銀の救世主 1
カン、と空気を切り裂く音がして、剣が青年の手から離れ、一回転して地面に突き刺さる。
青年は尻餅をついた。
「……負けました……」
青年が観念したようにつぶやく。
「はい、ありがとうございました。力がついてきましたね。でも、隙が多いので狙われやすいです。そこを気を付けていればだいぶ強くなると思いますよ」
青年と戦っていた女性は青年に手を差し出した。
「……ありがとうございます」
青年は女性の手を借りて立ち上がった。
「では、これで今日の訓練は終わりとします!」
女性が声を張り上げ、訓練の終わりを告げた。
「いやー、やっぱリリーナさんは強いなー」
騎士専用の宿舎へ帰る途中、輝く金の髪と深い緑の瞳が印象的な青年が、先ほど女性に負けた青年に話しかけた。
「……そうだな……」
「いいなー、お前。リリーナさんに稽古つけてもらって! 俺もつけてもらいたいよ」
「お前もつけてもらえばいいじゃないか」
「リリーナさんは自分が強いと見込んだヤツにしか稽古をつけないんだ。俺なんかじゃ無理無理! もっと強くなってからじゃないと」
金の髪の青年が無理無理と自分の手のひらを顔の前で振った。
「ま、お前が強いと見込まれているってことさ、ジン」
金の髪の青年が女性に負けた青年――ジンを指さして言った。
「……そうか……ありがとう、リーク」
金の髪の青年――リークは微笑んだ。
「……それにしても! ほんとリリーナさんは綺麗だ! あんな人を嫁にもらったら俺もう死んでもいいよ」
リークがはは、と笑いながら言った。
「……そうだな」
「ああ、お前は『白の花』しか興味ないんだったな」
リークがはやし立てる。
「まぁな」
ジンは笑った。
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