第壱話 隠された能力
今でも信じられない。この世にあんな生き物がいるなんて。これは昨日の中学校の卒業式の後、友達と遊びに行った帰りに起こった。俺と友達は近所に住んでいて一緒に帰っていた。その帰り道突然路地裏から動物のようなものが出てきたと思ったら瞬きする間もなく、友達は隣で倒れていて手と足から血を流していた。俺は状況を理解できなかった。冷静になって前を見ると目の前には細身の人間みたいな何かがいた。でも、そいつの腕は錆びた鎌のようだった。そしてまた瞬きをすると俺の目の前に人がいて俺を守るように立っていた。その人は男で俺と同じくらいの年齢で着物を着ていた。でも俺の記憶はここまでしかない。
目が覚めた。ここはどこだ?天井は白くベッドの上だと思う。右を見たら襲われた友達も寝ている。その時、誰か部屋に入ってきた。「目が覚めたんですね。良かった」と、高校生ぐらいの女性が言った。俺はその人にここはどこかと聞いた。「ここは病院です」と、女の人は言った。俺はその人に昨日起こった事を説明した。でもその人は「多分それは夢ですね」と、言った。俺はじゃあ何があったんだとその人に聞いたがその人は何も答えなかった。その後俺は退院した。友達も一週間後には退院した。
二人が退院したあとの病院
「天城、あなたが助けた中学生くらいの二人、無事退院してったよ」
「そうか、よかった」
「あ、そういえば怪我をしてなかった方の子がなんか記憶が残ってるみたいだったけど」
「嘘つけ、そんなはずない、というかなんでそんな事が分かる?」
「その子が話してきたのよ」
「ちょっとまて、話してきたって何を?」
「細身の人間で腕が錆びた鎌のような人がいた事、天城が助けてくれた事」
「何かおかしいな、そいつは今どこにいる」
「言ったでしょ退院したって」
「名前は?」
「確か九条玄真だった気がするけど」
「なるほど、霧島ちょっと出てくる」
友達が退院したあと俺は友達を俺の家に呼んだ。俺は友達にあの話をした。でも友達は何言ってんのって感じで全く信じてくれなかった。そして友達が帰ったあと高校生くらいの男が俺の家を訪ねてきた。たまたま今日両親はいなかったから俺が玄関を少し開けて何の用ですかと、尋ねたらその男は「お前記憶があるのか?」と、少し空いた玄関に手をついて聞いてきた。俺は戸惑った。何のことか分からなかったからだ。そして、戸惑っていると「あぁ単刀直入に聞いても分からないか。すまない」と、頭を下げてきた。そして「ちょっと話がしたいから、上がってもいいか?」と、聞いてきたのでリビングに通した。リビングに入ると男は「俺は天城というものだ、君は九条玄真であってるかな?」俺は頷いた。それを聞いたら天城という男は俺にあの話をするように頼んできたので俺は話した。話をしている途中天城から突然凄まじい覇気が出てるように感じた。そして、彼は俺に「ついてこい」と、言いながらソファーから立ち玄関から出て行った。俺は怪しいと思ったが天城についていくことにした。
ついていくと古いお屋敷みたいな所に着いた。その屋敷に彼は入って行ったので俺も入った。「天城おかえり」そこには病院にいた高校生ぐらいの女性がいた。「あれ、連れてきちゃったの?」と、天城に聞くと天城は「あぁ、こいつは何かおかしい。だから連れてきた」そう言った。そうすると病院にいた女性は「まぁ確かにね。記憶を消す術を使っても記憶が残ってるとは」と、言って「で、天城どうすんの?」天城は少し悩んで「師匠に事情話して何とかする、師匠は?」「師匠なら奥の部屋にいるよ」「あぁありがとう」俺は一人ポカンとしていた。何言ってんだ、記憶をけす?何だ記憶を消すって、だから友達の伊吹は記憶がなかったのか?その時、肩を叩かれた。叩いたのは天城だった。そしてまた「こっちにこい」と、歩き出した。そして障子を開けるとそこには人がいた。その人はこちらを向いて畳の上で正座をしていて左には刀が置いてあった。「失礼します、師匠お話があって参りました」と、天城は師匠と呼ばれている人に頭を下げた。「天城、一般人を連れてくるなと、言っているだろ」と、低い声で天城に問い詰めた。