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第六章 -3



 3



 この日ピソは、ファビウスを伴って、レントゥルスの家を訪れたという。現役財務官を、たまには肉体鍛錬の場に連れ出そうとしたためだ。そして見つけたのは、債権者により差し押さえられた質素な家と、生まれて間もない息子を抱きながら涙に暮れているレントゥルスの妻だった。辺りにはもうこの二人しかおらず、奴隷から家財からなにから皆失くし、レントゥルスは行方をくらましていたという。

 妻は離縁状、そしてなんと遺言状を持たされていた。後者には息子の後見人にピソを指名する旨と、さらにひと言。

「谷底に落ちたぼくのことは忘れてくれ」

 それからティベリウスら友人一同は、手分けしてローマ市域じゅうを探しまわった。丘の頂に用はないだろう。庶民らの暮らす地区を中心に、レントゥルスの名を呼ばわって駆けた。恐る恐る、タルペイヤの崖下まで覗きに行ったが、罪人ではないレントゥルスの無残な姿は見当たらなかった。

「縁起でもない言葉を書くなよ」

 ピソは消えた友人に文句を吐いた。彼はレントゥルスの妻を連れて、チルコ・マッシモのまわりを探しに行った。物乞いや娼婦などのたまり場があるのだ。ファビウスとグネウス、マルクスとネルヴァ、それにドルーススとユルスも各所に散った。

 ティベリウスはルキリウスとスッブラ地区を歩きまわった。ローマの庶民街であり、最も貧しい人たちが暮らすところだが、ティベリウスもかつてこの地区に住んでいたことがある。継父と母が結婚した日から数年間だ。かつて先代カエサルの家があり、継父もそこで少年時代を過ごした。

「どうしたら現役財務官が破産なんてするの?」

 ルキリウスは呆れたように嘆息していたが、答えを求めたわけではあるまい。ティベリウスも皮肉で返した。

「レントゥルスが清廉に職務を遂行していた証だな」

「うん、国庫のお金を着服していたら、任期満了までは持ちこたえたはずだからね」

 ルキリウスも同意した。

 レントゥルスは昨年の財務官ピソの仕事を引き継いでいた。ローマ最大規模を誇る貴族氏で、その中でも名の知られたレントゥルス家の家父長が、なぜ突然破産なのかと問われたら、おそらくだれにもわからない。おそらく本人にもわかっていないので、このようになった。

 しかし名門貴族が必ずしも裕福であるとは限らない。かつてローマに君臨したコルネリウス・スッラは、若い時分には貧しさに耐え忍ばねばならなかったという。神君カエサルもまた、とりわけ裕福だったわけではなく、借金に借金を重ねて、債権者を逆に破産の恐怖で苛んだとさえ伝えられる。

 アウグストゥスが平和をもたらすまで、ローマは長く内乱の只中にあった。没落した貴族は多い。ネロ家も破滅寸前まで追い込まれた。

 けれども今になってなぜ、というのが、レントゥルスに対する疑問だった。日々顔を合わせなかったわけではないのに、友人たちのだれにもなにも悟らせなかったとは。そういえば確かに、今年になってレントゥルスの家に招かれる機会が減っていた。

 とにかく、遅ればせながらピソが、なんとか奥方から話を聞き出さんとした。奥方もまた名家の出で、それゆえか家計のやりくりというものを知らないまま嫁いできた。決して浪費したわけではないが、財産にまつわる一切をすべて夫に任せていた。

 その夫が国庫を任されているあいだ、レントゥルス家の財産がなぜか少しずつ減っていったという。どうも執事の解放奴隷を中心に数名が結託し、あれも売りこれも売り、ほかの奴隷たちまで売り、さらに謎の巨大な借金までこしらえて、いよいよ屋敷まで処分して逃亡した、らしい。

 要するにレントゥルスは、長いあいだ窃盗被害に遭っていた。本人がようやく気づいた時には、法的手続きまで整えられて、身一つで路頭に放り投げられた。

 様々な面でひどい話だが、昔から注意を促されてきた事件ではあった。そのため若者には後見人がつく。成人後も商取引や資産管理は、当面後見人の監督に従うべしと推奨される。いつの世も詐欺師や盗人が手ぐすねを引いているからだ。

 気づいてあげられなかった友人一同にも責任があると、ティベリウスは思うのだった。せめてなにか馬鹿な真似をする前に、無事見つけ出したい。

 けれども、レントゥルスの姿はどこにもなかった。スッブラの脇道までしらみ潰しに歩き、マルスの野の端まで足を伸ばし、またスッブラに戻り、ティベリウスは何度も同じ場所を通っていた。この辺りにはいないと見なすしかなさそうだ。だがまだ明るい。もう夜になっていてもおかしくはないほど歩き続けたが、夏至までひと月足らずであるので、まだ陽は沈まないのだ。

