第24話 包囲網
――シキが地上へと出ていくと、自警団が入り口に待ち構えていた。
奥にはリンネルを抱えたカラスロが見える。
シキはカラスロに向かって叫んだ。
「待て!カラスロ、リンネルを離せ!」
「…はぁ。コンテも役に立ちませんね。」
「もう、諦めろ!」
「…諦めるって何をですか?今、危機に陥っているのは貴方ですよ?」
自警団の団員たちが、シキにじわじわと近づいていく。
「さぁ、みなさん。彼は悪者です!捉えてください。」
カラスロの声で、団員たちが一斉にシキに飛びかかってきた。
シキは躱したり、受け流しながら叫び続けた。
「おい!カラスロは子どもを痛めつけてるんだぞ!お前らだってどっちが悪いかくらい、見てわかるだろーが!」
「無駄ですよ、シキさん。貴方はこの街の人間では無いですが、彼らはここで生きていくんです。自ら生きにくくするわけないでしょう?」
「意味がわからねーよ!何が悪くて何がいいかくらい自分たちで決めろ!」
シキは息を切らしながらカラスロに近づいていく。
団員たちは辛い表情をしながら、シキに襲いかかってくる。
「もう、やめろよ!俺があいつをぶっ飛ばしてやるから!」
「シキさん、頑張りますねぇ。でも、そろそろ辛いのでは?諦めて捕まったらどうです?悪いようにはしませんよ?」
「うるせぇ!お前をぶっ飛ばす!」
シキがもう少しでカラスロに届きそうになった時、カラスロの手に光るものが見えた。
シキはリンネルの事を思って、動きを止めてしまった。
その瞬間、団員たちの手がシキを捕らえた。
「…くそっ!離せよ!」
「…すまない。」
「すまないと思うなら、離せ!次はお前たちの家族がああなるかもしれないんだぞ!」
「……」
団員たちは黙ってシキを捕らえている。
カラスロが勝ち誇った顔で、シキに話しかけた。
「惜しかったですね。けれど、ここまでです。」
「くそ…くそっ…。」
シキが項垂れたその時、ダンッと凄まじい音が響いた。
シキが驚いて顔を上げると、カラスロの顔が炎に包まれていた。
団員たちも驚き、動きが固まっている。シキはその隙を見逃さずリンネルを救い出した。
「熱いっ!何だ、何が起きた?早く早くどうにかしろ!」
カラスロの叫び声で、団員たちは気を取り戻しカラスロの元へと駆け寄っていった。
シキは音が鳴った方に目をやると、アカとズックが走ってきてる姿が見えた。
「あーもう!さっき買ったばっかだったのに壊れちゃったんだけど!不良品じゃん!」
「……」
「シキー!危機一髪ってとこだったね!でも、銃が役に立ったでしょ?」
「……」
アカが大声で叫びながら近づいてきた。ズックもついてきている。
「……助かったよ。アカ。」
「いいってことよ!話はズックさんから聞いたよ。リンネル君、無事みたいだね!」
「あぁ、怪我はしてるけど大丈夫だろ。」
シキはズックにリンネルを引き渡した。
「……すまなかったな。リンネル。」
「もう、見捨てるんじゃねえぞ。」
「……あぁ。」
3人の前にカラスロが立った。
「……勝ったと思ってますか?貴方たちは3人、この人数を前にして余裕ですね。」
「…もう、諦めろ。お前の負けだ。」
「そんなことはないっ!お前たち、こいつらを――」
カラスロの声にシキたちは身構えた。同時にシキはカラスロ達の周りに水が浮かんでいる事に気づいた。
「――何だ。この水は…」
カラスロも気づいたようだった。
「この水は自警団の皆さんを捉えるものですよ。」
カラスロの横に鎧を見にまとった、赤髪の男性が立っていた。
「誰だお前は!」
「私は王国騎士団のアガットと申します。」
「王国騎士団…。何故ここに?」
「……ブル!捕らえなさい。」
アガットの声に合わせて、水がカラスロ達を縛り上げた。
「この街の自警団が腐っていると、報告がありましてね。あぁ、抵抗は無駄ですよ。貴方たちは包囲されていますので。まぁ、その水からも抜けれないでしょうけど。」
「……」
カラスロは、観念したようで何も言わなかった。
アガットがシキたちに話しかけた。
「さて、貴方たちは自警団の方ではなさそうですが、何者ですか?」
「……旅をしているものです。少年を救うため、彼らと戦っていました。」
「そうですか。悪い方々ではなさそうですね。一応、お話を聞かせていただけますか?」
「…わかりました。」
「自警団は全員、牢に入れておけ。この御三方は私が話を聞く。」
騎士団員たちが、自警団を連行していく中、1人の団員が近寄ってきた。
「久しぶりだな、シキ。何をしてんのか知らねーが、元気そうでよかったよ。」
「――ブル!騎士団に入れたんだな!」
「おや、知り合いですか。では、ブル貴方も一緒に来てください。この方々に話を伺いましょう。」
「了解です!アガットさん。」
3人はアガットとブルと共に自警団の屯所へと向かった――
次回は
7月23日(金)21時
投稿予定です!
配信ペースを少し、落としますが
次回もぜひ、お楽しみください♪