「しかし、こいつは記憶を消す術で記憶が消えていないのです」天城が師匠と呼ばれている人に言った途端、師匠と呼ばれている人は刀を抜いて天城の首につきつけ「お前は弟子の中で一番優秀だと思っていたのに、しくじるとは」と、言い、俺に「君は何の記憶がある?」と、尋ねこっちを見てきた。俺はあの話をした。「そうか、では改めて記憶を消す」と、言った途端犬が雷が鳴ったような声で吠えた。そして、病院にいた女性が部屋に入ってきて「師匠、天城、妖怪が出た」と、言ってきた。天城は「霧島、場所は?」霧島は「駅の近くの商店街の路地裏、多分天城がこないだ逃した妖怪」師匠は「天城、貴様記憶を消すのをミスった上、妖怪までも逃がしていたのか、ありえん」天城は「いや、封印の札貼るぐらいまで追い詰めたんです。でも人型の別の妖怪が来て、そいつも封印しようとしたが、一瞬で攻撃を仕掛けてきて、影転生使って無理矢理致命傷は避けたが、妖怪には逃げられた」師匠は「どんな妖怪だ」と、尋ね、天城は「そこにいるだけで空気が切れるような感覚を与えられて、視認できたと同時に、切られそうだったから影転生でなんとかした」師匠は「そいつはおそらく妖怪『断ち切り』だ、だったらまずい、天城、ともに出るぞ、霧島、その子を頼む」天城と霧島は「御意」と、言って、天城と師匠と呼ばれる人は屋敷を出て行ってしまった。俺は本当によく分かんなくて霧島と呼ばれている女性になにが起こっているか聞いた。霧島は話すべきか、話さないべきか悩んでいるようだった。「ま、話してもいいかぁどうせ知ったところで、天城か師匠が、帰ってきたら記憶を消すだろうし。今から話すことは多分驚くと思うけど落ち着いてきいてね」と、俺に微笑みかけてきて続けた「まず私たちは妖術師なので一週間ぐらい前君と君の友達を襲ったのは妖怪なの、で、私たちはここらへんを拠点にしていて、あの日もさっきと同じく雷牙犬が吠えたから天城が妖怪の封印に向かったの、まぁ戦闘中何があったか分からないけど天城は、手足に若干傷を負ってかえってきて怪我人がいるから来てくれって私を呼んだの、で現場に行ってあなたとあなたの友達の治療をして病院に連れて行った。で、連れて行った後天城が君と君の友達に記憶を消す術を使ったんだけど、君の記憶が残っているからここに連れてこられた、これが一連の流れかな。さっき師匠が天城に怒ってたのは師匠の弟子の中で天城が一番強くて優秀だからしくじったのが信じられなかったんだろうね。で、何か他に聞きたいことはある?」と、俺の方を見た。俺は妖怪とは何なのか、そして記憶を消す理由は何なのか尋ねた。すると「やっぱそこは気になるよね、教えてあげる。まず妖怪はどのような存在かは私たちも全部分かってるわけじゃないの、君も昔話みたいなどで妖怪が出てくる作品を見たことがあると思うんけど、現実にいるのはあんなんじゃない。現実にいるのは恐ろしくて直接危害を加えてきたり呪いをかけたりする恐ろしい存在なの。でも不思議なのは恐ろしい存在だけではないということ。妖怪にも友好的なものもいて例を挙げるとさっき吠えた雷牙犬も妖怪なの友好的な妖怪は妖術師の仲間になって妖怪討伐を助けてくれるの。これが私が教えてあげられる妖怪についての全て。次になぜ記憶を消すのかというと私たち妖術師は政府非公認のだからって理由と妖怪の存在をあんまり明るみに出したくないっていう理由がある。だから妖怪に遭遇した人や襲われた人、呪われた人などから記憶を消すの」俺はこの話をどこかで聞いたことがある気がした。だから俺が知っていることを話してみることにした。それは妖術に関すること妖術には十種類あってそれぞれに特徴があって各妖術には二十五の型があって『変』の妖術が一番強いということ。それを言うと霧島は「君なんでそんなに詳しく妖術について知ってんの?というかなんで封印された『変』の妖術を知ってるの?」と、俺に近づいてきた。俺は祖父から小さい頃聞いた話だと説明した。そうすると霧島は「君、やっぱなんかおかしいちょっとこの札を持ってみて」と、俺に札を渡してきた。俺は札を握った。そうすると札が光って札に『変』という文字が浮き出てきた。その瞬間霧島は目を疑っているようだった。その時天城と師匠と呼ばれている人が帰ってきた。その二人も札を見ると驚愕していた。そして師匠と呼ばれている人が「お前『変』の能力者か?」と尋ねてきた。
第壱話完




