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第六話 許可出たよ!問題を起こすな?すみませんパパ上、それは保証いたしかねます。

 レイが産まれて数ヶ月


 「きゃっきゃっ」


 まだちゃんと赤ちゃんだ。


 パパ上は『レイちゃんは安心できる良い子でちゅね〜!』ママンは『カーネル以来のこの安心感よ〜!』クリス母様は『レイは可愛いでちゅね〜』カーネルのアニキは『カインとヨシュアほど成長は早くないんだね〜。』等、反応は様々だった。 え?基本的に俺とヨシュアが異端視されてるって?んなもん転生してるんだから仕方ねーだろ!


 まあパパ上やママンやヨシュアやカーネルのアニキがレイを抱きかかえるとレイは泣き喚くからな!ざまぁ!クリス母様はまあ母親になるから抱きかかえても安心してすやすやしてるけどな。


 え?俺?なんでかは知らないけど俺が抱きかかえると常時笑顔だな。なんならめちゃめちゃ額を擦り付けてくる。ちょ、ちょっと待て!そこ顎!顎だからぁ!!




 そしてついに!


 「パッパ上〜。」


 「む!?はぁ・・・カインか、その礼節の無さはもうどうしようもなさそうだな・・・」


 うるせえ誰が地元の悪餓鬼だ。 え?言ってない?


 「粗相を失礼致しました父上。ところで、私とヨシュアは来月に三つの歳を迎えます。貴族は三つの歳に街の人々にお披露目があると聞き及んでおります。つきましては、街の雰囲気に慣れるためにお忍びで市街の視察に赴きたいのですが・・・」


 「・・・どうせもう止めても行くんだろう。」


 「それは未来のこと故、私には判断できかねますね。」


 「・・・ええいもういい!勝手に行かれて後から怒らねばならんほうが面倒だ!門限を守るなら街の中へ行ってきてよし!早く行ってきなさい!!」


 パパ上はほぼ投げやりに俺とヨシュアに外出命令を出した。おい、それで良いのかパパ上、既に父の威厳がまるで0だぞ。



 「てなわけでヨシュアー!外行こーぜー!」


 「カインにしては珍しく馬鹿みたいなテンションの高さだな。前世でカラオケ行く日みたいなテンションだぞ。」


 「・・・そりゃこの世界で初めて外に出れるからな。楽しみなところがないわけではない。」


 「・・・まあいいや、テンション高い時のカインの反応は前世から大好きなんだよ。わかったよ。後スクワット15回とかけ湯だけするから待って。」


 「魔法教本読んで待ってるから余裕で待っててやるよ。」


 「まだ読んでたのかよ、今それどの辺なの?」


 「ん?上級応用編。」


 「嘘ッ!もうそんなに読んでんの!?」


 「まあな〜、これより後のは家にはないから違うジャンルでも読むよ。」


 「例えば?」


 「彫刻とか彫金とか読もうかなと。」


 「よく飽きないねぇ。」


 そう言ってヨシュアはこの短期間で集中工事で作られた館の風呂場に汗を流しに行った。お前毎日筋トレしてるけど、俺と同じもうすぐ三歳児の身体だからな?伸びなくても知らんぞ?


 まあ彫刻も彫金も出来たら楽しそうだしな。楽しくモノ作りできそう。


 前世でもアクセサリーとか一回ドハマりして作りまくってたもんなぁ。


 魔法教本とママンの講義で覚えた魔法は火・水・風・土の基本属性って言われてるやつと聖属性ってやつと、属性分類されていない魔法のほんの一部。


 ちなみに変化魔法はありませんでした。くっ・・・。


 ただ収穫はある!土魔法だ!模型制作にうってつけなのだ!


 ・・・実は彫刻や彫金を覚えたいと思ったのも細かいディテールを彫るためだったりする。


 そんなにのめり込んでなんの模型を作るのかって?


