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私の異世界妄想劇  作者: Trifle
序章
6/14

回復魔法

「何やってるんですか!本藤先輩!!」

 琢磨君の声が治療院に響き渡る。


「いやぁ、ちょっとした実験も兼ねてこの体を治そうと思ってねぇ。」

 答えたのは傷がない方の先輩だ。

「実験って複製体を作ってそこに意思の力を全て注ぎ込むとかバカなんですか!複製体への転身は完璧じゃない!そこには知識と感情が存在しても昔の思い出は欠落するんですよ!」

「琢磨君そんな怒らないで。全部わかってるから。要はこの体からまた元の体に戻ればいいだけなんだしさぁ。」

 なるほど、そういうことか。

「そっちのお兄さんはわかったみたいだね。」

「琢磨君、この実験は琢磨君のためでもあるんだよ。多分それが大きいと私は思うよ。これは魔法による勇者の回復実験だね?」

「だいせいかーい。正解したあなたには回復魔法でよみがえる勇者の姿を見せてあげましょー。」

 と、いうと同時にベットで眠っているほげ先輩の体が淡く輝き欠落した腕や足、やけどの跡のようにただれた皮膚が治ってゆく。

「もしかして、僕たちは異世界から来た体が特別なのではなくて存在の力が特別ってこと・・・。なんで僕はこんな簡単なことに気づかなかったんだ!考えればすぐわかるはずなのに!」

 さすが琢磨君はすぐに気付いた。この可能性については気づいていてもいいと思うけど、この回復方法は常識人な琢磨君には思いつかなかったと思う。だってこの後は・・・

「本藤先輩もしかして、この後は・・・」

「そうだよー。自殺するからちょっとこっちは見ない方がいいよ。でも、見たいならよく見ててね!」

 かるーい感じに恐ろしいこと言った。意思の力は死なないと元の体には戻らないからね。って死ぬとこなんて見たくないのに頭上からつらら落ちてきてる!あ、頭に刺さった。気持ち悪い・・・あれが脳みそか・・・

「ごめん、隣のベット借りる・・・」

「顔真っ青だよ?大丈夫?」

「笹井さんはこういうのダメなんですね。鍛えないといけないですね!」

 琢磨君ありがとう。でも答える元気ない。アリスちゃんは・・・あぁ、もうだめだ。ふがいないなぁ私。

 私は隣のベットまでふらふら歩き貧血で倒れた。

「よし!成功だよぉ!これで琢磨もあいつらも元通りにできる!」

 ほげ先輩の元気な声が聞こえる。そういえばほげ先輩のほげ詠唱なかったなぁ。私の意識はそこで途切れた。


 目覚めるとそこはベットの上だった。当たり前である。お約束と違う点はうつぶせにばたりとベットに倒れてそのままの姿勢だった。

「これで僕の目と手が・・・」

 ブシュッ

 目覚めて琢磨君の声のする方をみるとほげ先輩と同じように頭からいろいろ出てる。やっぱり気持ち悪いな。あれ、血の気は引いたけど今度は割と大丈夫だな。さすが私、適応能力が高い!

「あれ、笹井さん起きましたか。今琢磨君見ても大丈夫なんですか?」

「今回はちょっと血の気が引く感じはあったけどさっきよりはいいみたい。ほげ先輩が複製体すぐ片づけてくれたからそれがよかったのかな。」

 アリスちゃんの顔がちょっと残念そうな顔になる。アリスちゃんって結構k・・・

「アリスちゃんって結構黒いよねぇ。」

 私の思考の先をほげ先輩が口にした。その瞬間アリスちゃんの体輝き、6枚の黒い羽が出現した。これが噂に聞く堕天使、いや堕女神!


 そして、黒っぽいオーラを纏うのであった。

「琢磨くんーーー!本藤さんと笹井さんがああああ!!!笹井さんがいつも意地悪するからちょっといい気味って思っただけなのに!少しくらいいいじゃないですかあああ!!」

 そして、瞬時に理解したアリスちゃんは先ほど回復したばかりでベットから上半身起こした形でいる琢磨君(完全体)に泣きついた。

「よしよし、今治してあげるからね。」

 アリスちゃんの黒い羽とオーラが消えていった。

「もしかしてこれも出し入れできるの?」

「そうだよ。白い羽が防御特化、黒い羽が攻撃特化と切り替えられるようにしたよ。」

「わーい!」

 もはや、どっちが年上かわからない光景になってしまった。


 そんな中ほげ先輩が笑いながら実験結果について考察し始めた。

「これで、私たちが回復する方法と今眠っている勇者を起こす方法がわかったねぇ。意思の力を全部移した状態で力が元の体に戻るかは賭けだったのだけれど、無事成功したしあのガーディアンを倒せば無事だった3人は元に戻るでしょ。でも、ほかのやられちゃったメンバーは魔物として出てくるのかなぁ。やだなぁ。」

 琢磨君が顔が青ざめている。さっきまでアリスちゃんに抱き着かれてちょっと赤らんでたのにほんと琢磨君は表情が豊かだなぁ。


「ちょっと待ってください!それってさっきの実験で本藤先輩死ぬかもしれなかったんじゃないですか!?てか、誠は何でそんな微笑ましそうな物を見てる顔をしてるの!」

 なんでって言われてもその通りなので私は何も言うことはないな!

「それは大丈夫なんだなぁ。だって、今の俺ってあのガーディアンに意思の力吸い取られて3分の1くらいしか力ないからさぁ。ここで倒れててもガーディアン倒せば元に戻るし、ただ意思の力の戻る先が意思の力が大きいガーディアンの方に行ってたらその分強くなっちゃってたけどねー。ずっとあの状態で痛い思いするのも嫌だったし、思い切って実験したんだよ。通常じゃやりたくない実験なのは変わらないしねー。」

 あっけらかんとまたほげ先輩はまたそんなことをいう。そんなこと言うから琢磨君は

「ガーディアン倒したら意識が戻る可能性はさっきの実験で実証したことでしょうがああああ!!!しかも、魔核を守るガーディアンを倒せば同じことが起きる確証もないし!」

って怒るわけだよね。

「ばれちゃったかー。さすが琢磨君だね!でも、これは琢磨君と私の戦線復帰のためでもあるんだ。あの3人については琢磨君が来る前で俺自身ほかの人にすべてを背負わせたくなった。そして、琢磨君もこの魔核との戦いをほかの人に押し付けるのは嫌だろう?だから、目が悪くても魔素の持つ情報を引っ張ってきて視覚を補う訓練をしていたのだろう?」

 だから、琢磨君って実は目が見えてるんじゃないのって疑問はあったのだけれど、そういうことだったのか。

「なんで寝込んでたはずの本藤先輩がそれを・・・」

「魔法生物がいれば一人ぼっちの後輩勇者の面倒を見ることくらいできるんだよ。」

 どうやら優秀な琢磨君の先輩なだけあっては先輩もかなり優秀らしい。

当小説に出てくるアリスちゃんは一般の宗教から邪教まで幅広い層で支持をもらえる女神です。

ちなみに裏話として、ほげ先輩の魔法生物である三毛猫が琢磨君を見張り、追い込み過ぎだなってところで猫ちゃんに甘えさせることで休憩させたりしてました。

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