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キャンバスメモリアル  作者: tom
第1章 旅立ち
9/33

第9話 3日間のできごと


――説明を受けた日の夜


シキは自分なりに話をまとめていた。

まとめながらわかったことは、いかに自分が無知であったか。また、イロの特別さ、そして自分が無力だと言うことだった。

一通り考えをめぐらせたシキは、イロの様子を見に行った。


「すまない。イロに会わせてくれ…」

「話は伺っています。同郷のシキさんですね。お入りください。」


部屋の前の警備は、ルフラから話を聞いていたようで、すんなりと部屋へと入れてくれた。


「……イロ、お前ってすごいんだな。3色持ちは世界に1人だってよ。すげー力があるかもしれないんだってさ。だから、王国騎士団が来たんだってよ。」

「――イロにとっては、目を覚まさない方がいいのかもな。……けど、俺はお前に目を覚ましてほしい。」

「大丈夫。嫌なことがあったら俺が守るから……」

「お前から色を奪ったキャンバス、必ず見つけ出してきてやる。」


シキはイロに話をしながら、自分の意思を固めた。

――イロを目覚めさせること

――キャンバスを探し出すこと。

――イロを守れるよう強くなること。


「じゃあ、行ってくる。」


シキは、イロに挨拶をして部屋から出て行った。


船に乗って2日目。

シキはルフラの前に立っていた。


「何ですか?シキ。」

「……俺を鍛えてくれ。」

「何のために?君は騎士団に入るわけじゃないでしょう?」

「お前に負けた。それじゃあ、俺はイロを守れない。」

「守る?君は何からイロを守るのですか?」

「全部だ。イロが目覚めた時、好きに生きていけるように。」

「好きに生きていいですよ。彼女に危険がないとわかったら。」

「危険がないとわかるのはいつだ?」

「さぁ…年寄りになって動けなくなってからとか?」

「イロの人生だぞ。」

「そうですね。でも、1人の人生で大勢の人生を狂わせるわけにはいきません。」


シキはルフラに殴りかかったが、またルフラの足元から空を見上げていた。

ルフラが静かに口を開いた。


「シキ、君はまず怒りを抑えることを覚えなさい。――この先、1人で行くのでしょう?心配でしたし、もともと指導をするつもりでしたよ。」

「ブル。君も一緒に行います。ついておいで。」


シキとブルはルフラについて、練習場へと向かった。


「では、ブル。手始めに私と手合わせをしましょう。色を使っても良いですよ。」


ルフラはブルの攻撃を、軽やかに避け、要所要所で軽い打撃を加えた。

もどかしくなったブルは両手を広げ、周りの海を持ち上げた――


「そこまでです。」


ルフラが、ブルに声をかけた。

そして静かに2人へと語りかけた。


「ブル、君の力は素晴らしい。だが、速さと技術が足りません。私の手が刃物だったら、貴方は既に細切れです。そして、色の使い方も大雑把ですね。海を持ち上げたことは感心ですが、繊細なコントロールを身につけなさい。貴方は港に着くまで、コップの中の水を思いのままに動かせるよう練習です。」


「シキ、君は冷静さを心がけなさい。そして、技術を身につけましょう。力と速さだけでは、技術あるものには勝てません。この2日間、私と組み手を行いましょう。」


その日、シキは数えきれないほどルフラに投げられた。

ブルはコップの水を球から立方体へと時間をかけて変えていた。


3日目、シキは、前日より投げられる回数が減った。ルフラをよく見て、組み手を行うことで次の動きを考えるようになっていた。

ブルは、コップの水を球から立方体へと変える時間が少しだけ短くなった。


3日目の夜――

シキとルフラは甲板に立っていた。


「明日の朝には、港に到着します。シキ、君は確かに強い。しかし、色がないからこそより強くならなくてはいけません。港に着いたら、セキという人物を尋ねるといい。私の名前を出したら技術を教えてくれるでしょう。」

「……わかった。ありがとう。」

「――ところで、君はこれからキャンバスを探すのでしょう?」

「何でっ…」

「そのくらいわかります。君の夢の話を聞いていましたから。残念ながら、そのような話は聞いたことはありませんが……」

「……」

「それと、イロのことは任せなさい。先日は君を焚きつけるために、あのように言いましたが、私たちは彼女の意思を尊重するつもりです。」

「わかってる。今は、俺がそばにいてもどうしようもないしな。キャンバスを見つけたら、迎えにいく。」

「わかりました。――無理はしないように。」


ルフラと別れ、シキは眠りについた。

翌日の朝、船は港に到着した――

今週はたくさんの人に読んでいただきました♪

毎日、投稿してよかったです(^^)

来週からは週3話になりますが、よろしくお願いいたします。


次回は

6月14日(月)21時

投稿です!


ぜひ、お楽しみください♪

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