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キャンバスメモリアル  作者: tom
第2章 出会い
26/33

第26話 ズックの思い


――祝勝会は盛り上がった。シキもアカもズックも大いに酒を飲み、話を楽しんだ。


「よかったよ〜。みんなが無事で!」

「本当な!それにしても、ズックには驚いたな!キャンバスに細工して、助けを求めるなんてよ!」

「……」

「本当だよ〜。やっぱり腕がいいんだね!」

「いや〜、何もしてないとか思って怒ってたの恥ずかしいよな!」

「本当だよ〜。私とか、人として良くないとか言っちゃって、ズックさん…ごめんなさ〜い。」

「……」


ズックの口がゆっくりと動き出した。


「……俺には、それくらいしか出来なかった。お前たちに言われて、ハッとしたこともある。確かに逃げていたところもあった。だが、お前たちにも知って欲しい。人が皆お前たちのように強いわけじゃないんだ。人はそれぞれ、自分のできる範囲で頑張っている。」

「……」

「……」

「…お前たちは強い。これから出会う人々に、もどかしくなる時もあるだろう。だが、そんな時は寄り添い、その強さで手を差し伸べてやってほしい。」

「――わかったよ、ズック。」

「さすが!あたしも未熟だな〜、頑張ります!」

「……さぁ、飲もう!」


3人の祝勝会は、明け方まで続いた――


――ドンドンッ

ドアを叩く音で3人は目覚めた。


「おはよう!さぁ、キャンバス作り習いにきたぞ!」

「……」

「……」

「……」

「何だよ、元気ねーなー。」

「リンネル…。頭が痛い……静かにしてくれ……」

「飲み過ぎなんだよ。いい大人がさー。」

「……」

「……」

「……」


3人は何も言わず、のそのそと起き上がりそれぞれに準備を始めた――


シキとアカが旅支度を済ませ、出発しようとしている。

ズックとリンネルは2人を見送った。


「ありがとう。2人とも!俺これから頑張るね!」

「よかったな、リンネル。立派なキャンバス職人になれよ!」

「頑張ってね〜リンネル君。」

「……お前たちの探し物も見つかるといいな。」

「あぁ、ありがとう、ズック。」

「……また、この街に来ることがあったら歓迎するぞ。」

「その時はまた、飲み明かそうね〜。」

「じゃあ、またな!」


2人は旅立って行った。

見送りながら、ズックはリンネルに語りかけた。


「……今まで、すまなかった。これからはしっかりと教えてやるからな。」

「もう、いいよ。…ズック、これからは一緒だ。あんまり酒ばっかり飲むなよな。」

「……あぁ、ありがとう。」


久しぶりの晴れやかで暖かい心に、ズックは気づいた。自然と出てくる涙を拭い、リンネルと家の中へと入って行った。

ズックとリンネルの名は世界中に轟くことになるのだが、それはまだまだ先の話――


旅立った2人はさっそく揉めていた。


「だから、金の無駄だったじゃねーか!」

「無駄じゃないよ!銃のおかげで助かったでしょ!」

「1回で壊れたんだろ!」

「それ、あたしのせいなわけ?」

「――それは、知らんけど…」

「なら、文句言わないで!あの店の人見つけたら、問い詰めてやる!」

「……」


シキはそのやりとりも楽しく思いながら、ドラフターへと歩みを進めて行った――

次回は

8月2日(月)21時

に投稿予定です!


ぜひ、お楽しみください♪

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