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夢の中でも遅刻ってええ……。
夢の中で子供が走っている。
「ヤッバイ、遅刻する――!!」
――夢の中でも遅刻してるって、ええ……。
最早病気なんじゃなかろうか。
という思考をよそに、子供は走っていく。
店の裏、路地裏、脇道。
よくそんなとこ知ってんな!?と思う位分かりづらい道を抜けて。
――祠の前に出た。
祠は苔むしていて、周囲には枯れた薄が茂っている。
――おかしい。
こんな所に祠なんて無かった筈だ。
確か、此処には――。
――あれ?
此処には何があったんだっけ?
思い、出せない?
此方の困惑など知らぬ気に、子供の手が祠の扉を開けて。
潜った。
――祠を潜り抜けると、そこは異世界でした――。
なんて、バカみたいなことを考える位には、そこは日本とかけ離れていた。