コント・出前
場所……自宅、玄関前。
役……注文した男性 (ツッコミ) 宅配の男性 (ボケ)
ボケ「あ、この家だな(ピンポーン)」
ツッコミ「はーい」
ボケ「すみませーん、ウーザーイーツです」
ツッコミ「あれ、そんな名前だったっけ? まぁ、良いや、ありがとうございます! 玄関に置いといてください!」
ボケ「(ピンポーン)注文の品お届けにあがりました!」
ツッコミ「だから、そこに置いといてください!」
ボケ「(ピンポーンピンポーンピンポーン)あのぉ~、届けに来たんですけどぉ~?(ピンポーン)」
ツッコミ「聞こえてねぇのか、うっせーな!」
玄関まで行き、ドアを開ける。
ボケ「どもぉ、ウーザーイーツです」
ツッコミ「いや、玄関に置いといてって聞こえなかったの?」
ボケ「はい、バッチリ聞こえてました」
ツッコミ「じゃあ、なんで置いて帰らないんだよ! ちゃんと置き配で注文してたよな?」
ボケ「いや、お言葉を返すようですが、注文間違ってるのに僕帰っちゃって良いんですか?」
ツッコミ「なんで間違ってるって分かってて、ここまで来たんだよ!?」
ボケ「お客さんが頼まれたのはペペロンチーノですよね?」
ツッコミ「あぁ、そうだけど……」
ボケ「テッテレー! カプチーノ!(ドラえもん風)」
ツッコミ「何陽気に間違った商品だしてんだよ! オマケにそれマウントレーニアじゃねぇか!」
ボケ「丁度、コンビニに居たんで似た名前の商品探してきたんですよ」
ツッコミ「なんでちょっと苦労した、みたいに恩着せがましく言ってんだ! ふざけてんのか?」
ボケ「お客様! ふざけてなかったら、こんな事になってませんよ!」
ツッコミ「開き直ってんじゃねぇよ!」
ボケ「まぁまぁ、一旦上がってお茶でも飲んで落ち着いてください」
ツッコミ「ここは俺んちだよ! 何上がろうとしてんだ!」
ボケ「そうでしたね。ここにカプチーノがあるんだから、お茶作ってもらう必要なかったでしたね」
ツッコミ「そうじゃねぇよ! お前、俺の事舐めてんのか?」
ボケ「さっきから流して聞いていれば、そんな怒る事ないじゃないですか!」
ツッコミ「真面目に聞けよ! もういい、お前と話してても埒あかねぇから、責任者に連絡しろ」
ボケ「そうされると困るから、直接商品を持ってきたんでしょ?」
ツッコミ「なんで逆ギレしてんだよ。マズイと思ってるなら、最初からちゃんと商品持って来いよ!」
ボケ「お客さんの注文したお店遠いんですもん」
ツッコミ「それが仕事だろうが! ちゃんと取りに行って来いよ!」
ボケ「何でもかんでも、お客様が神様とか思ってちゃ駄目ですよ! 良いですか? いくらお金を払っているとはいえ、料理を作ってくれる、片付けや清掃をしてくれる、こうやって持ってきてくれる、そういう事に感謝する気持ちって大事なんです。一人一人が当たり前の事に感謝する事によって、今の社会を働き易くしていきましょう!」
ツッコミ「全く違う商品を持ってきておいて、なに良いこと言った、みたいな顔してんだよ! せめてペペロンチーノがナポリタンだったり、カルボナーラだったりするなら、まだ仕方ねぇな、ってなるかも知れないけど、食い物ですらねぇじゃねぇか!」
ボケ「それじゃあ、どうすれば良いって言うんですか?!」
ツッコミ「今からでも商品持ってこいよ!」
ボケ「また行けって言うんですか?」
ツッコミ「まだ行ってすらねぇだろ!」
ボケ「どうにかなりませんか?」
ツッコミ「どうにもならねぇよ」
ボケ「じゃあ、暑いんで中でひとまず涼みません?」
ツッコミ「だから、俺んちだっつってんだろ」
ボケ「いや、涼んだら行きますから」
ツッコミ「まともに働いてないのにどんだけ休みたいんだよ!」
ボケ「そんなに家に入れたくないって、彼女居たりするんですか?」
ツッコミ「いや……別に居ねぇけどさ」
ボケ「じゃあ、良いじゃないですか!」
ツッコミ「なんで彼女居なきゃ入って良いんだよ!」
ボケ「どうせ一人寂しくペペロンチーノを啜ってる予定だったんでしょ」
ツッコミ「彼女居ねぇのが何が悪いんだよ! 大体、お前に言われる筋合いねぇよ!」
ボケ「(スマホを取り出して)何なら、僕が用意しましょうか?」
ツッコミ「(まんざらでもなく)なんだよ。お前にそんな当てがあるとは思わないけど、まともなんだろうな?」
ボケ「大丈夫です! 間違いないですから!」
ツッコミ「ちょっと期待しちゃうなぁ」
ボケ「多分、三十分くらいで来ると思います!」
ツッコミ「え? そんなにすぐ?! まだ心の準備が……どんな感じの人なんだ?」
ボケ「ウーバーイーツにペペロンチーノ頼んで置きました!」
ツッコミ「もう帰ってくれ!」