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第4話 神々の悪戯

 玄関にたどり着いた時には、息を切らした状態で四つん這いのアイナと、アイナの背中をさする金髪のユーリがいた。



 ユーリとは、アイナの幼馴染でもあり、攻略対象の恋人候補のユーリ・キャンベル。金色の長い髪、エメラルドの瞳。白い肌。制服からもわからない、アイナより遥かに小さい胸。キャンベル家の公爵令嬢で、アイナとは幼少の頃から一緒にいる。関係も非常に良好で、気心が知れた仲でもある。戦闘パートでも優秀で前衛のアイナをサポートするための補助魔法を多数、保有している。最初から完璧なキャラで人気投票も二位に君臨している人気ぶり。



 ユーリは私の存在を察知し、視線を送る。


「ねぇ、バロン。アイナ、何かあった?」



「申し訳ありません、ユーリ様。実は......」



「”様”は禁止と言いましたよね」



「......しかし、公爵令嬢でもあるユーリ様を敬称なしで呼ぶと私が旦那様とディハウザー・キャンベル様に怒られます」



「ここに、お父様はいません。今はいいですが、学園ではやめてよ」



「善処します」



「で、わたしの質問の答えは」



「それが......」



 私が口を開いた瞬間にアイナが手のひらを見せた。”待った”のハンドサイン。


「ストップ。言わないで、バロン。恥ずかしいから」



 アイナの言葉に謎の納得を見せるユーリ。


「あー......もしかして、アイナの呪いでも発動した?」



「あっ、いえ」



 妙なテンションになるアイナ。


「そうなのよ、また発動しちゃって。えへへ」



「最近、抑えが効かないと言っていたけど。ねぇ、本当に学園へ行くの? こんなこと言うのは失礼になるけど、部屋に閉じ籠るって選択肢もあるんだよ。だから......」


「それでも、行くわ!!」



 心配顔になるユーリ。


「でも......」


「ユーリ、私は自分にかかっている呪いを解くために学園に行くの、天命ってやつ!!」


「全く、わかったわ。もう言わない。学園生活を楽しもう!!」


 主人公と二十一人のメインヒロインの内の一人とガールズトークに花を咲かせている傍ら、私は考え込む。




『天命』か。あながち間違えではない。私がアイナから貰った『恋人への道標(ラブ・カウンター)』。実は『恋人への道標(ラブ・カウンター)』を授けた善神には敵対する悪神がいる。



 彼らは、ある遊戯をしていた。どちらかが勝てばこの星を自由にできるゲームを。何万年も勝負をしても勝敗がつかない戦いをして、最後に残った案が一人の人間を使ってゲームをする。

 内容は、神たちが選んだ一人の人間に三年間の猶予を与える。善神は、選んだ人間が多くの女性と恋人になり、悪神から世界を救うルート。悪神は、選んだ人間が多くの女性と破局になり、善神と世界を破滅させるルート。




 で、選ばれた人間というのが私の推しでもあるアイナール・ブルゲリアン。二人の神はアイナにそれぞれ、力を授けた。善神は『恋人への道標ラブ・カウンター』。悪神は『蠱惑の天性(ハイチャーム)』。


 最後に神様達は『かけがえのない三年間を送るように』っとアイナに伝え、今日こんにちに至るまで登場していない。





 これはゲームと同じ展開。高校三年生の三学期まで真の姿は登場しない。道中はさまざまなイベントが終了した後、夜に寝ると、夢の中で経過報告をしてくれる神様達。自分の選んだルートを進んでいるなら褒美の力を入手できる。




恋人への道標(ラブ・カウンター)』はいいとして、アイナが百合ゲーの主人公の宿命を背負うのは全て、悪神から授けられた『蠱惑の天性(ハイチャーム)』原因だ。

 通常の効果は女性を見ることで、魔法かスキルを使える。それだけで、女性キャラが持つ魔法かスキルを使用できる、ストック機能付きで。



 なんてお手軽な発動条件だと思っただろう。




 しかし、『蠱惑の天性(ハイチャーム)』はその後が怖い。毎日、女性に触れないと、体に刻み込まれた『蠱惑の天性(ハイチャーム)』のデメリット効果が発動。女性に触れない期間が長いと最終的には、《《目にした女性を殺す戦闘マシーン》》になる超弩級の超展開バッドエンドに向かう。



 主人公のアイナは『蠱惑の天性(ハイチャーム)』の呪いを抑えるためにヒロインと関係を進めないといけない。『蠱惑の天性(ハイチャーム)』はタチが悪いことに日を追うごとに強制力が強まり、一人、また一人と女性を関係を結ばないと体の疼きが治らない。

 ゲーム時代は毎日、それこそ十分に一回は学園の女性と手を繋いだり、抱き合ったり、キスしたり、保健室で一緒に寝たりして呪いの効力を鎮めていた。





 私は時間を確認する。


「お嬢様、お時間が......」



 アイナは私たちの前に手を差し出した。


「あっ!? ユーリ、バロン行こう」


 私は隣にいるユーリを見た。『付き合いましょう』の目だった。


 二人はアイナの手を握る。









 ウキウキのアイナ。引っ張られる私とユーリ。


「あの、ユーリ様」


「結構、恥ずかしいわね」


 元気いっぱいで明るく新しい生活に心を踊らす闇色の髪の少女。対照的に、両隣にいる同じ制服を着た銀髪と金髪の同性は高校生にもなって幼稚園の園児のように手を繋ぎながら歩いている羞恥に耐えられずにいる。


 幸いなのが、歩いているのが学園に続く桜並木。



 落ちる桜に赤い頬が隠れている。

次話、明日18時頃、投稿させて頂きます。

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