろ」
そしてまたハンバーガーに齧り付く明日香。その後にいつもの台詞が続く筈。だから私はあまちゃんにその様子をよく見るように促した。
「うまー」
「ほら見てあまちゃん。全然見えないでしょ。しかもなに言ってるのかちゃんと聞き取れるでしょ。あれが玄人の技ってなもんなんだよ。ど素人のあまちゃんとは大違いだよね。はははははって、痛い。痛いよあまちゃん」
「マジでさぁ、お前ら何やってんだよ」
あんま店で騒ぐんじゃねぇよ、お店にも他の人にも迷惑だろって明日香が呆れた顔で私たちを嗜める。
「はい」
神妙に頷きつつ、楽しきゃいいじゃんべつによーって全方位に喧嘩を売っていた頃の明日香を思うと私はそれを嬉しく思うけどあまちゃんは酷く傷ついたご様子。とても悔しそうにこの私が明日香に注意されるなんてと呟いた。
「屈辱」
「いやいや。あまちゃんも相当なものだよ。ね? 明日香」
「ああ。本当だぞ。水野、お前自覚ねぇのかよ」
「まったくだよ。そういうのが実は一番怖いんだよ」
「わかるわ。ほんそれな」
「くっ、屈辱」
カラオケ屋さんは私たちが受付を済ませた途端に同じ学生さん連中で混み始めていた。待たずに部屋に入ることができた私たち。こういう時は日頃の行いがものを言う。
「理香と亜衣がいたら待つ羽目になったかもね」
「酷いぞ」
さっさとレパートリーの曲の一つをピピピッて入れてマイクを持った明日香は歌うま。その容姿もさることながら、カリスマ性と言うか自然と人を惹きつける何かを持っているし、バンドのボーカルなんて道も有りじゃないのかなと私は思っているけど明日香はそれに興味が無い。明日香の目指すところは料理人一択。そうやって人生の目標と言うか目指す自分が決まっていることを私は少し羨ましく思う。私の場合は法律関係だけど私の中ではまだ漠然としていて、その資格を活かした私が何者になるのかなれるのか、今のところわかっていないから。
「飲み物取ってくるよ。二人は何がいい?」
「私コーラな」
なっなっなっなっ
「うるさっ。マイク使って話さないで。エコーまでかかってるじゃん」
「細かいことはいいんだよっ」
よっよっよっよっ
「うるさいなぁもぉ」
口では文句を言いつつも、ちょっと面白くてついくすくすと笑ってしまった。こうなると明日香は調子に乗ってしまうけど、あまちゃんもくくく、アイスティお願い、くくくって笑っているからまぁいいかなと思いながら私は外に出るために扉を開けた。
あーあーあーあー、あ、曲が始まっちまった、た、た、た、た、
何やってんの馬鹿だなぁって思うけど、明日香らしくてやっぱり笑う。明日香といると何かと色々面白い。
「あはははは」
こんなことも私が明日香を好きになって良かったと思える理由の一つ。このまま時間が止まらないかなぁって密かに願う理由の一つ。そんなこと、無意味なことだと誰もが思うし私も思う。けどそう願うことは私の勝手。たとえ虚しくなったって、何を思い、何を願うのかは私の自由。なんの憂いも悩みもない誰も知らない私が造る私の世界。
なに言ってんだコイツって思うかもだけど、誰もが心の内にそんな世界を持っているものだと私は思う。
「気持ちよさそうだなぁ」
飲み物を持って戻ると明日香の熱唱は佳境を迎えていた。飲み物をトレイごとテーブルに置いてあまちゃんの隣に腰を下ろす。
「あまちゃんは決まったの?」
「もう入れた」
「なになに? なに歌うの?」
「ピチカートファイブ」
「へぇ」
「知ってるんだ」
「確かその昔、渋谷系とか言われてたとかいないとかだよね?」
「そう。で、椎名はなに歌うの?」
リクエスト用のタブレットをコチラに渡しながら私にそんなことを訊いちゃうなんてあまちゃんたらわかっているねと私が調子に乗って饒舌になるのは仕方ないこと。まぁ、私が歌う歌はみんな知らない歌ばかりなんだけど。
「知りたい? そっかぁ、知りたいのかぁ。じゃあしょうがない教えてあげるね。ある一定の年齢以上の人ならみんな大好きあきらときよひこだよ。私はね、いつかこんな日が来るんじゃないかと信じてずっと温めておいたの。ついにお披露目だよ凄くない? まぁ本当は海の向こうの歌、最近お気に入りなゼアシーゴーズなんかも歌いたいんだけどあまちゃんがポカンとしちゃうだろうからやめておくよって、ねぇ聞いてるの?」
「面倒くさいんだけど?」
「いやいや。あのねあまちゃん。言っておくけどあきらの薔薇のヤツなんて私が歌えば九十八点は固いからね。さっきの話もあるし、なんならこのパフェかけて勝負する?」
