偽不死 其の六
『若僧が。お前に俺らの痛みがわかってたまるか。俺らは王を討つまで止まらない。』
偽不死は引き金に力を込める。
『さっさと撃て。元英雄さんよ』
『だめーーーーー!!』
ドン
二度目の銃声が響いた。
傷の男は倒れた、
『きゃーーーーーー!!!』
杏は叫ぶ。
偽不死と男は落ち着き払っていた。
『すまんな、ひいてはこの国のためだ。おい女、上に一度戻る。』
言われたが杏は腰が抜けていた。
初めて銃声を聞き、初めて人の死を目の当たりにした。
こんなに無機質な光景なのか、死とは。
と、矛盾した気持ちもあった。
『うぉえぁっ』
なんと傷の男は嘔吐した。
生きていた。
『おい!!なんだお前は!!』
『だから言ったろ。気持ちはわかるって。』
怯む偽の不死の顔面を、傷の男は鷲掴んだ。
『いいかよく聞け。確かに王はお前らを騙した。だがお前らは戦争と言う職にありつくために承諾したはずだ。そして戦争では他国軍を殺しまくった。戦争が終わりゃあ今度は早く死にたいってそりゃあ通らねえよ。』
鷲掴みしたまま傷の男は言った。
掴まれた男の顔からは、何か湯気の様な煙の様なものが立ち込め、苦悶に呻いている。
たまらず、偽不死の男は顔を掴まれたまま傷の男の腹を3発ほど撃った。
『効かねえよ。俺の“ナノマシン”はてめえらの量産型と違って王朝の傑作だ。』
(馬鹿な、俺らの体でも外部刺激にここまで無反応ではいられない!!王朝、、、そうか、こいつ、不死の先駆け、元王朝の兵士、、、!)
『がぁぁぁぁああ!!』
偽不死の男の顔面かは登る煙は更にドス黒く、量を増した。
『や、焼けてる!?』
杏は言った。
『ああ、そうだ鼻塞げ。人間の焼る匂いは女には耐えられない』
更に男は続けた。
『なあ"若僧”、俺らは掌の体温を100度まで上げることなんてわけない。それでも此方の体がイかれないってことはそれだけ俺の体の再生機能が優秀ってことだ』
既に偽不死の男は呻き声すら出さなくなった。
断末魔すらなかった。