6 白の花3
すこし残虐な表現があります。
苦手な方は注意してください。
ブランが俺の家に養子に来てから半年がたった。
やはりブランはよく働き、俺の家で愛されて育った。
そんな時、あの戦争が起こった。
第二次大陸戦争。
俺の家があるリュスタ国は『ナイティア騎士団』擁するアルフィー王国の東側に位置していた。
そして、アルフィー王国の王妃はリュスタ国の姫で、二国は同盟関係にあった。
そのアルフィー王国に北方のルノ帝国が攻めてきたのだ。
アルフィー王国はすぐに『ナイティア騎士団』を北方に派遣した。
だが、戦火はすぐにはおさまらず、長期化した。
長引く戦争の中、リュスタ国からも騎士が派遣され、騎士の家系だった俺の家からも父と兄が戦争に出向いて行った。
両軍ともぎりぎりの攻防を続けていた。
そして、あの悪夢の日が来た。
ルノ帝国の軍がリュスタ国に攻め入ってきた。
リュスタ国の都市部はあっという間に戦火に包まれた。
俺の家も、同様に。
俺の家に帝国軍の軍人たちが押し入ってきた。
母は家を守ろうと軍人たちに対抗したが、あっけなく切られてしまった。
使用人たちもどんどん死んでいく。
俺はブランを抱きしめて草むらに隠れていた。
「声、だすなよ」
俺はブランにささやいた。
ブランは俺の腕の中で小さく震えていた。
そして俺の腰に手をまわしてきた。
使用人たちの悲鳴と軍人たちの笑い声が聞こえてくる。
俺はブランを強く抱きしめた。
……と、だんだん軍人たちの声が近づいてきた。
なにやら話している。
「……この家には子供が二人いたはずだ。二人とも連れて行くぞ。」
……俺たちのことか?
ブランだけは逃がさないと。こいつだけは。
どうやってブランを逃がそうか考えている間にも軍人たちは近づいてくる。
と、俺の腕の中にいるブランが暴れ始めた。
「おい、ブラン!」
小声で叱咤する。
俺の腕から抜け出たブランは、いきなり立ち上がった。
「私はここにいます」
ブラン――!?
「お、おまえがこの家の子供か。よし、連れて行け」
軍人が言った。
ブランは横目で俺を見て、逃げて、と言った。
そして微笑んだ。
ブランは自ら軍人たちへ近づいて行った。
「これは可愛い御嬢さんじゃないか」
「隊長、もう一人の子供はどうしましょう」
「もういいんじゃないか、撤収だ」
軍人たちはブランを連れて俺の家から出て行った。
そのあと、俺はアルフィー王国軍に保護され、騎士となった。
ブランがそのあとどうなったのか、俺は知らない。
ファンタジーは初めてですので、なにか不明な点などございましたらコメント等よろしくお願いします。