「もう足が棒なんだけど……」

 ルキリウスがぼやいたが、正直ティベリウスも同様だった。一度立ち止まり、両膝に手を突きたい誘惑に抗いながら、汗をぬぐった。そこでふと、路傍に寝そべるみすぼらしい人々に目が行った。

 ローマでは小麦の無料配給があるので、市民であれば理論上飢えることはない。ただスッブラは住宅事情が良くない。人口集中に伴い、年々高層化していく家々で、貧しい人々ほど上の階に暮らす。しょっちゅう失火沙汰もある。そうした不都合の結果、家の中に入らず、陽が沈む時分になって神殿などの柱廊に移動して夜を明かす人は、完全にいなくなるということがない。

 ティベリウスが気づいたのは、そんな人たち中で、延々と居眠りを続けていた一人だ。昼からいたのだが、頭から藁敷をかぶって、まるで水死体のようだった。藁の一本でも使ったのだろう。その太腿脇の地面に、文字らしきものが書かれている。

『弁護承ります』

 ティベリウスは最初、この人が言葉を間違えているのだろうと見なした。『弁護人求む』の間違いであろうと。

 違っていたのは、ティベリウスだった。憤然と近寄り、藁敷を引っ剥がした。

「レントゥルス!」

 レントゥルスははたと目を開けた。そして無精髭だらけの汚れた顔を、ふにゃっとほころばせた。

「やあ、ティベリウス」

「なにが『やあ』だ。いったいここでなにをしているのか!」

「見てのとおりだよ」

 レントゥルスはむっくりと起き上がった。たった一日でよくここまで汚せると思うほど、ひどいトゥニカを着ていた。

「裸一貫、無からやり直すってわけさ。考えてみれば、ぼくの長年の夢だった。キケロみたいな雄弁家になって、実力で国家に貢献するのがさ」

 彼はうんと伸びをした。それで『弁護承ります』かとティベリウスはうめいた。いったいどの市民が、スッブラの路傍に寝そべる人間を弁護人に立てようと思うだろう。

「私たちはずっと君を呼んでいたぞ!」ティベリウスは非難した。「なぜ応えなかった? どれだけ心配したと思っている!」

「いやぁ、これが解放感ってやつかなぁ。とたんに眠くなっちゃって」

 ティベリウスに肩を揺さぶられるがまま、レントゥルスは申し訳なさげに眉尻を下げた。

「身に余るしがらみが全部なくなったわけだからなぁ。たぶん今のぼくが本当のぼくさ」

「レントゥルス」ティベリウスは友人を引っ張り上げんとした。「こんなところにいるな。家に帰るぞ」

「ぼくにもう家はないよ」

「弱気になってどうする。君は罠にはめられたんだ。取り戻さなければならない」

「いいんだよ。ぼくは争いごとは嫌いだ」

 これが雄弁で身を立てんとする男の言葉だろうか。

 ふにゃりとゆるんだ顔を傾け、レントゥルスはティベリウスの肩の向こう側を見た。

「ルキリウス・ロングス! ぼくの可愛いティベリウスを頼んだよ! ほんとはとても悔しくて仕方がないけど」

「君は現職の財務官だぞ!」ティベリウスはレントゥルスをもう一度自分に向き直らせた。「品位を守れ! 我々も手を貸す」

「いいんだってば、ティベリウス。ぼくはここから新しい人生を始める。いつか雄弁家として名を上げて、もう一度君たちのところへ帰るよ」

「今帰るんだ、今!」

 レントゥルスの首根っこをつかみ、ティベリウスは歩き出そうとした。レントゥルスはなお動きたがらなかった。

 ルキリウスはすでにまるで我関せずとばかりに、二人から距離を取っていた。

「お二人とも誠に遺憾ではあるんだけど、もうすぐ上の住人が尿瓶をぶちまけるところだよ」

 ティベリウスとレントゥルスは大慌てで駆け出した。





 友人総勢九人に引き立てられて、レントゥルスはパラティーノの丘を上った。とりあえずネロ家に連れ込み、今後について相談するつもりだった。すでに友人たちは、それぞれレントゥルスのためにどれだけ手持ちを出せるか、話を始めていた。

 ところが、ネロ家の前でアウグストゥスが待ち構えていた。

「聞いたぞ」

 継父は苦笑を浮かべていた。

「そういうことなら私が手を貸す。それから逃げた解放奴隷も捜索しないとな」

 継子の友人一行をカエサル家に連れ込み、継父が提示したのは八十万セステルティウスだった。元老院議員になるための最低資産額だ。若い友人たちが総力を結集しても、おいそれと用意できる額ではなかった。ティベリウスはあ然としたが、ピソもファビウスも、レントゥルス当人も同様だっただろう。しかも借金という形ではなく、レントゥルスの逃げた解放奴隷を捕まえて償わせることにすると、アウグストゥスは言った。

