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第8話 「地を這う影」
地下の通路は、湿った岩肌が松明の火を鈍く照り返していた。フィーナを先頭に、ノアは窓の敵感知を頼りに後へ続く。最初の階層は静かだったが、二層目に降りた途端、窓の隅にいくつもの赤い点が湧き上がった。
闇の中から這い出してきたのは、岩を体にまとった蜘蛛型の魔物――数は六。フィーナが踏み込み、一匹を袈裟懸けに斬り伏せる。ノアの指先からは光の刃が連射され、二匹を貫いた。順調に見えたその時、横合いから飛びかかった一匹が、フィーナの左腕に鋭い前脚を突き立てた。
「っ……!」。彼女の二の腕に、浅く一筋の裂傷が走り、血がにじむ。深くはない。だが痛みに一瞬体勢が崩れた隙を、別の個体が狙っていた。ノアは窓に叫ぶように文字を走らせ、魔物の頭上へ巨大な火球を落とす。爆ぜる炎が群れを吹き散らした。
フィーナは傷ついた腕を押さえ、息を整える。「……助かった。けど、まだ二層目よ」




