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偽不死 其の三
散り散りに歩き回る男たちを呆然と眺める杏。
『私、ヤバイことしちゃった、、、?』
呟いた。
『気にするなお前に案内させんでもいずれすぐ見つかったことだ。』
確かにそうだ。
私は悪くない私は悪くない私は悪くない。
『ちす、リーダー、なんか怪しい部屋発見しました。』
ニット帽を深く被った男が、リーダー格の男に報告した。
『おう?わかった。』
男たちの足音は離れていく。それに連れ立つ男達の群れ。
杏は項垂れたままだ。
数秒、いや数十秒経ったか、ニット帽の男が戻ってきて言った。
どうやら一人だ。
ニット帽の男は杏の眼前に座り、顔を覗き込んで言った。
『おい、ありがとうは?』
最初、意味がわからなかった。
『は?』
『潰してやったぞ連中。ありがとうは?』
男はニット帽を脱いで笑った。
左目から額に向かって傷があった。
先ほど男たちが入っていった部屋、その中ではリーダーを始めとするあの集団が蹲り、横たわり、失神?していた。