第9話 3日間のできごと
――説明を受けた日の夜
シキは自分なりに話をまとめていた。
まとめながらわかったことは、いかに自分が無知であったか。また、イロの特別さ、そして自分が無力だと言うことだった。
一通り考えをめぐらせたシキは、イロの様子を見に行った。
「すまない。イロに会わせてくれ…」
「話は伺っています。同郷のシキさんですね。お入りください。」
部屋の前の警備は、ルフラから話を聞いていたようで、すんなりと部屋へと入れてくれた。
「……イロ、お前ってすごいんだな。3色持ちは世界に1人だってよ。すげー力があるかもしれないんだってさ。だから、王国騎士団が来たんだってよ。」
「――イロにとっては、目を覚まさない方がいいのかもな。……けど、俺はお前に目を覚ましてほしい。」
「大丈夫。嫌なことがあったら俺が守るから……」
「お前から色を奪ったキャンバス、必ず見つけ出してきてやる。」
シキはイロに話をしながら、自分の意思を固めた。
――イロを目覚めさせること
――キャンバスを探し出すこと。
――イロを守れるよう強くなること。
「じゃあ、行ってくる。」
シキは、イロに挨拶をして部屋から出て行った。
船に乗って2日目。
シキはルフラの前に立っていた。
「何ですか?シキ。」
「……俺を鍛えてくれ。」
「何のために?君は騎士団に入るわけじゃないでしょう?」
「お前に負けた。それじゃあ、俺はイロを守れない。」
「守る?君は何からイロを守るのですか?」
「全部だ。イロが目覚めた時、好きに生きていけるように。」
「好きに生きていいですよ。彼女に危険がないとわかったら。」
「危険がないとわかるのはいつだ?」
「さぁ…年寄りになって動けなくなってからとか?」
「イロの人生だぞ。」
「そうですね。でも、1人の人生で大勢の人生を狂わせるわけにはいきません。」
シキはルフラに殴りかかったが、またルフラの足元から空を見上げていた。
ルフラが静かに口を開いた。
「シキ、君はまず怒りを抑えることを覚えなさい。――この先、1人で行くのでしょう?心配でしたし、もともと指導をするつもりでしたよ。」
「ブル。君も一緒に行います。ついておいで。」
シキとブルはルフラについて、練習場へと向かった。
「では、ブル。手始めに私と手合わせをしましょう。色を使っても良いですよ。」
ルフラはブルの攻撃を、軽やかに避け、要所要所で軽い打撃を加えた。
もどかしくなったブルは両手を広げ、周りの海を持ち上げた――
「そこまでです。」
ルフラが、ブルに声をかけた。
そして静かに2人へと語りかけた。
「ブル、君の力は素晴らしい。だが、速さと技術が足りません。私の手が刃物だったら、貴方は既に細切れです。そして、色の使い方も大雑把ですね。海を持ち上げたことは感心ですが、繊細なコントロールを身につけなさい。貴方は港に着くまで、コップの中の水を思いのままに動かせるよう練習です。」
「シキ、君は冷静さを心がけなさい。そして、技術を身につけましょう。力と速さだけでは、技術あるものには勝てません。この2日間、私と組み手を行いましょう。」
その日、シキは数えきれないほどルフラに投げられた。
ブルはコップの水を球から立方体へと時間をかけて変えていた。
3日目、シキは、前日より投げられる回数が減った。ルフラをよく見て、組み手を行うことで次の動きを考えるようになっていた。
ブルは、コップの水を球から立方体へと変える時間が少しだけ短くなった。
3日目の夜――
シキとルフラは甲板に立っていた。
「明日の朝には、港に到着します。シキ、君は確かに強い。しかし、色がないからこそより強くならなくてはいけません。港に着いたら、セキという人物を尋ねるといい。私の名前を出したら技術を教えてくれるでしょう。」
「……わかった。ありがとう。」
「――ところで、君はこれからキャンバスを探すのでしょう?」
「何でっ…」
「そのくらいわかります。君の夢の話を聞いていましたから。残念ながら、そのような話は聞いたことはありませんが……」
「……」
「それと、イロのことは任せなさい。先日は君を焚きつけるために、あのように言いましたが、私たちは彼女の意思を尊重するつもりです。」
「わかってる。今は、俺がそばにいてもどうしようもないしな。キャンバスを見つけたら、迎えにいく。」
「わかりました。――無理はしないように。」
ルフラと別れ、シキは眠りについた。
翌日の朝、船は港に到着した――
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次回は
6月14日(月)21時
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