黙った朝、山へ
黙った朝
何にもしてこなかったんだ。
そう、素直に言える相手がいたら、
ぼくの生きることも、
少しは、変わっていたんだろうか。
それとも、結局は、そうしてきた
おまえが悪いんだからと、
ずっと、黙ってしまうだけなのか。
少しも、許されないんだろうか。
雲ばかりが、朝に被さって、
空は細い隙間だけにあって、
どうも落ち着かない。
どうも息苦しい。
ねえ、もっと、もっと、見せてよ。
まだ、まだ、何かあるはずなんだろ。
山へ
生き難いから生きたくないと、
心がわりが喋る。
その口をこの手で塞いでも、
黙らないのはいつからか。
何か良かったことはないか。
有ればそれは何故か。
理屈で考え方を治そうと
もがくのはいつからか。
若い者はいつまでも眠らず、
老いた者はいつまでも眠れず、
ぼくは寂しいがりながら、
淀んだ空気に溺れていく。
ああ……誰か、ぼくを、
山へ、山へ、返してくれ。