偶々テーブルの上にあったデザートのメニューを指すと、元々が好戦的な性格のあまちゃんはすぐさま乗ってきた。
「する」
「じゃ、ディール」
「ディール」
ふふふふと不敵に笑って握手を交わす私とあまちゃん。そしてそこへ勝負事大好き人間、血の気の多い明日香が乱入してくる。私たちの握る手の上にその手を置いた。
「私もやるぞっ」
ぞっぞっぞっぞっ
「明日香うるさい」
「終わったらマイク離すかスイッチ切ってよもぉ。耳がキーンてなるでしょ」
「おい椎名。怒られるぞ」
「細かいことはいいんだって。よし。じゃあ先ずは一度歌って喉を温めないとね」
「プロかよ」
「くくく」
そして。
なんだよこの歌。なぁ水野、お前知ってる? 知らない、でもあきらは知ってる気がする。なんてひそひそ声、でもない結構なボリュームで話す二人のことは置いておく。だって私は今、とっても気持ちがいいから。
「あぁるくほぉどにっ」
トリは私。明日香も意外にもあまちゃんも九十八点台後半を叩き出していたけど、私は今とても気持ちよく歌えているから、この分なら余裕な筈だし歴代最高得点を更新しちゃうかも。
「ぁあぁあぁきぃみはぁー、変わあったーーーーーーーーーー」
気持ちよーく歌い切り、大満足の私は曲の終わりを待たずに席に座る。
「あー気持ちよかったぁ」
「だろうな」
「だろうね」
「さて、何点かなぁ」
半ば呆れている二人を気にもせず、私は飲み物で喉を潤しワクワクしながら画面を見つめる。
ドロドロドロドロドロドロ、ジャーン
98.126点
「よっしゃー。ん? あれ?」
「あれ? ってなんだよ」
「だってさ、わたし上手かったよね? おかしくない? なにこの機械。壊れてるんじゃないの?」
「おかしくねぇし壊れてねぇだろ」
「椎名の負け。くくく」
「ちくしょー」
「よし。パフェ食うぞ。私はこれな」
「私はこれ。椎名、早く注文して」
「くっ」
そしてパフェが来た。イチゴのとチョコのとなんか欲張りなデカいヤツ。デカいヤツは私。明日香があーずりぃぞー、これと取っ替えろーって騒いでいるけどしてやらない。私は今からやけ食いするんだから。
「いただきます」
そして私は明日香からデカいパフェを守るようにして食べ始める。それを見た明日香は諦めたように、あまちゃんは全く興味なしでそれぞれに食べ始めた。
「うまー」
「うん。悪くない」
「あ、駄目だこれ。デカ過ぎたかも」
カラオケは暫しの休憩。隣の部屋から微かに漏れ聴こえる男性が歌う音が外れた熱唱。
「お耳汚しですみませんね」
「ぶはっ」
「ぷっ」
それを耳にしながらスプーンでカチカチとグラスを鳴らし、私は一人で食べ切ることを諦めて、それぞれのパフェを交換したりして食べ進めているともうすぐクリスマスだしせっかくだからなんかしようという話になった。
「じゃあウチでやる? 親は遅いし宇宙はなーさんと会うだろうしひとりだから」
「お。いいな」
「私も行く」
「プレゼント交換しよう。二千円くらいで」
「いいな」
「いいね」
「けどあまちゃん。お弁当を交換こした時みたいなのは駄目だから。今度は真面目にやってね」
「あ?」
「あれな。あれは臭かったよなー」
そう。兄さん、事件ですよと言いたくなったそれは試験の前の週、とある晴れた日のお昼休みのこと。その前日のお昼休みの時に、誰が言い出したのかは忘れたけど、明日それぞれのお弁当を交換しようという話になったんだけど、まぁ酷い目にあいました。
「え」
「おー。なんだよそれ。すげぇな」
「言葉に詰まるな。笑うな」
厳正なるくじ引きの結果、私があまちゃんの、明日香が私の、あまちゃんが明日香のお弁当を食べることになって、私はあまちゃんの手料理はどんなだろうとわくわくしながらその蓋を開けたんだけど、そしたらお弁当箱いっぱいのソース焼そばと焼き餃子が三つ入っていたの。あまちゃん馬鹿だから中華弁当よって自慢げに胸張ってたの。
焼そばはまぁ、スーパーでもコンビニでも売っているし、買う人がいるから売っているわけだからわからないでもなかったんだけど、その具がミックスベジタブルでマジ焦ったから。
「んむ」
人参が噛むとぐにょってなるくせに芯が残っていて、グリンピースは粉っぽいしで嫌いじゃないけどマジ辛かったから。
「……ねぇあまちゃん。なぜにこのチョイスを?」
「野菜だし便利だし」
「なるほど?」
「いやぁ、ウケるわー」
