8 合同演習
ゆっくりと目を開ける。
朝の温かい日差しが目に入り、ジンは目をこすった。
今日は、第三部隊との合同演習の日だ。
ジンはゆっくりと体を起こした。
そしてあくびをしながら顔を洗いに洗面所に行った。
「おお、ジンじゃんか。おはよう」
洗面所にはリークがいた。
「ああ、おはよう」
「今日もリリーナさんが見れるなー」
「そうだな」
リークはリリーナの話を嬉しそうにし始めた。
リークはリリーナのことが好きなのだ。
「お前も本当隊長のことが好きだな」
「そうだよ。……でもさ、リリーナさんはルキさんと付き合ってるんだろう?」
隊長が、ルキ隊長と――?
ジンの胸にちくりと棘が刺さったような痛みが走った。
なんだ、これは?
「……て、聞いてるのか、ジン?」
リークの声で我に返った。
「ああ、すまない。考え事をしていた」
「まあいいけどよ。じゃ、オレ先に食堂行っとくから」
「ああ」
そういってルークは洗面所を出て行った。
隊長と、ルキ隊長が――。
リリーナとルキのことを考えながら、顔を洗った。
「あら、ジンくんじゃない」
食堂に行くと、リリーナが朝食を乗せたトレイを持って席に着こうとしていた。
その隣にはルキもいる。
「ああ、おはようございます」
「おはよう」
リリーナは微笑んで挨拶を返した。
「あっ、ジンー!」
呼ばれたので振り返ってみると、リークが手を振ってこちらに近づいてきた。
「いやー、もう席が取れなかったんだ。あ、リリーナ隊長、ルキ隊長、おはようございます!」
リークはリリーナとルキに対して勢いよく90度のお辞儀をした。
「おはよう」
「おはよう」
二人は苦笑いで返した。
「あの、よければオレたち隊長たちの隣に座ってもいいですか?」
リークがリリーナたちに言う。
「ちょ、リーク!」
「もちろんよ」
リリーナが笑って答えた。
「ほんとですか!?」
リークは嬉しそうに言った。
頬が少し赤くなっている。よっぽど嬉しかったのだろう。
「ルキもいいかしら?」
「もちろんだよ」
「よっしゃ、じゃ、オレたち飯取ってきます! いくぞ、ジン!」
リークはジンの腕を取ってご飯を取りに行った。