第拾肆話 断ち切り再来
「一応、能力はある程度解放できているようだな。そうだ、説明しろ。何で本体の判別方法が分かった?」
俺が答えようとしたら、影狼が何かを見つめて吠え出した。
「説明は後だ。まだ戦えるな」
そう天城さんが言った瞬間、空間が切れるような感覚がした。
「こいつは、断ち切り?だったらまずい」
そう言って、天城さんは俺の前に立って、
『妖術発動!弐拾参の型影転生』
天城さんの体から血が出たと同時に、天城さんが影と入れ替わった。
「またか。なぜ君は、私の斬撃を受けても死なない?」
不気味で暗い声で、妖怪が言った。
「先に、あっちの弱そうなのから殺すか」
妖怪はそう言って、俺の方を向いた。
どうする?どうする?
あれがもし断ち切りなら、多分今の俺じゃ倒せない。
でも、天城さんの助けも期待できない。
だったら、自分で何とかする。
『妖術発動!弐拾の型変替』
まずい、どうする。
九条じゃ、あんなの喰らったらおしまいだ。
でも、影転生は一戦につき一回しか使えない。
「終わりだ」
そう妖怪が言って、高速で俺の方に近づいてきた。
ここで、俺の意識が消えた。
「九条くん、九条くん、大丈夫?」
俺は目が覚めた。
「霧島さん?」
「あぁ、よかった」
霧島さんは泣いていた。
「天城さんは」
そう聞くと、
「天城は、、、生きてはいるけど、かなり重症で、結構危ない状態」
まだ霧島さんは泣いていた。
「何があったんですか?」
そう聞くと、
「昨日、九条くんと天城が分裂鬼を封印した後、断ち切りが現れて」
「で、師匠が突然、私たちも現場に行くって言うから、行ったら」
「天城が全身傷だらけで血を流して倒れてるし」
「九条くんは気を失ってるし」
「断ち切りがいるし」
霧島さんは泣いていて、呂律が回っていなかった。
「断ち切りは、どうなったんですか?」
そう聞くと、
「私と師匠がついたら」
「四対一は不利だな。殺すのは今度にしよう」
「そう言って、消えたの」
「そうですか。俺の怪我って、どんな感じですか?」
そう聞くと、
「九条くんは、怪我はしてないよ」
そう言われて、俺は、
「よかった。術がちゃんと機能したんだ」
「攻撃を受ける前に、変替を使っておいたんです」
そう言った。
「だから、九条くんは無事だったんだ」
涙を拭きながら言った。
「これって、起き上がっても大丈夫ですか?」
俺が霧島さんに聞くと、
「大丈夫だよ」
と、答えた。
扉が開く音がした。
「九条、話は聞かせてもらった」
師匠が入ってきた。
「何はともあれ、無事で良かった」
「二人に話があるから、私の部屋に来てくれ」
そう言って、俺の部屋を出て行った。
俺は起き上がって、霧島さんと師匠の部屋に向かった。
「二人とも来たか。そこに座れ」
俺たちは、言われるがまま座った。
「端的に話す」
「今現在、妖怪断ち切りによる民間人の被害は報告されていない」
「しかし、いつ民間人の被害が出るかは分からない」
「よって、鎮妖連に報告し、対応を問う」
「あと、九条、お前が『変』の能力者であり、能力を解放している事も」
そう言った瞬間、
「師匠、九条くんの事を言って大丈夫なんですか?」
「下手すれば、能力を封印されるんじゃ」
霧島さんがそう言うと、
「そこは問題ない」
「君たちは、なぜ『変』が封印されたのかは知らないだろう」
「教えてやる。ただし、あまり他の妖術師には話すな」
俺と霧島さんは、
「はい」
と、返事をした。
返事を聞いて頷いた後、
「では、話そう」
「『変』の能力は、九条も霧島も分かっているとは思うが」
「人間が、人間の体のまま妖怪になる能力だ」
「ただ、この能力の能力者は、極めて少ない」
「おそらく、今現在生きている人間の中で」
「『変』の能力者は、九条と、あとはいて数人だ」
「過去を見ても、能力者であったのは、数十人ぐらいだろう」
話してる途中で、霧島さんが、
「あれ、でも、封印される前は」
「『変』の能力を使う人は、結構いたと聞いたことがあるんですけど」
と、言った。
「霧島の言う通りだ」
「封印される前は、かなりの数がいた」
「ただ、問題があった」
「能力者でない場合は、修行で身につけるのは分かっているな」
「実は、『変』の能力を身につける修行は過酷すぎて、死者が出たりした」
「これが、封印された一つ目の理由だ」
「二つ目の理由、それは」
「修行で『変』の能力を身につけた場合」
「その身につけた者が、妖怪になってしまう事があることが分かったんだ」
「だから、封印する事を鎮妖連が決定した」
「ただ、封印するのは、修行による習得なんだ」
「つまり、能力者の九条は問題ない」
俺は、人間が妖怪になるという事に驚いて、何も言えなかった。
「能力者は、妖怪にならないんですか?」
霧島さんがそう聞いた。
「あぁ」
「ただ、能力者と、修行で習得したものに、何の違いがあるかは分からない」
「とりあえず、九条が妖怪になる事はない」
そう言われて、ひとまず俺は、ほっとした。
「霧島、九条のことを話すことを、納得してくれたか?」
そう聞くと、
「はい」
そう答えた。
「では、報告する」
「おそらく、具体的な対策を打つために」
「我々にも、呼び出しがかかるだろう」
第拾肆話完
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