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キャンバスメモリアル  作者: tom
第1章 旅立ち
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第8話 常識


「どうして…」

「何でお前がここにいるんだ!シキ!」


ルフラの声を遮って、ブルが叫んだ。


「お前こそ、何でここにいるんだよ。」

「俺は、王国騎士団に入団するためにいるんだ!お前は何をしてるんだ?」

「いや、お前騎士団とか今まで口にしたこともねーじゃん。」

「別にいいだろーが、俺のことは!質問に答えろ!」

「別にいいだろーが、俺様のことも。」

「よくねーよ!色も無いのに、こんな沖まで…」

「…色がなくてもボートで来れんだよ。」


ルフラが口を開いた。


「シキ…君は元気そうだね。遭難してたんじゃないんですか?」

「そーなんだよ。大陸まで渡ろうとしてたら、ボートが壊れちまってさ。」

「……そうですか。」

「だから、助けたついでに大陸まで送ってくれないか?」

「まぁ、いいでしょう…ところで、君は本当に色を持ってないのですか?」

「……だから、なんだよ。色無しがそんなに珍しいか?」

「まぁ、確かに珍しくはありますが……」

「……っ色無しが、俺以外にいるのか?」


シキもブルも驚いた表情を見せていた。

フナバ島に色無しはシキしかいなかったからである。

2人の表情を見て、ルフラが言った。


「……君たちは、色についてどのように学びましたか?」

「3色あること…赤が火を、青が水を、黄が電気を操れることです。」


と、ブルが答えた。


「まぁ、あの島で生きていくにはそれで十分…次の港までは3日ほどかかります。ブル、ついでにシキ、色についての常識を教えましょう。」

「別にいいよ。俺は教わったって意味ねーし。色がなくてもどうにかなるだろ。」

「君が何をする気かは知らないが、知識は持ってた方が良いと思いますが?」

「色の話はいいんだよ。別に色が無かろーが、俺は島で1番強かったんだから。」

「…へぇ、君は強いのですね。色無しなのに…」

「…何だよ?嘘だと思うなら、ブルにでも聞けよ。」

「さぞ、島の者たちが弱かったのでしょう。色無しに負けるとは…」

「……」

「色無しの君が嫉妬して、3色持ちの少女に何かしたんじゃないのですか?」


ルフラが言い終えた途端、シキがルフラに殴りかかった――瞬間、シキはルフラの足元で空を見上げていた。


「強いですね。色無し。」


ルフラは静かに言った。

シキはすぐさま立ち上がり、ルフラの両肩を持って頭突きをしようとした時――

目の前が紫色に染まり、シキは意識を失った。


――


シキが意識を取り戻すと、寝具の上だった。

ブルが隣に座っていた。


「――くそっ。」

「起きたか。ルフラさんのところに行くぞ。――もう、暴れるのは無しだぞ。」

「……わかった。」


シキは落ち着いていた。全く相手にならなかったことを、悔しかったが素直に認めた。


「入ります!」


部屋の奥でルフラが座って待っていた。


「2人ともそこに座ってください。シキ、先程は失礼なことを言って、申し訳ありませんでした。けれど、現実を知ってほしかったのです。君はまだ若く、世の中は広い――」

「いや、俺の方こそ、すまなかった。――教えてくれ。色について。」


ルフラは2人に色について、説明を始めた。


「まず色とは、本人の適性を視覚化したものです。……3色、それぞれに水、火、電気と適性がついています。そこまでは君たちも知っている通りです。」

「…では、色(適性)はどのように決まっていくと思いますか?」

「……遺伝?」

「そうです。ブル、君の親も青だったのでしょう。基本的に色は遺伝します。ですが、それだけではありません。――環境です。2人のいたフナバ島ですが、青の人々が多かったでしょう?」


ルフラの説明はわかりやすかった。

――遺伝と環境によって、色が決まっていくこと。

――青と赤が多くの割合を占めること。対して黄は少ないこと。色無しも少なからずいること。

――色無しも環境によって、後天的に色を持つことが多いこと。


「ここからが、私たちがフナバ島に来たことと関係してきます。――君たちの島に2色持ちはいましたか?」

「いや……」

「そうでしょう。2色持ちは黄よりも珍しい。ましてや3色持ちは今まで現れていませんでした。」

「だから、来たんだろ?」

「その通りです。――ですが、もう少し理由があります。色は混ざるのです。」

「……はあ?」


ルフラは掌から紫色の煙を出してみせた。


「それ、さっきの…」

「そうです。私は赤と青の2色持ちです。色を混ぜ合わせ、発現させるとこのようになります。つまり、3色持ちの少女――イロは、今まででは考えられない色を出すことができると予想されます。使い方次第では、世界に危険が及ぶこともあるでしょう。故に、私たち王国騎士団が勧誘――保護しに来たのです。」


シキは、話の大きさに呆然と立ち尽くした――

次回は

6月12日(土)21時です。

来週からは月-水-金の3回投稿です。


ぜひ、お楽しみください♪

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