第3話 じーちゃんのキャンバス
「じーちゃんっ!」
ゴルドーは思い出していた。
これまでのシキとイロの成長を――
激しい嵐の中、流れ着いたシキのこと
旅の女性に、抱かれて来たイロのこと
シキとイロが初めて立った時
初めて「じーちゃん」と言った時
元気に皆の先頭を走っていく幼いシキの姿
シキを追いかけ、走っていくイロの姿
怪我をさせた子どもの所へ、シキと謝りに行ったこと
イロと散歩をしながら、見た夕焼けのこと
色見式の後の涙を堪えたシキの顔
悲しそうなイロの顔
山の方へ鍛錬へ向かうシキの姿
期待に応えようと、努力を続けるイロの姿
傷つきながらも、前を向いていたシキ
挫けそうになりながら、諦めなかったイロ
優勝したことを嬉しそうに話した、2人の顔――
「――じーちゃん!」
目の前には、涙を流す2人の顔があった。
(泣くんじゃない。2人とも…)
声が出せない。体も動かせなくなっている。
ゴルドーは、枕元に置いていたキャンバスに手を伸ばし、手をかざした。
色がキャンバスに写し出されていく。
――深い青色だった。
「じーちゃん…もうすぐ、成人するんだぞ……」
(お前たちなら大丈夫だ。)
「成人した姿を見てくれよ……」
(すまないな。だが、私は満足だ。優しく育ってくれた。)
「くそっ、くそ…。親孝行がまだじゃねえか」
(私は幸せだ……)
ゴルドーの目はゆっくりと閉じていった。
キャンバスで、深い青色が3人の思い出を作り出していた――
次回は、
6月7日(月)21時投稿予定です。
よければ、またお楽しみください。




