表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/11

2−4

「あぁ………え〜っと」


なぜか騎士様が考え込んだまま

黙り込んでしまった


何? 私なんかした?

聖女様と共通の話題持ってます

みたいな嫌味に聞こえたかな?



「食べてみたいな……」



小さくボソリと呟いた言葉を私は見逃さなかった

どうやら興味があるようだ



「あ〜、よければ作ることも………」


「ほんとですか!」


下をうつ向いて考えていたクラウスさんは

パッと顔を上げて私に視線を投げかけた


あぁ、なんて可愛いんだろう


私より年上で身重も高くて……

騎士なだけあってガタイもそこそこいい



「まぁ、赤い果実があれば………

見た目はそっくりに作れると思います」


何やってんだ私、なかよくなってどうする

相手はあのヤンデレ騎士だぞ


いや…………まてよ…………

このまま仲良くなってしまえば

ちょっと粗相をしても見逃してもらえるのでは?


そうだ! 騎士さんと聖女様に

接点を作れば騎士さんも私に恩を感じるはず

そしてついでにラブイベントも拝めると……


一石二鳥とはこのことだ



「暇な時にでもぜひ!!」


昨日の今日でこの世界に馴染んで

しまってる私が恐ろしい




「お食事をお持ちいたしました!」



「はい、待ってました!」


コンコンと扉を叩いて

私の返答と共に部屋に入ってくるメイドさん


ティアラさんとメイアさん



テーブルに着席した私の前に

ゆっくりと料理を並べていく



「おぉ! 美味しそう」


よだれが溢れそうになってしまったので

急いで拭った……危ない危ない


濃厚そうなスープや焼き立てのパンの香り

が私の鼻をくすぐる


「いただきます!!」


美味しい…………今まで

食べたどのパンよりも美味しく感じる……


だけど…………お母さんの手料理が食べたいな



「お食事がお済みになりましたら


アーノルド様からお話があるとのことで

応接間までご案内させていただきます」


もくもくと食べていたパンを

うっかり落としそうになった……それぐらいの

絶望的な危機的状況である



アーノルド王子から話ってなに?

怖いんだけど……行きたくないんだけど



「わ……かり……ました」



はぁ、足が重いなぁ……ナマリを

足に繋いでるぐらい重いなぁ


スープとパンだけだった朝食は

あっという間に完食してしまい

王子と対面することに……



「柏木杏子様をお連れいたしました!」


「入れ……」


扉の向こうで王子らしき人物の

声が聞こえた



「失礼いたします」


「し、失礼します……」


ちょっと緊張のあまりガチガチに

なりながらティアラさんの見様見真似で

お辞儀し、挨拶をする




「…………!?」


アーノルド王子、その隣に聖女こと愛華ちゃん

テーブルを挟んだむかえ側に隣国のマーク第二王子


うっわぁ、何このメンツ……

眩しすぎて直視できないんですけど、

明日は三途の川に渡るのだろうか?


私はどこに座れと? 床か?

さすがに一般市民の私が王子様の

隣に腰掛けるわけにはいかないよね?

不敬になったら困る……



「肩の力を抜いて腰をかけてくれ」



「何やってるの、君はこっち」


床に膝をつこうとした私の腕を

掴んで立ち上がらせ自分の隣のソファーへ

誘導するマーク王子


スマートで紳士……さすがチャラ男なだけある



「昨日は申し訳なかった……

心より謝罪申し上げたい」


ほんとに申し訳なさそうに

私に頭を下げる一国の王子様


「俺も手荒な真似してごめんね

怖かったよね」


いちいちチャラい! 触ってくるんじゃない!!

って言いたいが我慢だ……不敬で罰せられ

ては元も子もない



「いえいえ〜、とんでもございませんわ〜

王子様に頭を下げていただくほどの

ことではございませんよ〜」


渾身の上品な笑い方と仕草で

口に手を添えお嬢様っぽい話し方をする



「杏子ちゃん、そんなにかしこまらなくて

大丈夫よ…………アルト様もマーク様も

優しいお方だから」



「あ、そっすか?じゃあ………

お言葉よろしいでしょうか?」


「あぁ、許そう」


一応不敬に問われないかの

確認をして許可をもらったことで


いざ、溜まったうっぷんをはらす



「じゃあお言葉に甘えまして〜…………ゴホンッ


いたいけな少女にいきなり剣を

突き付けるってなにごとですか!!


危うく漏らしそうになったし! 

それでも一国の王子でございますか!!」



「あぁ、本当にすまないことをした」


私の勢いに圧されてかショックを受けている

ご様子の王子……反省しているようだ


お、冷酷王子に勝ったぞ!



「それから第二王子様!!」


次にキッと第二王子を睨みつけた


「う、うん。」



「催眠術なんてひどすぎる!!

頭がぐらんぐらんして気持ち悪くて

頭が割れそうだったんですよ!!


言われたことは素直に答えますから

催眠術だけはやめてください……ほんとに」



「ご、ごめんね……もうしないから」


怒りをぶつけてマーク王子を睨みつけると

冷や汗を流しながら引きぎみに謝罪いただいた


催眠術だけはもう二度とかけられたくない…………



「杏子ちゃん…………さすがに言い過ぎ

だと思うわ……2人も反省して謝罪も頂いているし


一国の王子様にあの言い方は不敬に当ってしまうわ」



「えぇ……あ、申し訳ございませんでした!!」



聖女様に正されとんでもない過ちに気づき

急いで土下座を繰り出した



聖女様の言ってることは間違ってない


間違ってないけど………なんか違和感、

なんなんだろう




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