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第3話 「最初の一歩」
歩き出すしかなかった。窓の地図が、最も近い赤い印と、その傍らで小さく灯る一つの光を示している。人の集まる場所――町だ。男は重い鋼の脚を引きずり、森を抜ける道を探した。
不意に、視界の隅に赤い輪郭が浮かぶ。敵の感知だ。茂みの陰から、牙を剥いた狼のような魔物が三匹、こちらを睨んでいた。とっさに手をかざすと、窓に文字が走る。「火球」。指先から生まれた炎の塊が唸りを上げて飛び、先頭の一匹を焼き払った。残る二匹は、続けて放った光の刃が地に縫い止める。
戦いはあっけなく終わった。どうやら、この体はかなり強いらしい。だが安堵した拍子に足がもつれ、男は石につまずいて派手に転んだ。誰も見ていないのが、せめてもの救いだった。
やがて木立の向こうに、石壁に囲まれた町並みが見えてくる。門の前には、行き交う人々の姿。彼の長い旅は、ここから始まろうとしていた。




