勇者捜索
「確かに、この屋敷内にここにいる3人以外の勇者様の気配があります。」
3人の勇者の意思の力により、確かにアリスちゃんには勇者捜索の力が宿ったようだ。
「それでアリス、どこにいるかわかるかい?」
「はい、えっとここはお風呂の隣ボイラ室ですね。」
「え?あそこはそんな広くもないし、隠れる場所ない気がするけど本当?」
「とりあえず行ってみようかー。」
そうして、ボイラ室にたどり着いた4人は室内を探す間もなく、
「この中から勇者様の気配がします。」
アリスちゃんのこの一言によってすぐに居場所が判明するのであった。アリスちゃんが言うにはそれなりに大きいボイラの中であるらしい。私は実際にボイラの仕組みを理解してるわけでもなく、異世界の技術で作られているためこれでおかしいとかもわからない。ただ室内は暑く、ポンプのようなものがお風呂にお湯を流しているであろうパイプが見えるだけだ。
「この中って言ってもねー。開けるところここしかないみたいだよ。」
そう言って正面にある大きな扉のような蓋を開けると、制御のためのスイッチやら計器やらが見える。隅にネジがあるようでさらに取り外せそうだ。
「本藤先輩、ネジではまってるみたいですよ。」
「ネジってこの丸いところですか?」
「アリスちゃんは知らないのか。じゃあ、異世界から来た人だけにわかるようにわざわざ作ったのかもしれないねー。」
私はドライバーを作り、みんなに手渡す。
「よし、じゃあこれでみんなではずそうか。」
みんなでせっせとネジを外していく。アリスちゃんが1個目でずっと手間取っているのを見かねて、私が声をかける。
「あー、ネジの方がつぶれちゃってるからそれじゃあ回らないよ。私がやってあげるね。」
そういって私は魔法を使ってネジを回し、外した。
「それくらいだったら私もできました!ていうかドライバーってやつ使う意味なかったですよね!!これ!」
「その通りだよ。でも、なんとなく魔法でやったら味気ないでしょ?」
「そういうもんなんですかねぇ。私にはわかりません。」
異世界でわざわざ作ったネジだ。本来はドライバーを使って回してあげるのが製作者に対する礼儀だと思った。
「さてさて、甲高鈴子さんとのごたいめーん!」
ほげ先輩が情緒とか気にせずに魔法によってネジを外した部分を取り外した。
そこには、ネジが外れた裏にはスイッチや景気のための回路はなくガラスのケースに黄緑色の透明な液体が詰まっていた。
「はろーえぶりわん!私が17歳のキュートな天才美少女勇者!甲高鈴子です!好きな食べ物はモンブランです!」
「モンブランは私も好きです!なんせ、異世界に召喚された時もモンブラン持っていましたからね!」
「え?それほんと!?ちゃんとコピーした!?」
「コピー?普通に食べちゃったけど・・・」
「ええええええええ!!!ダメだよぉ!コピーしておかないと次食べたい時に食べられないよ!?食べ物はコピーアンドペーストして食べるのが常識でしょ!」
「琢磨君知ってた?そんな便利なことできるの。あのケーキ私大好きで毎週たべてるようなやつなのだけれど!」
私は自分いうのはなんだけど、すごい剣幕で琢磨君を見ていたと思う。
「知ってたけど、街で食べたご飯とかもそうだよ。というか、なんで普通に会話できるんですか・・・」
「「知っていたのにどうして言わなかったの!?」」
私と甲高さんの言葉が重なった。
「そ、それはあの時は動ける勇者私しかいなくて、怪我もしてたし、久しぶりに勇者が来たことでうれしくていっぱいいっぱいで、ごめんなさい・・・」
あ、しまった。琢磨君は大人っぽく見えるけど14歳だ。こんな責めてしまうなんて我ながら恥ずかしい。
「あ、そんな落ち込まなくても・・・私毎週食べてたモンブランの味だから頑張れば作れるかもしれないし!甲高さんも協力してくれるよね?」
「う、うん協力するする!私作っちゃうよ!モンブラン!」
「僕も協力するから許してくれる?」
「「もちろん!」」
「なんなんですか。この状況・・・琢磨君も本題言う前に言いくるめられちゃってますし。でも、へこんでる琢磨君ちょっといいかも・・・」
「アリスちゃんも大概だと思うけどねー。この状況に順応し始めてるよね。それで、あなたが勇者『甲高鈴子』本人でいいのだよねー?」
「そうよ!私が甲高鈴子よ!見てわからないの!?」
「見てわかるはずがないんじゃないかなー。だって、君、脳みそしかないじゃないか。」
ほげ先輩が言ってしまった。私が目をそらしていたことを脳みそじゃ17歳かもわからない。いや、17歳より年取ってるのは確実だけれども。
「こ、これはちょっと色々あってね。仕方なくこうしてるの。それより、私に何か頼みたいことがあるんじゃないの?」
「そうだ。私と琢磨君に魔法の知識を授けてほしいんだ。1人目の勇者はとても優秀で魔法に関してはほかの勇者とも1線を隔していたと聞いた気がする。」
もちろん、そこまでは聞いていないけれどおだててる作戦で行く。
「やっぱり姿を消しても天才美少女勇者っていうことは広まっちゃうのねー。うふふ。でも、私の協力を得るのはなかなか難しいよ?私は軽い女じゃないからね。」
やはり、そう来たか。だがもう言質はとっている。これは私の勝利だ。
「じゃあ、モンブラン作りは琢磨君と2人で頑張ってつくろっか。完成したら4人でたべよう。あのモンブランは私の人生の中で至高の一品なんだよ。」
私は目で琢磨君に協力を促す。
「あ、うん。一緒に作ろう。アリスもたべたいでしょ?そのモンブラン。」
琢磨君はアリスと食べてみたいと思ったらしい。
「はい!琢磨君の作ったもんぶらん?食べたいです!」
アリスちゃんものってきてる。そして、ぐぬぬって実際に言ってる甲高さんに追い打ちをかけるのはやはりほげ先輩であった。
「俺も甘いの好きだから食べてみたいねー。モンブランよりはチーズケーキが好きなんだけどねー。」
「モンブランは至高の一品!私も食べるし!そのためなら協力は惜しまない!!」
ここぞばかりにモンブラン好きを逆なでする一言で甲高さんも折れた。というよりは、やる気を出したといった方がよいのかな。
「じゃあ、なんでそんな恰好になっているのか。ってところから話を聞こうかー。」
「わかった!話すわよ。」
私とほげ先輩は多分このとき同じことを思っただろう。
ちょろいな!!
とうとう2人目の女の子(脳みそ)がでましたよ!
序章はもうちょっと続きます。