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キャンバスメモリアル  作者: tom
第2章 出会い
14/33

第14話 試験


――ゼンタと会話をした次の日から、シキは今まで以上に頑張ってた。


朝は、手早く掃除をすませ、ゼンタに指導を乞い

昼は、ゼンタの仕事、生徒への指導に付き添いながら、自らにも落とし込み

日が落ちたは、再び後ゼンタに稽古をつけてもらった。


そして1週間後、夕食を囲んでいる時――


「シキ君。凄い頑張ってるね!どうおじいちゃん?」

「うむ、よく努力しておるよ。元々、力はあったからのう。動きが格段によくなっておる。」

「…ありがとうございます。」

「そこでじゃ。明日、試験を行おうと思う。」

「凄いじゃん!シキ君。今までで1番早いんじゃないかな!」

「…アカ、明日の試験で相手になってやってくれんか?」

「いいよ〜。任せて!」

「……よろしくお願いします。」


――夜が明けた。

道場に3人の姿があった。


「では、今から試験を行う。シキ、アカ準備はよいな?」

「……うす。」

「私もいいよ〜!」

「では、始め!」


シキは合図と共にアカに向かっていった。

アカは驚きはしたが、それをいなしていく。


「凄い!凄いよ!シキ君。たった1.2週間で!」

「……」


シキの攻撃はいなされていくが、アカもシキの勢いに攻めきれずにいた。

そのうち、アカも真剣な表情を見せ始めた。

繰り返される攻防のなか、アカが大きく息を吸った。

その瞬間をシキは見逃さなかった。

アカの腕を掴み、投げようとした――

パンッという音と共にシキがアカに投げられた。


「そこまでっ!」


ゼンタが声を上げた。


「本当に凄いよ!シキ君。あたし負けちゃうかと思った!」

「試験はここまでとする。……シキ、合格じゃ。」

「よかったね!シキ君!」

「……アカ、お主は不合格じゃ。」

「――え?」


ゼンタの言葉にアカは戸惑った。


「……どういうこと?これはシキ君の試験でしょ?」

「アカ。お主は最近セキと名乗ってるそうじゃな。」

「……」

「本当にセキと認めるかどうかもみておったのじゃ。」

「……勝手に言ってたのは悪いけど、あたし勝ったよね?」

「確かに勝った。……じゃが、負けたのじゃ。」

「いやいや、意味がわからない。あたし十分強いし、いい加減セキを譲ってくれてもいいじゃん!」

「色を使ったじゃろう。」

「ダメって言われてないから!」

「シキは使っとらん。シキに投げられそうになって使ったということは、色抜きでは負けておる。」

「……そんなの、屁理屈じゃん。勝ったんだからいいでしょ!」

「アカ、色を使って勝つということは技術で負けてるということじゃ。ここは、守るための技術を教える場。ただ、相手に勝つためではない。お主は何を守るために、シキを投げたのじゃ。」

「……」

「お主にはセキの名はまだ早い。」


アカはその言葉を聞くと、道場を飛び出していった。

ゼンタがシキに声をかけた。


「助かったわい、シキ。よく1週間でやってくれた。」

「いえ、自分のためでもあったんで…。アカはいいんですか?」

「いいんじゃ。アカは確かに強い。だがな、最近は鍛錬もろくにせず、強いことにあぐらをかいとったからな。これで、初心を思い出してくれればいいんじゃが…」

「……そうすか。」

「ところで、シキ。お主は本当に合格じゃ。ここでの鍛錬を忘れずに、日々努力し続ければ大抵のことは大丈夫じゃろう。」

「うす。ありがとうございました。」

「……これから、どうするんじゃ?」


シキはイロの話を詳しくゼンタに伝えた。


「そうか。キャンバスを探しにのう。……すまんが、力にはなれそうにないのう。」

「いえ、もともと本当にあるのかもわからないので…」

「まぁ、今日まではゆっくりしていけ。そうじゃ、アカにもその話をしてやってくれんか。」

「ありがとうございます。…わかりました。」


シキとゼンタは道場を後にした。

シキが部屋に戻ると、アカが外をぼーっと見ていた。

シキはどう声をかけようかと迷いながら言った。


「――その、今日は残念だったな。」


アカはシキを睨みつけながら言った。


「シキじゃないよね?セキのことバラしたの…」

「違う違う。ゼンタさんは知ってたんだ。」

「……まぁ、本当に疑ってるわけじゃないけどさぁ。」

(街中で名乗ってれば、そらばれるだろ)

と、シキは思ったが口には出さなかった。


「いつからかな〜。あたし成長してるって思えなくなってさ。負けることも少なくなって…あたし強いんだ〜って思ってた。そしたら、まぁやる気も無くなって。…今日は負けたけどさ。」

「いや、アカは強いよ。今日だって勝ったとは思ってねぇ。」

「ううん。おじいちゃんに言われた時、ハッとした。シキの試験なのに、何で勝つことを優先したんだろうって。ただ負けたくなくて、あたしは強いって自分の小さな意地を守ってるんだと思った。ダサいな〜…」

「いや、負けたくないって気持ちは当たり前だろ。」

「……ありがと。でも、同じ土俵で戦うべきだった。シキはまだ、色との組み合わせまでしてないんだから。」

「…俺に色はない。今日の試験で終了だ。」

「……え?」

「俺はこの体だけでやっていくしかないんだ。」


そこから、シキはイロの話を詳しくアカに話し、明日旅立つことを伝えた。


「……そっか。――よし、決めた!」


そう言ってアカは部屋を飛び出していった。


(――え?何を決めたんだよ?)

シキは訳が分からなかったが、とりあえず元気になったアカを見てホッとした。


――夕食


「シキ、お主はよく頑張った。これからも鍛錬を続けるのじゃよ。」

「うす。ありがとうございました。」

「シキ君!本当に頑張ったね!」

「おう。……ところで、アカは何を決めたんだよ。」

「ふふん。それは秘密だよ。」

「何の話じゃ?」

「いや、俺にもわかんなくて……」

「もーいいじゃん!今日はシキ君の送別会って事で楽しもうよ!」


その日の夕食はシキにとって楽しい時間になった。

ゼンタもアカも楽しそうにしていた。


――次の日、玄関にシキとゼンタがいた。


「本当にお世話になりました。あの、アカとのことですが…」

「わかっておる。お主とアカの間に何もないことくらい。」

「……ありがとうございました。」

「うむ、頑張るんじゃよ。――ところで、アカのやつはどこにいったんじゃ。」

「……さあ?俺も知らないっす。」

「まぁ、よい。気をつけての。」


シキはゼンタに深く頭を下げて、その場を立ち去った。

門まで来た時、後ろから大きな声がした。


「シキー!走って走って!」


アカが凄い勢いで走って来る。


「早く!早く!」


アカの後ろから、ゼンタも走ってきている。


「待たんか!アカー!」

「嫌だよ!おじいちゃん!あたし、シキと旅して来る!」

「許さん!おじいちゃんは許さんぞー!」


シキは勢いに押され、走り出した。


「じゃーね!おじいちゃん。あたし、シキと旅して守るってことについて、考えて来るからー!」

「それはいいが、男と2人旅など許さーん!」


シキとアカは恐怖を感じ、全力で走った。

次第にゼンタの声は遠くなっていった――


次回は

6月25日(金)21時

投稿です。


ぜひ、お楽しみください♪

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