退会って?
「あの娘の名前は春香……」
兄ちゃんの小説の女の子は春。
「私の名前は陽……」
私は薬を飲みベットに横たわりながらさっきの事を思い出していた。
…………パンツ見られた事じゃないぞ、春香さんの事だから。
兄ちゃんの小説の主人公は妹だ、文章にもそう書かれている、でも小説って妄想でしょ? 私だって好きなアイドルの男の子がお兄ちゃんだったらって想像した事位ある。
こう考えられないだろうか? 去年兄ちゃんは学園祭で演劇をやった。
そこで中学から少し気になっていた春香さんっていう娘が妹役になった。
兄ちゃんは春香さんを好きになる…………ううん、初めは気になった程度なのかも……でも演劇で集中するあまり、兄ちゃんは春香さんを本当の妹と思ってしまった……そして多分その劇は兄妹愛、兄妹で付き合う禁断の愛の物語。
良くあるよね、映画で恋人役をやってそれが演技なのか本当の事なのか分からなくなってそのまま付き合う事って……
しかも今年も続編を期待される程の出来だった。
兄ちゃんは春香さんが妹だと……妹だったらと思ってしまう、そして演劇の内容は兄妹で恋愛をする物語……その妄想はその後も止まらなかった……そしてその思いは爆発し遂には小説を書き始めてしまう……
私ではなく春香さんが妹だったら……春香さんとなら付き合えるっていう想いで……
そう……兄ちゃんは今まで付き合った事が無い、デートのやり方とか分からない
だから小説で春香さんと付き合うトレーニングをしていたのかも?
春香さんはすっかり妹気分になってる、つまり今春香さんと付き合うって事は妹と付き合うって事だから……
だから私とツーリングに行ったり旅行を誘ったりした……
それを小説でシミュレートしていた……春香さんとの未来の為に……
あああ、辻褄があってしまう……やっぱりそうか、そうだよね、実の妹を好きになる兄なんているわけ無い……いるわけ無いんだよ
そうかそうだよ、私の勘違いだよ
「なんだそうか、あははははは……、あーーー安心した」
兄ちゃんの小説……初めて読んだ時はビックリした、嫌では無かったけど……でも兄ちゃんと付き合う、恋愛関係になるなんて考えられなかった……
ただ……本当に私の事を好きなら……私は兄ちゃんを拒否する事は出来ないと思った、そんな可哀想な事は出来ないと思ってしまった……だって兄妹愛だって……愛なんだから
そう私は兄ちゃんを愛していた……
「でも……私と一緒に出掛けて嬉しそうだったよな……」
あれも頭の中では春香さんとのデートを想像してたのかも……
安心の後はだんだん腹が立ってきた……
「あああ、私が一人でドキドキしてただけ? 私は代用品……それ所か……練習台?」
人の気持ちをもて遊んで、一体私をなんだと思ってるんだあのバカ兄ちゃんは!
あああ頭の中がグル回る、兄ちゃんの事、春香さんの事、小説の事……
また熱が……知恵熱が
知恵熱なんてあり得ないらしいが、風邪の時もそうなのかな? 本当にまた身体が熱くなってきたよ……
「あーーーなんか~~もう~~ど~~でもいいや~~~」
色々考えすぎて遂には面倒になってしまった……
「兄ちゃんが誰を好きだとか~~私……関係無いし~~~」
そう、そうなんだよね、私って兄ちゃんと付き合ってる所か告白された分けでもない……ただ私が兄ちゃんの小説を読んだだけ、小説のヒロインと名前が似てる妹ってだけ……しかも兄ちゃんには妹がもう一人いた、そして私の前に現れた。
「結局兄ちゃんの小説に踊らされただけ、勘違いさせられただけ……」
そして最初に勝手に見てしまったのは私、仮に兄ちゃんが私を練習台にしたとしても、別に悪い事じゃない、他人だったら何期待させといてふざけるなってなるけど、私と兄ちゃんは兄妹、初めから期待も何も無いんだから。
「もう……読むの止めようか……な」
私は携帯を取り、投稿サイトを立ち上げる……
「退会方法って何処だろう?」
兄ちゃん以外の小説は読んでいない、元々あまり小説は読まない、兄ちゃんの小説を読むのを止めたら登録していても意味がない。
私は退会方法を見るべく投稿サイトをうろうろしていると、とあるページにたどり着く、そこに記憶のあるタイトルがあったから……
ネットでデビュー大賞
1次通過作品発表!
『………………………………』
『妹と付き合いたいんだがどうすれば妹と付き合えるか分からない』
『………………………………』
『…………………………』




