プロローグ 私の名前
…痛いなぁ…………。
ったく、ここどこよ。
暑くもなく寒くもない。
痛みで体が動かせないし、視界はぼんやりしてるしで困る。
なんなんだよ…。
てか、私は誰?
私って何者?
………。
何も思い出せない。
これからどうすりゃあいいんだ。
「目………まし…か?」
どこからか、女の人の声が聞こえた。
「目は覚めましたか?」
状況が理解できない。
とりあえず、声の主の正体を聞くことにした。
「誰ですか?………あなたは…。」
返事はすぐに返ってきた。
「女神です。本名は教えられません。今は知る必要が無いのです。」
姿を現さない女神という奴は、意味ありげに言った。
「そうですか。……じゃあ、私は誰?」
「そうですね…名前と性別だけ教えておきましょう。あなたの名は『アテナ・フォーサイス』、女性です。」
そうか…私は女性で、アテナ・フォーサイスって言う名前なんだ…。
でも、私はこれからどうすればいいんだろう。
女神さんに聞けばわかるかな?
「もう1つ…私はd」
「私はどうすればいいのか、ですね?」
「あ、ハイ……。」
女神さん、何でもお見通しですか⁉︎
「この話が終わった後、あなたは体力が尽きるまで階段を下りなさい。振り向いてはいけません。その後、何処かに隠れてください。するとすぐに眠くなるので、我慢せずに寝なさい。時間がありません。さようなら。また会う日まで………」
「えっ⁉︎ちょっと待っ……」
女神さんの声は、物凄い光と共に消えた。
………。
さっきの意味不明な空間とは違い、寒かった。
体が軽い。痛くもない。
目を開いてみた。
私は石でできた階段の途中で座っていた。
辺りは真っ暗で、今は夜みたいだ。
…そうだ。下らなきゃ。
立ち上がり、階段を下る。
その階段は長く長く、見えなくなるほど下まで続いていた。
………。
躓いて(つまずいて)転びそうになった時も何回かある。だけど、女神さんの命令を聞いた方がいいことがあるはずだから、二段とばしで走るように階段を下りていった。
……もう体力は限界だ。まだ階段は続いている。でも、もう隠れた方がいい。振り向かないように用心しながら、近くに隠れる場所はないか、とキョロキョロ見回した。……丁度、木箱があったので、そこに隠れることにした。
「おいおい、物音がしなかったか?」
「したした。…またドロボウか?」
物音って……あ、私の階段下りる音か。
なんか、眠い。
女神さんの言う通りだ。眠くなった。我慢しないで、寝る…。
階段を下りていたから暑かったけど、汗が冷えたのか?元々寒かったけど、もっと寒くなった。
うーん…
寒いよ……もう無理だ。
私は眠りにおちた…というより、寒さで意識を失った。