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ARu世界に問うてみる。  作者: 遥彩 萌
第一章 プロローグと拡張世界
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第9話 同期との出会い

 指定ポイントに到着したとき、すでに中央ARMの輸送車が停まっていた。


 車体に描かれた中央ARMのエンブレムが、灰色に光って見える。


 黒と灰の制服を纏った五人の精鋭が、こちらに視線を向けた。


「……よう、ラクト先輩。」


 軽い声が耳に届く。


 東堂キンキ──中央ARM所属。

 研修時代、ラクトと同期だった男だ。


 茶髪、やや低めの身長。

 飄々とした性格で、シンギュラでは長い茶髪のストレートと

 黒銀のファンタジー調衣装を纏う。

 その軽薄そうな態度の裏に、実力と実績は折り紙付きだ。


「……同期だろ。」

 ラクトはぼそっと返す。


「えっ、先輩、中央ARMの人と同期なんですか!?」

 リナの目が一瞬大きくなる。


 彼女は小声で続けた。


「中央ARMって、東や西のARMとは段違いだって……。

 さすがですね、ラクト先輩……。」


(中央ARM──国家の心臓。

 地方エリアとは比較にならない権限と装備、

 そして、何より厳しい選抜を突破した精鋭たち。)


 リナの表情には、隠しきれない憧れが滲んでいた。


 後ろでシンは、普段の四角いトレンドマークの黒いサングラスが、AR区画内に足を踏み入れたことにより丸型サングラスのシンギュラ姿に変わっており、シンは小さく頷く。


 無言のまま、だが内心では状況を見極めている。




 キンキはニヤリと笑い、こちらに歩み寄った。


「いやぁ、こんな辺境の地でまさか同期のエースと共に任務に当たれるなんて嬉しいよ。

 中央の現場リーダーは、もちろん俺。よろしくな、東エリア。」


 キンキの背後では、他の中央ARM隊員が淡々と準備を進めていた。


(……やはり、ただの調査じゃない。)


 ラクトの胸の奥に、冷たい違和感が広がっていく。


 中央ARMの精鋭たちと、それを見上げる東ARMの自分たち。

 その立場の差を、改めて意識させられる瞬間だった。


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