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第十四話 VIPフロア3

「……涼介、美少女と仲良くなれてよかったね!」

「ああ、あの子は美少女だったな。今度は三年後くらいに会えればいいかな」

「なんで?」

「体力がついていかない。後三年もすれば落ち着いて、美少女から美女になってるだろう」

「なるほど」


 次は書斎だ。ヘロヘロな足をふらふらと前に出し書斎へ向かう。


「……書斎という割に本が全然無いな」

「本はもう随分昔に無くなったよ? その代わりに、紙の質感、見た目を再現したディスプレイができたんだけど、その棚に置いてある本型デバイスだよ!」

「これか? ……あー紙っぽいけど、背表紙なんも書いてないよ?」

「中を開いて、検索するんだ! そこで選んだ書籍がディスプレイに反映されるよ!」

「ふーん。んで、ここは他には何ができるんだ?」

「ここは、個室で事務作業とか、趣味の軽作業とかかな」

「プラモデル作ったりとかか?」

「あー、うん。そんな感じ!」

「そっか、じゃあ今は特にやることもないし、もう行くか」

「オッケー! そろそろお昼だし、お昼ご飯にしよう!」

「おっ、いいねー! まだあのお姉さんいるかなー!」


 ウキウキと食事処へ行くために庭へ。そこで金髪イケメンで、ガタイのいいお兄さんに出くわす。


「あ」


 気付かれたようで、お兄さんがこちらへと振り向いた。素通りしたかったのに……。


「やあ! 君は……。あぁ、涼介君か! こんにちは!」

「こんにちは」

「君が噂の異世界から来た人かな?」

「はい。そうです」

「リース君から、会ったらよろしくと言われていてね! そういえばさっき大きな音がしたようだけど。大丈夫だったかい?」

「え? 大きな音?」


 この人さっきの爆発騒ぎの時いたのか。なんて言えばいいのかなー。面倒いなー。


 なんてことを考えていたのだが、別に国賓を相手にするなら俺じゃなくてツクヨミの方がいいだろうと思いケンを小突く。


「レオン様には大変失礼を致しました。先程の音はこちらのミスで出してしまった騒音です。今後はこのような事態に至らないよう、細心の注意の元、再発防止を心掛けます。申し訳ありません」

「そうか。涼介君なんかやっちゃったね? ツクヨミが失敗なんてあり得ないし。気をつけなよ!」


 何を勘違いしたのかレオンさんはにやにやと俺の顔を覗き込んだ。あながち間違ってはいないのだが……。


「えっ。あ。はっはい。申し訳ありませんでした!」

「はっはっは。男の子は元気なのが一番さ! でも、程々にね!」

「はい!」

「じゃあ、少し急いでいるのでね。これで失礼するよ」

「どうもお騒がせ致しました」


 深々と二人して頭を下げる。レオンさんは手を振って、足早に去っていった。


「涼介、こういうこと慣れてるのかな?」

「いや、大事にしたら面倒だと思っただけだよ。それにしても、プールで見た時は顔見えなかったから、ケンに言われるまでレオンさんってわかんなかったよ。みんな名乗らないのに知っている体で話すから毎回ヒヤヒヤもんだよ」

「そうだね、基本的に名乗らなくても伝わってると思っているからね! まあ、とにかく、涼介が合わせてくれて助かったよ。僕は嘘がつけないからね!」

「え? ケン、そういうのは早く言え! もっと上手く言えるだろう! ってもどかしさ半端なかったんだぞ!」

「はは! ごめんごめん! でも、切り抜けられたから問題無しさ!」

「まぁ、バレても面倒なだけだから別にいいけどね」

「ヤバイことだったらツクヨミから規制が入るから大丈夫!」

「そうだな。じゃあ、飯! 飯行こう!」


 もうだいぶお腹が空いている。足早に食事処へと向かった。


***


「ラーメン!」

「オーケー!」


 席に座り、早速ケンに注文を入れてもらう。

 適当に頼んだのだが、ラーメンまで作れるとは驚いた。密かに異世界ラーメンを楽しみにしつつ、お姉さんが給仕に来てくれるのを待つ。


「お待たせいたしました」


 待ち望んでいることを悟られないようにケンの方を向いて、こちらに来るであろうお姉さんを見ないようにしていた。

 ようやく声をかけられてドキドキしながら顔をを見ると……お姉さんじゃなかった。


「あれ? お姉さんは?」

「はい。彼女は帰しました」

「えー! 会いたかったのに!」


 アンドロイドとわかると本心をダダ漏れで文句を垂れてしまった。いくら隠しても無駄だとはいえ、いつの日か勘違いしてデカイ失態をやらかしそうで怖い。


「今日は館内すべて関係者以外昼前に帰しております」

「そうなんだ」

「はい。ごゆっくり、お食事をお楽しみください」


 お姉さんには会えなかった。でも、お姉さんの意思で帰ったわけじゃなさそうだ。

 僕がなんかしたわけじゃないだろう。なぜか自分の落ち度じゃないことに安堵する。

 うん。こんなことを思うなんて、これが恋か。一目惚れだな!