 ティベリウスは継父が自身の推薦者を選挙で応援する際、資金援助していることを知っていた。一千セステルティウスで、ほかの者も第一人者に倣い、この額を上限としていた。そして元老院議員になる際も、有能ゆえに必要な人材と判断したら、援助を惜しまなかった。しかし最低資産の丸ごと贈与とは、知る限り初めてだ。

 なんにせよこれで、レントゥルスの身辺は収まりがついた。当の本人はこの期に及んでも、雄弁家として市井から成り上がりたかったと残念そうに口にしていたが、コルネリウス氏の誇りもあったのだろう。

 ティベリウスも必ずしもレントゥルスの本意に添えなかったことはわかっている。わかっているが、幼馴染で、現職財務官である二十五歳を、このままスッブラの路傍に寝かせてはおけなかった。

 六月になった。春までの騒乱が落ち着き、ローマは平穏の中で夏を迎えようとしていた。しかし諸々の問題の根本は、未解決のままだ。

 たとえば、穀物供給がそうだ。早いところでは今期の収穫が始まっているはずだが、現状のままではまた遠からず飢饉沙汰になるだろう。

「まぁ……いざとなったら、またカエサルがアレクサンドリアから持ってきてくださるかぁ」

 メッサラ家のマルクスがぼやくように言った。グネウス・ピソがぎろりと視線を向けた。

「そういう甘えた考え方は国を没落させるぞ。情けない。自国民の食も作れない世界の覇者とは」

「そんなこと言っても、グネウス」マルクスはため息をついた。「ぼくは去年、このティベりんと一緒にイタリアじゅうの農地を見てきたけどさ、見通しは明るくないと思うよ。自分たちが食べる分を作るのが精一杯。首都の人口を賄うなんて無理だろうな。ただでさえ年々増えていってるのに」

「人口が増えるのは良いことなんだけどね」ネルヴァもため息をついた。「それに無料配給があるから、少なくとも首都にいれば飢えないわけだからね」

 グネウスもまた結局ため息をついた。「やはり小麦の無料配給制度は廃止するべきだな。去年、執政官だった父上がそれを立案していたら……今頃私は家父長だったろうな」

 父は市民に石を投げられて殺されていたに違いないという意味だ。三人はまたそれぞれにため息をこぼした。

 だれもかれも辛気臭げである理由の第一は、この日が雨であったためだろう。洪水になるほどの勢いではなさそうだが、止む気配はない。それで若者たちは、例によってアポロン神殿にこもり、午前の勉学を続行したり、室内でできる肉体鍛錬に取り組んだりしていた。

「例によって」だ。しかしなにかが違う。変わってしまった。おそらくそれが、辛気臭い理由の第二だ。

 ティベリウスは友人三人の話を黙して聞いていた。ルキリウスは図書館棟へ行った。ドルーススは退屈そうに辺りをぶらぶらしていた。

 レントゥルスは財務官の職を続けているので、この場にはいない。ピソとファビウスも、公私を補佐する奴隷がいなくなってしまった友人のため、あれこれ世話を焼きに出ている。

 神殿内に彼らしかいないわけではない。しかしなんとなく、夏であるわりに閑散とした空気であるのが否めない。

 マルケルスがいない。その現実が、彼らの腹に決して塞がりそうにない空洞を生んだのは事実だ。

 けれどもその鋭く深い痛みばかりではない。もっとゆっくりと、漠然と、しかし決定的になにかを失いつつある。そんな気配が立ち込めている気がした。

 ほんの少しの休憩のつもりだったのだが、このけだるい空気の下ではだれも運動を再開させられそうになかった。

「さみしいなぁ……」思わずとばかりにしみじみと、マルクスがつぶやいた。「マルケッラもいない。アントニアも、ユリアも、セレネたちも。なんというか、華がないっていうんだなぁ」

 それは、きっとあながち的外れの指摘ではなかった。ほんの数年前まで、アポロン神殿とは彼らのにぎやかな活動の場だった。雨の日も晴れの日も、彼らはかまわずよく学び、よく遊び、時に喧嘩し、時に家庭教師に叱られながら、無邪気な時間を謳歌していた。

 記憶の中では、きっと永遠だ。けれどもまたそのような日々が戻ってくるかといえば、きっと否だろう。

 彼らの中心にあって輝いていた少年マルケルスは、この世を去った。

 彼の喪中という理由もあるにせよ、彼の身内は人前に出る機会が減った。姉のマルケッラは、パラティーノの実家の母を訪ねはするものの、アポロン神殿には姿を見せなくなった。妹のマルケッラも、プルケル家に入ったきりだ。姉のアントニアは、悲しみに沈んだままの母に寄り添いながら、時折の婚約者アヘノバルブスの来訪になぐさめられているようだ。妹のアントニアはそれでも外に出てきていたのだが、今日は「ユリアとお裁縫をする」と言って、家から出てこなかった。