でもね、それはまだいいの。噛まずに呑み込める大きさだからよかったの。問題はね、焼そばじゃなくて餃子の方。
「なんか臭くねぇか」
「臭い」
「え」
チンしたのチン。冷えた餃子なんて食べたくないし、ここは家庭科室でレンジがあるから。さすがに寒くなる冬場は体育館裏で食べずに人の来ない穴場のここで食べているから。で、齧った途端に文句を言われたの。くせー臭いって。チンしたことで一気に匂いが広がって確かに臭かったけど。
「あまちゃんのせいでしょ」
「椎名。臭いから口閉じて」
「はあ?」
あまちゃんに理不尽なことを言われ、私の隣、もはや自分には関係ないみたいな感じで私が作ったお弁当を美味い美味いと頬張る明日香。嬉しいけど少々鼻に付いてもくる。だから私は伝家の宝刀を抜いてやったの。ささって。さささって。
「あーうめー。さすが椎名だな。あ、やめろよ。そんなもんこっちに入れようとすんなよ」
「ちっ」
失敗した。
そしてお昼休みの終わり。私はどうにか餃子を食べ終えて、それぞれの教室に戻る道すがら、二人が並んで早足に私を置いて先に行こうとする背を追いかけてその間に割り込もうと頑張ったの。
「椎名。頼むからちょっと離れてくれよ。お前マジで餃子臭ぇんだって」
「ほんと臭い。こっちくんな」
「ちょっとっ。泣くよ?」
酷くない?
そして歯を磨く時間もなかった五時間目。
「ねぇ椎名。なんか臭くない? ねぇ? 臭いよね? ちょっと椎名。なんで無視するの? ねぇってば」
斜め後ろに座るみっちーがそんなことを言う。その声をきっかけに、私の周りがそう思ってたんだよとかねーとかヒソヒソやり出す始末。
私は腕を枕に机に顔を伏せてこの状況をやり過ごすことにしたんだけど……
「うっ」
伏せた空間に篭っちゃってとても臭かったよ。酷くない?
とは言え過ぎたことは過ぎたこと。あまちゃんは料理が天才……天災的に駄目だから、あの中華弁当の全てが冷凍食品を詰め込んだだけのものだったとしても、あれがあまちゃんの精一杯だったことは私も明日香もわかっていて交換したから文句は言わない。いま言ったけどこれ以上は言わない。ロシアンルーレットをして私が負けただけだし。
「失礼な」
「まぁまぁあまちゃん。そう言わないで。今度料理というものを私が直々に教えてあげるから」
「本当に?」
「ほんと」
「ならいい」
途端にご機嫌が戻ったあまちゃん。私も教えてやるよと明日香が絡みに行ったところ、うーん、まぁいいか、よろしくなんて言うもんだから二人がわいわい揉め始めた。
「ほんと水野は素直じゃねーよなー」
「ほっとけ。単細胞」
「んだとぉ。誰が単細胞だコラァ」
「明日香に決まってるでしょ」
「はっ。このツンデレが」
こうなると、バランサーの私の出番ということになる。でも少し喧嘩みたいなことをさせておいてもいいのかも。
「ばーか」
「子供かよ」
この二人は私と違った形で仲がいい。それは私にとってとても嬉しいこと。
「ふふふ」
近い将来居場所を探す旅に出て、新しい場所や出会う人たちと過ごしていくうちにその人となりが変わったとしても、互いに会えない日々が続いたとしても、根っこの所は変わらずに、どうかいつまでも仲良しでいてほしいと私は思う。
「なんなのその気持ち悪い顔」
「ああ。いくらなんでもそれは酷いぞ椎名」
「んだとぉ、どう見ても菩薩の微笑みだっただろうがぁ」
「くくく」
「ははは」
そしてもしも二人がいつか、私がどんな人間なのかを知ったとしても、私もその輪の中に入れたままでいてほしいと切に思う。
「美味かった。椎名、ごっそうさん。じゃあ歌うか。延長な」
「はいはい」
「くくく」
あ、そうそう。理香と亜衣がどうしたか伝えておくね。大丈夫。すぐ終わるから。
「あ、ねぇ明日香、そう言えば理香と亜衣は? まだ返信来てないの?」
「アイツらまたゴリさんに捕まったんだってよ。だから無理っだってさっき来たぞ。しっかしアイツらゴリさんとの遭遇率マジ高ぇよな。ウケる」
るっるっるっるっ
「うるさいっての」
「だからマイクを置いて話してってば」
「細かいことはいいんだよ。うははは」
ははははは
お疲れ様でございました。
日常のお話は平和でなにより。こんな日がいつまでも続けばいいのになぁと思いました。
あと、お話の中で美月が歌った歌ですが、分かった方は機会があれば是非歌ってみてください。この歌、歌い切れたら超気持ちいいですので。あはは。
読んでくれてありがとうございます。