 ・・・取り敢えず趣味としてグ〇カ〇〇ムでも作ろうかなと。 あー、完成したらヨシュアが発狂するんだろうなぁ・・・。


 「上がったぞ〜。」


 お、そろそろ時間か。




 「てなわけで外出できてるけどさ、誰も護衛しないって中々ないんじゃない?」


 「カーネル兄さんの時はあったらしいしな。まああれだろ。俺らの護衛なんぞ身がもたないんだろ。」


 「まあ、そうかもしれんけどさぁ。」


 「だって俺の護衛をヨシュアがするって考えてみ。」


 「身が持たん。死ぬ。」


 「それが対象が二人だぞ?誰も来ないだろうなぁ。」


 「いやいや!そりゃカインはあれだけど俺は違うじゃん!」


 「多分傍目はそんな変わんないぞ。」


 「嘘ぉ!?」


 いつも通りのくだらない会話を繰り広げながら持たせてもらった袋と中に入った銀貨と銅貨、まあ楽しんでこいってことだろう。あの人たちはちゃんと親してるよ。俺たちは触らなくても育つことに気付いたんだろ。寧ろ触ったら身が持たないまで言われそうだけど。


 「なんか良い匂いしない?」


 「確かにそうだな。肉の匂いだ。」


 俺とヨシュアは肉の匂いにつられて歩き出す。


 「寄ってらっしゃ〜い!南国の方では有名なミートブルの肉塊一本焼きだよ〜!料金に応じて切り分けるから量も安心!一本どうだい?」


 「なあ、カイン、あれって。」


 「ああ、ケバブだな。肉塊一本焼きって言ってるけど、前世で言うケバブだな。」


 「食う?」


 「うーん、食いたいけど、こんな路肩にしては客足もそれなりにいるし、もうちょっと散策してからでも良いかもな。」


 「そうだな。時間的にもまだ早いし、あの量だったらなくなるとは思えないし。」


 俺たちは散策を再開した。どんな野菜が売ってるか、この街の基本的な物価やその相場、どんな料理が根付いてて、どんな服を着てて、どんな店があるか等、内容を聞くだけならまともに視察してるじゃん?って思うでしょ?


 ・・・だってこれ父上に報告する用に頭の中で整理してる内容だしね。そりゃ多少は精査するさ。


 尚実情

 『キャベツっぽいのと白菜っぽいのとなんだあれ?キノコみたいだけど』『このキノコなんかゴツくないか・・・?えっと、ナイトドリーム?』『ヨシュア、見なかったことにしよう。あれはきっと人類にとって必要なキノコだ。』『え?あ?うん。あれなんなんだろうな?』『多分媚薬の類だな。』『ファッ!?』『名前に夜とか夢とか王とかついてるやつは大体怪しいんだよ!!』『バイ〇グラは?』『あれはモロ。』


 ・・・どこの思春期の男子中学生の会話なんだか。


 こんなこと三歳児なりかけの二人組が話してることなんて、あの人にどう報告するんだ、てか報告する意味ないじゃん!ってなったから俺は書かない!文字は書けるけどアレは書かない!マスはまだかけない!


 「ここは商業街を抜けて、農業地帯かな。」


 「はえ〜。すごいなぁ〜。」


 「ほんとに。農業なんてまんま肉体労働だからね。凄まじいよ異世界。」


 「おい!お前の髪の色変なんだよ!!」


 ん?