 セレネはユバとはるか西の国に行った。ヘリオスとプトレマイオスはローマにいるが、パラティーノの丘まで出てくるよりも、自宅のあるカエリウス丘に留まる日が増えていた。まして彼らの兄ユルスはなおさらであるようだ。

 マルケルスの永遠の不在が落とす影は、途方もなく濃い。

 けれども一方でまた、時は止まることなく過ぎていく。変化とは、多くの場合、否応なしに訪れるのだろう。少年だった者たちは公務に従事し、家父長になっていく。少女だった者たちは、結婚し、家庭を持ち、母親になっていく。

 失ったのは、子どもであった日々だ。

 生きていれば、子どもである日々とは平等であるはずだ。たとえ彼らが子どもでなくなっても、その日々は新しい世代に継がれていく。実際、この日のアポロン神殿とは、必ずしも閑散としていたわけではない。彼らではない子どもたちが、少し前までは元気に駆けまわっていたのだ。

 彼らが少年少女ではなくなっていく。ただそれだけだ。

 しかし彼らはもう二度と、あの日々ように無邪気に駆けて笑い合う時間を分かち合えないのだろうか。

 どんなに焦がれようと、マルケルスとの日々は二度と訪れない。それが厳然たる事実だ。

「それにしてもあの大量の小麦といい、レントゥルスへの大金といい、カエサルはいったいどれだけの財力をお持ちなんだろ」

 マルクスがぼんやりと言う。グネウスがまた重々しい口調で応じる。

「世界一裕福な国を、私領として持っているんだ。世界一裕福な人だろうな。そこらの富豪が束になっても太刀打ちできんだろう」

「もし……もしもだよ、カエサルに今万一のことがあったら、エジプトはだれのものになるのかな?」そう口にしてから、マルクスは目線を横向け、たちまち身震いした。口にする前からわかってはいただろうが。

「いや、ティベりん、にらまないでよ。万一って言ったじゃないか」

 それにしても大人とは、このようなけだるい空気の中で生きるということなのだろうか。

 そうだとしたらマルケルスに申し訳ない。そうではないか──。

「前途有望な元老院階級の若者諸君」

 下の演壇脇から、ルキリウスがひょいと顔を出した。

「よかったらこっちへ来てくれ。リヴィウス殿が著書を読んでほしいって」

 それでティベリウスたちは、ドルーススも加えて、図書館棟へ向かった。奥には複数の小部屋があり、リヴィウスはその一隅を借りて、執筆に勤しんでいた。

 通例、著作は自身が読み上げるという形で公に知らしめるのだが、この時リヴィウスは若者らに音読してほしいと頼んだ。

 リヴィウスは歴史家だった。ローマの始まりから現在に至るまで、その歴史すべてを書き上げる志でいた。仕事場は、すでに巻物が山と積まれて足の踏み場もなかった。ほとんどが資料であるのだろうが、その中からとりあえず現段階で整ったという著作を、三十巻ほど外の閲覧室へ運び出していた。彼によれば、これらはまだ全体のごくごく序盤であり、自分が生きている最後の日まで記述していくという。

 若者たちはリヴィウスの仕事量にあ然となった。彼らの母親と同世代であるのだが、その静かな熱意にも圧倒された。

「これをすべて音読したなら、ぼくらは老人になっていますね」

 ネルヴァのうめきには畏怖がこもっていた。

「ひとまず今書き上げたものだけでいい」リヴィウスが書物の山から一巻を抜き出した。「自分が書いたものがどのように聞こえるか知りたいのだ」

 一方──。

 音読の途中、別の仕事部屋からだしぬけに赤ん坊の泣き声がした。ルキリウスが慌てた様子で、そこへ飛び込んでいった。

 ところが次に聞こえてきた声は、若いそれではなかった。

「ロンガッラ、私の可愛いロンガッラ。おなかが空いたのかい?」

 赤ん坊を抱えながら、ルキリウスが身を縮こまらせて外へ出てくる。それに続いたのは、ローマ一と謳われる大詩人その人だ。

 ただしその仕事部屋に、書物の山は見当たらなかった。資料らしきものもあるにはあるが、リヴィウスとは比べるべくもない。初夏であるのに、冬枯れていた。そのものさみしさは、彼ら若者たちの穴の空いた心に似ていた。否、さらにすさんでいただろう。

 うつろな笑みを浮かべ、両腕を差し伸べたまま、ヴェルギリウスはルキリウスとその娘のあとを追っていった。






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