「涼介。そんなこと言ったら、ここで会った女性全員に恋してるよ?」

「おい! またお前は! ……でもリンちゃんは違うぞ! 年下は妹がいるせいか恋愛対象外だ!」

「じゃあ、全部違うと思うよ? 涼介からは下心と安堵しかプラスの感情は認識できなかったからね!」

「とんでもねぇ分析してんじゃないよ! 恋愛なんてしたことないんだから、勘違いしたっていいじゃない!」

「涼介もそのうちいい人と巡り会えるといいね!」

「ぜひプロデュースをお願いします」

「残念だけど……今は人口管理の問題でお見合い斡旋はしてないんだ。ごめんね!」

「人口管理とか……そんな大層な理由で断られるとは思わなかったよ! 反論も出ないわ!」


 ケンに愛のキューピットを断られ、さもしくラーメンをすする。

 出会う人もアンドロイドも美人ばかりで下心が揺れないわけがない。

 なんだかせっかくの異世界ラーメンだというのに味の方に関心がわかない。キューピットを断られたことも少しあるが、それより目の前に座るケンが俺の食事を何も食べずに見守っていたからだろう。


「……今朝も思ったけど、ケンは食事しないんだな」

「アンドロイドは食事しないよ!」

「そうか」


 少し寂しい。

 そういえば、子供の頃よく見ていた顔を取り替えるアニメの主人公も絶対に食事をしなかったな。他の同じようなヒーローは食事をするのに……ニコニコとみんなの食事を見守るだけだった。子供心に、イジメられてるんじゃないかと疑ったくらいだ。まあ、どうでもいいか。


 くだらない記憶が蘇り、ケンを見ると、アニメの主人公と同じようにニコニコと食事を見守っていた。

 気になってしまったこの状況に耐えられず、麺をすするペースを上げた。めずらしい異世界ラーメンだというのに味わうこともなく早々にたいらげることにした。

 今日しか食べられないわけじゃないから、もう少し割り切れるようになったらちゃんと味わうことにする。


「いやー食ったな。そうだ! 今朝、医務室に運ばれた人って、いつ頃お見舞いに行っても大丈夫なの?」

「もう大丈夫だよ! 腕も繋がって、今は安静にしてる。寝てはいないみたいだから、今から行くかい?」

「そうだな。時間が経つと会いづらくなるからな。行こう!」


 こういうのは時間が経てば経つほど足が遠のく。せっかく助けに来てくれた人だ、恨まれているかもしれないが、お礼に行くのが筋だろう。

 善は急げとケンに案内を頼み医務室へと向かう。


「この部屋にいるよ!」


 ケンに案内された病室の扉をノックする。


「どうぞー」


 やや明るい声で答えてくれた。そんな声に少し安堵すると、意を決して扉を開ける。


「失礼します」

「うわ! 君か! 近づいて大丈夫なのか! ヤバイんじゃないか!」

「あっ、大丈夫です。アマテラスにはちゃんと言ってあります。今朝は助けに来ていただいてありがとうございます。僕の短慮でご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

「はは。いやいや、助けに行ったつもりが逆に返り討ちにあっちゃったからな! こちらこそ、力及ばずで申し訳ない!」


 どうやら僕の心配は杞憂で終わったようだ。ケンの言うとおり、この世界の人たちはいい人ばかりだ。あの爺さん以外。


「腕の治療が終わったと聞いて……。治療後間もないのに、ご迷惑かと思いましたが、お礼に伺わせていただきました」

「ありがとな! そんな畏まらなくて良いぜ! 治療って言ったって、ここでならあのくらい朝飯前さ!」

「やっぱりこの世界は、僕の世界より随分と進んでるようです」

「そうなのか? よくわかんないけど、心配すんな! 後は自己治癒任せだ。安静してりゃ、一週間ってとこだな」

「そうですか。今日は、本当にありがとうございました! お大事にしてください」

「おう! 見舞いありがとな!」


 この世界の感覚にイマイチ慣れない。誰もかれも皆、子供の教養番組に出てくるような善人ばかりだ。ネガティブな感情は無いのだろうか? 確かこの国の義務は教育だけだったっけ。ってことは、教育さえ押さえれば、後はどうとでもなるってことか……。


 教育という名の洗脳か?


 僕はこの世界の教育が果たしてどんなことをするのか? 興味はありつつも、ちょっと恐ろしくもあった。







ガシガシ書いてるつもりなのだけど、次の「彼女が救った少年は黒い翼を持つ魔物でした」の更新」までに二十話まで行けるか微妙……。

このままのペースで行けば、年内はきっとクリアできると思います!

このままのペースを維持できればですが……。


記 2018/10/24

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