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職質 其の三
オールバックの男はさすが軍人と言ったところで、さけび声一つあげず上着で炎を揉み消した。
『、、、召喚か。』
男は額にネットリとした汗を浮かべて言った。
『俺も敵が多くてね。』
桃はよろめきながらも立ち上がっている。
『五元ノ法貸借禁止令違反だな。』
男はニヒルに笑う。
『召喚資格ならもってたぜ、大昔にお前ら軍隊にとりあげられたけどな。』
『隊長!!』
片方の警官が叫んだ。
『、、、』
暫し睨みあう桃とオールバックの男。
『退散だ!!』
男は叫んだ。
『はっ、しかし!』
部下の男は狼狽えた。
『しかしもクソもない!』
オールバックの男の拳が部下の男の顔面を殴り飛ばす。
『退散!!』
もう一度オールバックの男は言った。
『了解!!』
部下一人は運転席へ。
もう一人はオールバックの男にドアを開け乗車を促した。
乗車し間際、男は桃を睨んだ。
桃は無言で、セダンを見送った。