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限界突破

ナタリアに小言を言われながら最低限の手当てを受けた。

今日の講義は魔法について


正直ここが1番重要やな。魔法で出来ることが元の世界に帰る可能性に直結するからな。


「あれ?勇者様ボロボロじゃない」

コツコツとヒールを鳴らして講義室に入ってきたのは

魔女らしい大きな帽子を被り、ゆったりとした濃い紫色のローブを纏った女性は魔法講師フィルミーヌ・デュ・ルノーだった。


「無理矢理召喚されたにも関わらず従順に従ってるお人好しかと思ったのに、意外とヤンチャなのね」


お人好しやと?

...いや、そう見えてるんやったらこっちの思惑通りってだけや。


「早く元の世界に帰るために努力しているだけですよ。」


「そういう優等生な言葉は好きじゃないんだけど?」

目の前の机に腰掛け挑発的に顔を近づけてくる


なんかめっちゃいい匂いする。


ドクン!


「貴女に好かれる必要はありません。講義さえしていただければ、それで十分です。」


なんや、胸の中を無理矢理掻き回されてる感じがする。


「へぇー。この私を前にしてそんな事言っちゃうんだー?」

首元のローブの留め具をパチンと外す

濃い紫のローブは床に落ち、中から極端に露出が多いわけではないが、妙に艶めかしい服を纏った。

まるで芸術作品の様に美を体現したような身体が露わになる。


ていうかこの世界美人多すぎひんか?異世界物のお約束的なやつか?

心なしかエフェクトがかかって見える気がするねんけど!


ドクン!  ドクン!!


胸が苦しい。なんやこの違和感。。

一目惚れの時の似てるけど、なんか、強制されてるような?

よく出来た豆腐ハンバーグを食べた時のどこか満たされない感みたいな。


まさか!ステータスオープン!


名前:白銀 上総 76.4

年齢18

クラス:勇者

Lv.6

HP:25

MP:12

ATK:55

DEF:55

RES:25

スキル:ナイフ術Lv.3-1/3 精神攻撃耐性Lv.2-1/2 回復魔法Lv.2 剣術Lv.2 礼儀作法Lv.2

痛覚耐性Lv.1 呪い耐性Lv.1

ギフト:生物のステータスに干渉し、奪い与えることが出来る


あれ?状態異常はついてないか。魅惑みたいな状態異常かと思ったんやけどな。

って!精神攻撃耐性めちゃくちゃ上がってるやんけ!

やっぱこいつなんかしてるわ!!


気づいた瞬間に、無理矢理鳴らされていた心臓が理性を取り戻していくのを感じた。


十分近づいて来てるうちに干渉する!


名前: フィルミーヌ・デュ・ルノー 41.1

年齢28

クラス:大魔術師

Lv.117

HP:768

MP:6827/7674

ATK:680

DEF:236

RES:65

スキル:水属性魔術Lv.5 火属性魔術Lv.4 風属性魔術Lv.4 土属性魔術Lv.4 雷属性魔術Lv.3 変身魔法Lv.10【MAX】幻惑魔法Lv.8 MP急速回復Lv.8 痛覚耐性Lv.7 状態異常耐性Lv.5 HP回復速度上昇Lv.5 料理Lv.5 狩猟採取Lv.4 精神攻撃耐性Lv.4 回復魔法Lv.3 生活魔法Lv.2 魔視Lv.1 礼儀作法Lv.1 ...


ヤバすぎ。スキルが見きれんくらいある。

幻惑魔法、これを仕掛けとったんか。


「うそ!まさか完全にレジストされるなんて。」

突如フェルミーヌの耳が短くなり、体中に無数の古傷が浮かび上がった。


「!?そんな!」

フェルミーヌは急いでローブを纏い、帽子を深く被る。


その場で数秒の沈黙が訪れる。

双方自身の状態と状況整理を要していた。


一方は、精神攻撃の異常が残っていないかを確認した。

一方は、自身の身に現れた忌むべき過去と生きる目的を再確認した。


「ふぅ...いきなりごめんなさいね。」

帽子の鍔を持ち上げ、困った様に笑いながら謝罪した。

その顔は絶世とは言わないまでも、とても整ったエルフだった。


「お気になさらず。精神攻撃耐性のレベル上げが出来たので訓練に取り入れてもいいかもしれませんね」


爽やかに対応して見せるとフェルミーヌは面白くなさそうに口を曲げた。


「じゃあ、次の講義から耐性をつけるために幻惑をかけながらしましょ。」


フェルミーヌはニッコリと笑顔を向けて両手を差し出してきた。


「?。。はい、よろしくお願いします」

特別警戒もせず、不意にその手を握ってしまった。

フェルミーヌは一切表情を崩すことなく力強く握り返してきた。

握り返すと言うより拘束してきた。

不吉な予感に背筋が凍る。しかし、もう遅かった。


体格では圧倒的に勝ってるのに、振り解かれへん!

これがステータス差の暴力ってやつか!


