16/27
不死身 其の三
『ああ、そうだ』
桃はさも嫌そうに言った。
『えー、何それ、私サラコナーみたい!』
杏は頬に両手をやり言った。
『サラコナーは救世主を産む。でもお前はどのパターンの人生でも子供を産まない。相手がいないんだ。』
桃は少し嘲るような含みをもたせた。
『なにそれ!私何回生まれ変わっても独り身?』
杏はムクれた。
『そうだ』
『救世主を産むわけでもない私をなんで助けにきたこよー』
『古い映画を知ってるならバタフライエフェクトも知ってるか?』
『そっちは知らなーい』
杏は途端に興味を失った風だ。
『まあいい。風が吹くと桶屋が儲かるってやつだ。』
『???ことわざの?』
『前回と前々回の人生でも俺はあの発電所をたすけた。』
『へー、やるじゃん!』
心なしか、どこ吹く風と言った感じだ。
『前回だけはお前が奴らに殺されてから行った。』
『おい!』
杏は低い声で突っ込んだ。
『お前が死ぬと、何故か王の浄化のスパンが早まる。つまりお前が何か(なにか)を持ってる可能性ありだ。』
『私が、、、?』