第31話 対断ち切り後編
「やっと全員帰ってきたか、改めてお前たち全員を今日殺す」断ち切りは俺たちにそう言い放った。
「殺す?何舐めたこと言ってくれてんだ。俺が絶対誰も死なせない。そして、お前を今日、討伐する」
神無月さんはそう言いながら断ち切りに向かって行った。
「神代、お前は九条の援護を頼む。それ以外は俺に続け」
神無月さんはそう言った。
「後、九条、隙を作るから術を成功させろ」
俺の目を見つめそう言った。
神無月さんと師匠がメインとなり、断ち切りに攻撃を仕掛けていく。
白峰さんと鷹宮さんは結の能力を使い、なるべく俺たちに有利な状況を作ろうとしている。
天城さんは少し離れたところから影矢で援護をしている。
ただ、断ち切りに与えているダメージは少ないように見えた。
俺は集中する。
だが、やはり、断ち切りが強力なようで術がなかなか成功しない。
すると、誰かがこちらに向かって走ってきた。
その正体は霧島さんだった。
天城さんは霧島さんが来たことを感知すると
「霧島、お前は下がってろ」
そう言った。
「九条くんも戦ってんのに、私が下がってられるわけないでしょ」
霧島さんはそう言い返し
「夜依、九条くんの援護は私に任せて」
そう言った。
「澪、分かった。九条くんをお願い」
神代さんはそう言うと俺たちから少し距離を取り、契約妖怪を使って神無月さんたちを援護し始めた。
神代さんが加わったことにより、断ち切りに隙が生まれた。
「九条!」
神無月さんにそう言われたので俺は術を発動した。
すると、断ち切りの空間そのものを切る能力を模倣できた。
断ち切りの能力を模倣すると、かなり素早い速さで動けるようになった。
俺はすぐさま断ち切りに攻撃を与えようとする。
しかし、その時には断ち切りの隙は無くなっていた。
断ち切りが神無月さんたちに攻撃を仕掛けて、神無月さんたちが致命傷こそ負ってはいないが、戦闘できなくなっていたからだ。
目の前の断ち切りは、俺の心臓を狙っているようだ。
今度こそ、死んだ。
無理だ。
もう誰も助けてくれない。
しかし、俺は生きていた。
ただ、目の前には血が流れていた。
温かい飛沫が頬にかかった。
それが自分のものではないと理解するのに、数秒かかった。
そこにいたのは白峰さんだった。
白峰さんの体には断ち切りの腕が刺さっていた。
「白峰さん!」
俺は動揺してそう叫んでいた。
東の空から日が昇り始めている。
俺は絶望から動けずにいた。
しかし、神無月さん達は違った。
全員断ち切りに向かって攻撃をしようとしていた。
攻撃が断ち切りに当たるその瞬間、断ち切りの姿は消えていた。
「今日はこれで終わりだ。日が昇るからな。1人は殺した。また会う時は全員殺す」
東の空が白み、鳥の声が聞こえ始める。
まるで何事もなかったかのように、朝が来る。
ただ、この山に流れている空気は重く、絶望に満ちていた。
断ち切りを逃し、霧島さんは白峰さんに手当てをしようとする。
師匠も手当てを手伝おうと白峰さんに近づく、そんな師匠の左目にも切り傷があり、失明しているようだ。
神無月さんも天城さんも鷹宮さんも神代さんもその場に立ち尽くしていた。
神無月さんは絶望から刀を落とした。
地面に落ちた瞬間、刀は折れた。
「だめだ。血が止まらない。刺さっていた断ち切りの腕が抜けたせいで」
霧島さんは目に少し涙を浮かべそう呟いた。
「九条を呼んでくれるか」
白峰さんは掠れた弱い声でそう言った。
それを聞いた霧島さんは俺を呼んだ。
俺は動揺しながら白峰さんに近づいた。
俺の目から涙が溢れていた。
「九条、そんなに泣くな。お前に伝えておきたいことがある。俺が君を守ったのは、俺が自分で決めた事、だから、気にするな。頼むから復讐心に駆られて人間でなくなるのはやめてくれ。あいつみたいに……」
第31話完
ここまでお読みいただきありがとうございます。これにて「弐の章」は完結となります。参の章は年度が変わる為、少しの期間を空けさせていただきます。具体的な投稿日が決まりましたら、活動報告で投稿します。ここから白峰を失った鎮妖連と九条はどうなっていくのでしょうか?