「今日の講義は師匠直伝の器合わせをしまーす!」


「ルノー先生?う、器合わせとは一体...」

「私のことはフェルミーヌと呼びなさい」

笑顔が一瞬にして曇り、手を握る力が強くなる。


い、痛てぇ。なんでこの世界の貴族はファミリーネームで呼ばれるの嫌がるねん‼︎


「分かりました!フェルミーヌ先生!」

「それでいいの。器合わせは魔力が多い人から少ない人へ流し込むことで上限を増やすことよ」


それは願ってもない。MPの上限が上がれば使える魔法も増えるやろうしな。


「普通は2人の間を循環させて少しずつ拡張していくんだけど。あなた生意気だから師匠のやり方でいくわね♡」


フェルミーヌの右手から何か伝わってくるのを感じる。

それは腕から胸へ徐々に流れ、下腹部に流れていった。

下腹部から全身に分岐していく、頭の先から足の先までフェルミーヌから送り込まれた魔力で満たされていく。


これは、気持ちいいな。


下腹部を中心に全身を巡り右手からフェルミーヌの左手に送り出される。

魔力の通り道、魔力回路が上総の身体に作り上げられる。

それを確認するとフェルミーヌは小さく唇を舐めた。


「いくわよ!」

心地よい魔力の循環が止まり、次の瞬間両手から膨大な量の魔力が濁流のように流し込まれる


!! 痛ってぇ!!


出来たばかりの魔力回路に無理矢理膨大な量の魔力を流し込まれる。

身体中がひび割れる様な激痛が走った。

下腹部にどんどん魔力を溜め込まれていく感覚が苦しい。

胃の中でメントスコーラをやらされているような苦しさだ。


「締めちゃだめよ?力を抜いて受け入れなさい」


無茶言うな!力抜いたら身体裂けてまいそうや!


体内の魔力の圧力がどんどん上がっていくのを感じる。

四肢はもちろん心臓や眼球、脳に至るまで高圧の魔力に犯されていく。


やばい!少しでも圧逃さな爆散して死ぬ!


「ふぅーーっ!ふぅーーーっ!!」


目を瞑り、少しずつ全身の力を抜き、注ぎ込まれた膨大な魔力のコントロールに集中する

身体中に太い血管の様に魔力回路が広がっているのを感じる。しかし、圧力でところどころひび割れ、破裂しそうになっている。


血管の様になってるんやったら毛細血管みたいにさらに細く長く広げるしかない!


魔力回路の圧力も助けになり、簡単に毛細血管のような魔力回路を開通させていく。

なんとか魔力圧力の分散させることに成功した。


同時にフェルミーヌも魔力のほぼ全てを注ぎ切ったようで魔力の送り込みが止まった。

目を開けると、フェルミーヌの身体の周りに薄っすらと光の幕が張られているのが見える。


「ホント生意気ね。まだ上限に余裕があるなんて。」

息も絶え絶えになりながらフェルミーヌが恨めしそうに睨む


ステータスオープン


名前:白銀 上総 76.4

年齢18

クラス:勇者

Lv.6

HP:25

MP:5839

ATK:55

DEF:55

RES:25

スキル:ナイフ術Lv.3-1/3 魔力操作Lv.3 精神攻撃耐性Lv.2-1/2 回復魔法Lv.2 剣術Lv.2 礼儀作法Lv.2 痛覚耐性Lv.2 呪い耐性Lv.1

ギフト:生物のステータスに干渉し、奪い与えることが出来る


すごい。力が漲る。

力が体を廻る感覚がとても心地いい。


新たな力に酔いしれていると、フェルミーヌが握る手に再び力が入る。

「貸したものは、、、ちゃんと返してもらうわよ。」

無理やり流し込まれた大量の魔力が、今度は急速に吸い出されていく。


!?抵抗できひん!吸い尽くされる!


「無駄よ、魔力操作で私に敵うはずないじゃない」

魔力を吸い尽くしたフェルミーヌは手を放す。体に力が入らない上総は椅子から転げ落ち、床に大の字に倒れてしまった。


「取り立て完了ね。次の講義からは器合わせから始めましょう」

フェルミーヌは手をヒラヒラと振りながら扉の方に歩いていく。


「ふぇ、フェルミーヌ先生...倦怠感がヤバいんですが?」

「ただの魔力切れよ。休んでいれば回復するわ。何だか身体の調子がいいわ♪」

そう言い残すと意気揚々と教室から去ってしまった。


まじか。身体ダルすぎて動けん。

MP12/6839上限の伸びがエグいな。...代償がデカいけど。

回復速度は...1分で1⁉︎全快するのに4日以上...ほぼ5日かかるやんけ!

だいたいどこまで回復すれば動けるんかも分からんのにこんなところで寝てられへん。


何か回復の手段はないんか?確か、瞑想してMP回復を早めるキャラクターがあったはず。

...どのみち動かれへんし、試してみるか。


とてつもない倦怠感に耐えながら胡座を組んで瞑想の姿勢を作る。

ステータスは表示しているが、瞑想に集中する。


...30分くらい経ったか?だとしたら回復量は30くらいのはず。

MP57/6839 45も回復してるなぁ。ちょうど予想の1.5倍か。


スキルには瞑想Lv.1が追加されていた。


瞑想にはホンマにMP回復促進の効果があるんか。ならスキル上げはマストやな。


そこから上総は瞑想を再開することで、MP回復速度上昇と瞑想Lv.2を獲得し、活動出来る最低ラインである1割を2時間半で達成した。


「やっと動ける。回復魔法の使い方は次の機会か。」

いまだ癒えきらぬ倦怠感を抱えながら上総は教室を後にする。


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