 「カイン、なんか聞こえね?」


 「あー、やっぱり?・・・凄く愉快な声だね。」


 「・・・お父様に何か言われても弁解してやる。今は背景になっとくから。早く行ってこい。」


 「ん?ありがとうね。ヨシュア。」


 俺はすぐに走り出す。


 「・・・お前のその笑顔は、見てるこっちまで悲しくなるんだよ。 てか、未だに俺はあいつの笑顔で足が竦むのかよ。」




 「どうも、こんにちは。」


 内心凄くイライラしているが、怒った顔はしたくないので顔に能面のように笑顔を貼り付ける。


 「君たちは揃って、何をしているのかな〜?」


 まあそんな笑顔を貼り付けてる身体はまだ二歳児だから違和感が突き抜けてると思うけど。


 「あぁ?こいつの髪の色が違うから石投げてんだよ。お前もやるか?」


 視線の先には今にも泣き出しそうな綺麗な白髪の女の子。


 ・・・そっかぁ。良いんだね。


 「うん!やるよ。混ぜてよ。僕も石投げる〜!」


 「おう!やろうぜ!って痛えじゃねえか!」


 「なんで痛いの?」


 「石投げるからだろうが!」


 「え?でも石投げてたんでしょ?僕も石投げる〜って言ったよね?」


 「投げるのはあっちだ!あっち!」


 「そんなの知らないよ。僕から見た君たちは、寄ってたかって一人の人間に石を投げてる人間達。ただそれだけだよ。」


 「っ、だからなんだよ!」


 「君は僕に石を投げられて痛かった?」


 「痛かったよ!」


 「じゃあみんなに石を投げられてるあの子は一体どんな気持ちなんだろうね?」


 「そんなのっ・・・そんなの知らねえよ!」


 「そっかぁ、それは残念だ。 知らないんだよね?じゃあ知るまで俺がお前らに石を投げてやる。血が出ても失明しても何があっても自己責任だ。いいんだな?」


 「お前っ!領主様に言いつけるぞ!!」


 「ふーん、ごめんな。残念ながら俺は領主様が産んだ問題児の次男なんだ。問題の顛末を知ってる俺が領主様にありのままを伝えたらお前だけじゃないお前の家族の未来は真っ暗になるだろうな。さて、どうする?」


 「ひっ・・・」


 「ほら、お前がその手で取った(手段)だろ?選べよ。これ以上罪を重ねて取り返しがつかなくなるか、今ここで引いて平和な世界にお帰りになるか!!」


 「ひっ、ひぃっ!!許してくれえええ!!!!」


 リーダー格の子どもが走って逃げると、周りの子どもも揃って逃げていった。


 大義名分で合法的に殴れなかった。残念だ。そのためにわざわざ語気を強めて煽ったのに・・・。


 はぁ〜。高ぶった血流が収まっていく〜。このスーッと引く感じなぁ。


 「あ、あの。」


 「ん?何?」


 「ありがとう、ございます。領主様!」


 「待って待って違うから!俺領主様と正妻の人から産まれた問題児だから!領主様じゃないから!?なんなら次男坊だからぁ!?」


 「えっ、と、でも、お貴族様で・・・。」


 あー、それはそう。


 「んー、あー!もうまどろっこしいのは無し!敬称不要!タメで良い!てかタメが良い!それでいい!はい決定!」


 「え、えと!?・・・ありがとうございます?」


 「かーっ!いらねえよ敬語!こんな貴族のダメ息子なんて敬うな!敬うだけ損だ!」


 「えっと、って、ええ!?それはダメだよ!!」


 この女の子、良い感じに振り回してる時の反応が楽しい。意地悪はしないけど面白おかしく振り回すのはありかもしれん。


 「そうだよ!それで良いんだよ!んで?名前は?」


 「えっと、私はアルエット。」


 あ、あ、ああ、アルエットですと!?後のプ〇リーさん!?一体何処までライ〇〇タルでロ〇〇〇ンなんだ!!


