2 戦い
「おーい、リリーナ!」
リリーナは声をする方を振り返った。
「あら、ルキ」
そこにいたのは、『ナイティア騎士団』第三番隊隊長、ルキ・フロートだった。
ルキはリリーナの昔馴染みでもある。
「久しぶりね、ルキ。遠征お疲れ様」
ルキ率いる第三番隊は北方の町の内乱を鎮めるため数週間前から遠征に行っていた。
「ああ、ありがとう。でさ、リリーナ」
「なに?」
リリーナがルキの顔を見つめる。
女性でも小柄な方のリリーナが、長身なルキを見上げる形になる。
「一戦、剣を交えてくれないか? リリーナ?」
ルキが少年のように笑った。
その笑みに昔のあどけなさを感じ取ったリリーナは
「ええ」
微笑みながら頷いた。
「準備はいいかい、リリーナ?」
「ええ、大丈夫よ」
両者は剣を抜き、静かに見つめあった。
「じゃ、いくよ」
「ええ、どうぞ」
「ふっ!」
ルキは地面を蹴って、一気に距離を詰めた。
そしてリリーナに剣を振り下ろす。
キン、と鋭い音がして、剣と剣がぶつかる。
少しの間にらみ合い、二人は後ろに飛び退いて間を取った。
「腕は鈍ってないみたいだね、リリーナ。さすがだよ」
「ありがとう。ルキこそ、まだまだ強いわね」
リリーナはルキを見ながら微笑んだ。
「はっ!」
リリーナは一気に間を詰め、ルキに飛びかかった。
「腹ががら空きだよ!」
ルキはリリーナの腹部を蹴った。
リリーナは体をねじって避けたが、完全に避けきれていなかったためバランスを崩し、地面に膝をついた。
ルキはリリーナの首に剣をあてて、つぶやいた。
「勝負、あったかな?」
リリーナはルキを弱々しく睨んだ。