不死身 其の二
『私、え?死んだ覚えはないんだけど、、、』
杏は混乱してる。
『んー、、、なんだか説明してて自分でも面倒くさくなってきた。』
『いやいやいや、ここまできたらちゃんと言ってよ!』
杏は意外にもここまでの話は自分なりに咀嚼しているらしい。
『じゃあここからは簡潔に言う。お前の理解力をなめてるんじゃなくて、俺が説明が不器用なんだ、堪忍してくれ。』
『わかった、、、。』
『いくぞ。つまりなおさらいからいくと、王は地球の破滅を防ぎたい。そのためには文明の軌道修正が必要ですと。
だから人間と、文明を一回地球上から無くすわけだ。
それを俺ら不死身人間は手助けする。
文明をリセットするのは意外に簡単。
マニュアルに沿って再構築するだけだから。
今の技術なら10年あれば0の状態から現代の状態にまで再生できる。
でもこれだけじゃ問題ありありだ。わかるか?』
今度は桃が尋ねた。
『文明が再生しても、人間は、、、?』
『ご明察。文明は俺たち不死身人間が神様になって創り上げる。
でも人間が一人もいないんじゃ意味がない。そこで王は数百年前に人間全員のDNAを保管することにした。』
『え!じゃ私のも?』
『当たり前だ。“4回死んでる”の意味はそこ。つまり、例えばお前なら400年前に生まれて、4回は浄化を体験していて、4回は再生させられている。つまり今のお前はクローンだ。』
『えーーーー!!やだ!!!』
『やだってお前、、、。まあつまりは今いる人間ほぼ全員、一部新生児以外はクローンだ。』
『えーー、不死身人間は見て信じるしかないって思えるけど、自分がクローンだとか信じらんない!』
『だろーよ。』
桃は笑った。
『え、で、そこはまあいいとして、それ以外の質問については?』
『、、、なんだっけ?』
桃は普通に忘れていると言う表情だ。
『なんで私の職場にいたの?』
『あー、、、言わなきゃダメか?』
『当たり前でしょ!』
杏は興奮している。
『厳密にはお前に会うためだ。』