 「そ、そうか、俺はカイン、向こうにいる赤髪のはヨシュア、説明は省くが、一応弟だ。」


 「こんにちは!ヨシュアです〜!よろしく!」


 「えっと、よろしくお願いします。ってヨシュア様にももしかして敬語は・・・。」


 「慣れないうちはなんでもいいよ〜。」


 「こいつに敬語なんぞ要らん。」


 「ええっ!?ない方が絡みやすいけどカインが言うのはそれはそれでなんかなぁ!」


 「少なくとも俺は使ってない。」


 「それはっ!そうだけどぉ!!」


 「まあこんな感じでうるさくて暑苦しいやつと認識しとけば多分大丈夫だ。」


 「あ、あの、なんで庇ってくれたの?」


 「なにが?」


 「あの、私、髪の色、変らしい、から。」


 「んなもん言われてもなぁ・・・あいつら茶髪だけど俺は金髪だしこいつに関しては真っ赤だぞ真っ赤。注目せざるを得ないぐらい目立つぞ。」


 「おおい!?いや!カインほど目立ちたいとは思ってないからね?」


 「お?後で審議か?」


 「え、えと、」


 「まあそんなもんだ。髪の色がなんだよ。寧ろ良いじゃねえか、オールホワイトだろ? そんな色誰がどう見ても綺麗だよ。少なくとも俺は声を大にして言えるね。」


 「はわっ!え、えと・・・」


 「あ、そうだヨシュア。そろそろ戻らないとケバブなくなるぞ。」


 「いや、もう夕方も近そうだし、時間的にギリ閉まるんじゃね?」


 「くっ!こんなところでじっとなんてしていられない!おい、アルエット!家まで送ろうと思ったがそれは後だ!ちょっと着いてこい!俺たちのケバブが蛍の光を流し始めている!だから掴まれ!!」


 「え!?え!?あの!えと!?」


 「急げヨシュア!俺たちのケバブが消え去る前に!走り抜けぇ!!」


 「合点承知の助ぇ!カイン!俺はこの日のために筋トレをしていたと言っても過言ではないッ!!」


 「今回はお前の筋肉に敬意を示してやる!だから俺とアルエットをおぶって走れ!!」


 「くっ!良いぜ!俺の筋肉が悲鳴をあげて(よろこんで)いる!これは最っ高のトレーニングだぜ!!」




 そして・・・!


 「俺たちは・・・負けたッ。」


 「あぁっ!ケバブッ!ケバブがぁぁっ!肉がァァッ!!」


 営業は終了してい(俺たちは負け)た。


 「あ、あの。」


 「ん?ああ、アルエットか、すまなかったな、こんな所まで付き合わせちまって。家の方向教えてくれ。送るから。」


 「いや、ここ、お父さんの、お店。」


 「「ほぁ?」」





 「いや〜持つべきものは行動力のある友だねぇカイン!」


 「いや〜持つべきものは人助けの精神だなぁヨシュア!」


 俺たちはアルエットの家で肉塊一本焼き(ケバブ)をご馳走になっていた。


 「うちの娘を、ありがとう!カイン君、ヨシュア君!」


 「いえいえ、当然のことをしたまでです。」


 「本音は?」


 「女の子の顔に石投げるとかまじ許せなかったから。」


 「よっしゃ!ガチ久しぶりにカインの本音引き出してやったぜ!」


 「おまっ!はっ、図ったな!ヨシュア!」


 「坊やだからさ。」


 「俺もお前も?」


 「坊やだからさっ!」


 「特にお前が?」


 「坊やだからさっ!!っておぉい!!!」


 「はい言質カウンター。」


 「き、君たちすごいね、兄弟とは聞いてるけど、まだ小さいのにそんな熟練したやり取り・・・。」


 「ああ、慣れですよ慣れ。」


 +前世でもうすぐ11年の付き合いになります。ね!ヨシュアくん!ぐへへへへ、一生懸命いじり倒してやるからな。覚悟しろよ!


 「まあ、慣れですね、慣れ。うん。」


 あれ?ヨシュア、少し目が遠くないか?


