強くあれ
「お前、もう要らない」
愛しい愛しい愛らしく美しい従姉妹は、目を細めてとある人物を睨んでいた。
彼女にとって勝つことが全て。
敗者に弱者に道を決める権利はなく、地の底で息絶えていくのがお似合いだと笑う。
だがそれは同時に自分自身への鎖でプレッシャーだ。
まだ学生という年の彼女と私だが色んな事をしてきた。
人には軽々しく口にできないことだって、グレーゾーンにだって手を出した。
その結果私たちが今いる場所は本当の黒。
「一度目は忠告、二度目は警告、三度目は無い」
底冷えする声音で男を脅す彼女。
それでも美しい。
何にも負けない屈さない彼女だけの美しさだ。
強くあるために守るために欲求のために、自分のために他人のために彼女はここにいる。
彼女が一番大事なのは身内、その次は彼女の周りの人間だから。
強く強く強く。
強くあろうとする彼女は恨まれようが妬まれようが、何一つ問題にせずにただひたすらに自分の道を歩もうとする。
強く強く強くもっと強く。
その為ならば切り捨てる事も厭わない。
二周りは下の彼女は回転椅子の上で足を組みながら、ジッと男の見下ろす。
早く出ていけ、お前はもう要らない、必要ない、消えろ、失せろ、二度と自分の目の前に姿を現すな。
彼女の目がそう言っている。
全身全霊でそう伝えている。
「バイバイ」
柔らかく微笑んだ彼女が男に手を振った。
無慈悲な彼女。
誰に恨まれても強さを求める。
孤高の存在。
ただひたすらに強くあれ。