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職質 其の二

『!!』

杏は慌てて車のドアを開け片足がアスファルトを踏んだ。


『出るな!!』


桃は叫んだ。


『痛えが、、、死なない。』



桃が言い終えると同時にセダンからもう二人の軍警が降りた。


二人は銃を桃に向ける。


それをオールバックの男が制した。


『確認作業終わり!!』

『確認作業、終わり!』

オールバックの男の声の後に寸分乱れぬ二人の声が続いた。


成る程“軍隊警察”である。



『捕縛を開始する!二人はそこで見学!』

『了解!!』


オールバックの男は構えた。

恐らくムエタイかなにかだろう。


一方桃はと言うと、脱力である。


令状(ふだ)はあるのか?』

桃のその一言を合図にオールバックが一気に踏み込む。


上段蹴り


桃はダッキングで躱し、胴にタックルした。

寝技に持ち込もうとするもマウントは奪えず。

手四つの形で起き上がると、間髪入れずオールバックの前蹴りが入る。

この時点で既に銃を抜いている。


よろめいた桃の太腿、脇腹、胸と銃弾を浴びせた。


桃は痛みに体を折る。


下がった桃の頭部に銃弾一発。

桃はくの字に倒れこんだ。


杏はこの光景を車内から眺めていた。


『私は夢を見ているんだ、きっと。』



オールバックの男は倒れた桃に尚も銃を向け尋ねた。

『答えろ、“千里眼(せんりがん)”は今何処にいる』


桃は答えない。


『死んだふりをするな!!』

オールバックの男は桃の腹を撃った。


『知らねえ、、、』

掠れた声で桃は答えた。


『お前は重要参考人だ、あの女もな』

オールバックの男は車内の杏を見やった。


『あいつは成り行きで連れ立っただけだ。千里眼のことなんか知らねえ。』


『念には念だ。』


オールバックの男は笑う。

そこに隙を見出した桃はオールバックの右足首を掴む。


男は抵抗し、銃弾を浴びせるが桃の握力は更に絞まる。


そして次の瞬間、


男の右足は発火した。






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