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第3話 快感を得た推し

 無意識なのか私の髪を触りながら喋っているアイナ。


「バロンにとっても、喜ばしいことでしょう?」


 私たちは着替えを終え、ユーリが待つ玄関へ足を進めた。


 私は自分の体を心配してくれるアイナに申し訳ない表情を出す。


「代用の血でも良かったんですが」


「ダメよ、バロンが吸っていい血は《《私のだけ》》なんだから」


 頬を膨らませるアイナ。うん、可愛い。

 嬉しい反面、独占欲が強くて後々《のちのち》が心配になる。




 転生先が正体不明のメイドの時は正直、不安でしかなかった。しかし、意外にも《《バロン》》というキャラクターは優良物件だったりする。


 バロンの正体は、ハーフヴァンパイア。半分人間で、半分吸血鬼な存在。銀髪に紅目と定番の見た目。意外にも胸がある......


「ゲスいな......」


「何が?」


「いえ、こっちの話です」


 ハテナマークを頭上に出すアイナ。




 ハーフヴァンパイアのバロンはなかなかにエグい過去をもつ。


 アイナの父でもあるギンベリーデ・ブルゲリアンが娘の従者として相応しい者なのかと直々に調査した。結果は人間と純血の吸血鬼との間にできた子で、吸血鬼の国を逃げた亡命者。


 半年前に吸血鬼の国で大規模な大虐殺が行われた。対象は純血以外。バロンの親は大虐殺に巻き込まれ、死亡。辛くも生き残ったバロンは偶然、通りかかったアイナに拾われ、従者をなった。


 というのが私が転生したバロンという存在の過去だ。普通にアイナの攻略対象の候補でも良かったのに、どうして文章だけの情報で終わったのか。実に不思議だ。


 考えても仕方がない。なるようになれっと正体を聞かされた時に心に決めた。




 話を戻す。


 ハーフヴァンパイアということで、太陽の光を浴びても問題なく活動できる。あとは、定番の吸血衝動。吸血鬼といえば血を吸う種族。血を吸うことで延命できるが、普通の食事を接種しても問題なく活動できる。

 しかし、血を吸わない状態が長く続くとより好戦的になる。力も倍増し、やがて殺戮を楽しむ悪しき者へ本能まま行動する。二度と吸血鬼に戻れないケモノの吸血鬼、屍鬼(グール)へ堕ちる。



「絶対にバロンを屍鬼(グール)にはさせない」


 拳を上に突き出し、宣言するアイナ。


「ありがとうございます、お嬢様」


 眩しい、さすがは私の推し。その光を無くさないようにね!



「それにね......」


 頬が若干、赤く染まっているアイナ。


「血を吸われる感覚......癖になり......いえ、なんでもありません」


 早歩きで先に進んでいくアイナ。


「あっ、お嬢様......行ってしまった」




 推しを本編のシナリオが始まる前に傷物にしてしまった罪悪感は拭えない。


 だから、なんとしてもアイナを幸せにする。それが私の最優先事項。そのためなら、前世で培ったゲーム知識をフル活用する。


 アイナを追って、私も駆け出した。

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