 「あの、良いんですか、私、助けてもらった身なのに・・・なんならここ、私の家なのに・・・。」


 「あ?良いんだよ気にすんなって、アルエットの分の代金ももう払ってあるから取り敢えず食えよ。うまい飯はガツガツ行くのがうめえんだよ。」


 「そうだな、それが良い!」


 「悲しいことがあった後はうまい飯食って楽しいバカ話して、身体を労って爆睡するのが一番良いんだよ。」


 「うんうん!」


 「お前の全肯定気持ちわりいわ!」


 「なっ!失れっ、でも確かにぃ!」


 「ヨシュアのいじり成分は気持ち良すぎて接種しないと俺はもう生きていけない。」


 だってさぁ、昔からこいつと喋ってる時一番バカ笑いできるんだもんなぁ。


 「俺もカインがいないと飯も作れないし朝も寝坊するし、あー、うん、ほんとにカインがいねえと俺何もできない。」


 だから遠い目なんていらねえって。


 「大丈夫だ。いじり続ける許可さえあれば毎朝叩き起こしてやる。」


 「すまん、そんな許可は今どころか今後永遠に出すつもりはない。」


 「タイミングしくじったかぁ。」


 「っておぉい!言ったそばから!?」


 「ふふふっ」


 「わ、笑った・・・!」


 「今、笑ったね?」


 ダメだこりゃ、セルフオートで喋り方に煽り成分入ってる。修正修正。


 「あっごめんなさい!」


 「いや、良いんだよ。楽しい時は笑う。これは人生が楽しくなる魔法みたいなもんだから。笑ってられる時ってほら、頭空っぽで笑えるじゃん?」


 「頭?空っぽ?」


 あ、伝わってない。


 「とにかく頭空っぽの方が夢もいっぱい詰め込めるんだよ。」


 「おい伝わらなかったからって話逸らし」


 「言うな。」


 「あっはい。」


 「もうすぐ夕の七刻か、それでは門限があるのでここらで僕たちは失礼します。」


 「お邪魔しました〜。」


 「いやいや、こちらこそありがとう。また良ければいつでも来てくれ。その方がアルエットも喜ぶし。」


 「・・・うん。」


 「んじゃまぁ、次の月の始めぐらいに俺たちを見かけてもびっくりしないことをお勧めしとくわ。お邪魔しました〜。またなアルエット。」


 「うんっ!」



 そうして俺たちは館への帰路についた。


 「・・・お前まーたモテやがって。まじで今世でも背中に気をつけろよ。」


 「は?あんなんでモテたら苦労しないだろ。俺がモテるはずがねえだろうが。」


 「まーたそうやって。ちなみに今日キレた一番の原因、アルエットちゃんに石が投げられてたからでもムカついたからでもないの、俺はちゃんと知ってるからな。」


 「はぁ、やっぱお前には敵わねえや。どっちも半分ぐらいは合ってるんだけどな。」


 「どうせ前世の若白髪のあれでも思い出したんだろ。」


 「お前よく覚えてたなそんなこと。」


 「いや、まあ、お前のあんな顔見たら嫌でも思い出すって。」


 「そっか。まあ、それが一番強いかな。もちろんアルエットがいじめられてる状況にクソみたいにムカついたのもあったけどな。」


 「はぁ、なんでそうやってさも当たり前かの様に人助けできるんだよ。」


 「人助けたら俺の気分が良いから。以上。」


 「俺のことは?」


 「助けるところがあんまりない。」


 「あんまりって!?」


 「まあ、あんまりだ。」


 「あっ、うん。」


 「良いんだよ。俺は色んな人を助けるけど、俺を助けるのはいつだってお前だった。それは今後も変わらないだろ?」


 「まあ変わらないけどさ、なんでだろうなぁ、俺、お前の本音を聞く度に、お前の友達で良かったって心の底から思えるよ。」


 「そりゃ良かった。もう着くぞ。」


 「お、そうだな。」


 俺たちは門限ギリギリで帰宅した。



 「父上、報告書です。」


 「む?カイン、ヨシュア、戻ってきてたのか。街はどうだった?」


 「最高だったね。」

 「最高だったよ!」


 「・・・そうか。後で報告書も読ませてもらうよ。」


 パパ上は問題がなかったと思っているのかすごくホッとした表情だった。珍しく父親らしい顔だな。久しぶりに見た。


 「では失礼します。」



 俺とヨシュアはお風呂に入ってから部屋に戻った。


 「あー、カイン。そういや報告書っていつ書いたんだ?」


 「ん?ヨシュアが俺とアルエットを背負ってケバブの店まで走り抜けてたあの時に、お前の背中を台替わりにして書いた。」


 「書きにくくなかった?」


 「砂利の上よりはそれなりにマシだった。」


 「砂利の上で書いたことあるって・・・お前の経験、凄えよな。」


 「普通だ普通。」




 一方その頃ベガの執務室。


 「さて、珍しくアイツ達が子どもらしいモノを書いてくれたんだ。読むのが楽しみだ。」


 報告書を感想文的な内容で期待して、腕をわきわきさせていた。




 その日の夜、内容がガチすぎて子どもたち抜きで家族会議が行われたことを、カインたちは知らない。

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