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第一話 産まれたよ、出会ったよ、お前そこかよ。


 気がついたらなんか清潔感のある天井だな。…んで俺を抱えて笑ってるのはめちゃめちゃそそる金髪の綺麗なお姉様だよ、でもこの人おかんになるの、クソっ、理性でそそっても本能的にそそらなければ手は出せんな。これが血縁パワーか。

 おかんの綺麗な鎖骨の下にある豊かなアレに俺は手を伸ばす。合法的に揉んでやる。うわぁ、赤ちゃんらしく丸っこくてちびっこい手だよ、大人の手と勝手が違うからか揉み心地がリビドーじゃなくて安心感だよ。この身体がこいつは俺の母親だって本能レベルで刻まれてるよ。これじゃあ『・・・良いッ』とかそういうのがわかんねえよ。


 ・・・まぁいいや、そんなことよりも隣が気になる。隣のベッドには真っ赤な髪の美しい女性が別の赤ん坊を抱いている。めちゃめちゃ泣き喚いてんな。元気の証じゃん。


 元気?パワー?・・・まさかな。


 もしあいつがそうだとしても、今は俺もお前もリアルにおぎゃることしかできないから質問もできないし答えることもできねえな。・・・あれ?確認方法ミスったか?


 んなことを考えながら呼吸も兼ねておぎゃおぎゃ喚いていると、扉の開く音がした。青髪のイケメンマッチョなイケメンだ。ワンチャンあれが今世の親父だと思うと『うわイケメンかよ』って一瞬思ったのはすまん、前世に問い合わせてくれ。

 どうやら俺とあっちの赤ん坊を見てるようだ。


 んで、今更だが彼らの言葉、なーんにもわからん。英語でもないしフランス語でもない、ドイツっぽくもない。全部前世の祖父がペラペラだった言語だからなんとなしに覚えているが、どれもイントネーションからしてまず違う。口の表情筋的には発声は日本語に近そうだな。・・・じゃあすぐ覚えられるか。



 そこから色々あった。前世の姿だったならば俗に言う『リアル赤ちゃんプレイ』だった。


 ただオギャるだけではなく丸一日あらゆるお世話をされるのだ。だからリアル赤ちゃんプレイみたいなもんだ。


 ・・・しかし産まれた場所はどうやら実家らしい。そしたら隣のこいつと真っ赤な髪のおねいさんはマジで何者なんだ。わからん。


 ちなみに件のもう一人の赤ん坊は俺の隣で悠々自適に寝てやがる。まるで俺が迎えに行ってインターホンを押してヤツの弟くんに案内されて叩き起こしに行ってるいつものあの様子にそっくりな感じで寝てやがる。なんかこいつ、違ったら申し訳ないけど、あいつっぽいんだよなぁ。




 更に一年経ち、色々わかったことがある。


 俺の名前はカイン・レグラス・ルシェルフォン。所謂貴族、それも辺境伯、俺には貴族の中でも一番異世界転生モノのラノベとかで自由度が高くて作者が考える展開で楽できそうな地位の貴族って印象がある。かと言って公爵とか侯爵とか伯爵とかは領地経営とかズブズブの癒着とかありそうでめんどくさそうだからそういうのは辺境伯で良かったなとは思う。・・・辺境伯でも全くないとは思えんが。


 貴族になった理由は、ルシェルフォンさんっていう先祖の方が昔々の戦争を民の意志をまとめ上げ、闘う中核として多大なる功績を残したかららしい。


 ちなみに上にカーネルという兄が一人いるので俺は跡継ぎにはならなくて良い。カーネルとはまさに人の上に立ちそうな名前だな。俺はとてもそう思う。軍団の名前はチームオブカーネルでよろしく。・・・まあそれは置いといて、長男じゃないって良いよね、前世ではそれが重くのしかかってたから凄く助かる。


 そして件のずっと隣りにいたコイツ。名前をヨシュア・ラグナス・ルシェルフォン。どうやら全く同じ日に産まれた腹違いの兄弟らしい。どっちが兄かって?タッチの差で俺らしいぞ。


 妻が二人ってのもこの世界の貴族では割と当たり前らしい、寧ろ辺境伯で二人は少ないらしい。ちなみに正妻は俺の母親、名前はどうやらセリスさんらしい。ヨシュアの母親は所謂側室で、名前はクリスティーナさん。俺は名前の組み合わせで少しワクワクした。全てスーファミのあのソフトが悪い。ちなみに青髪の父親の名前はロックじゃなくてベガだった。


 ・・・一番なんでそこなんだよって所を絶妙に突くなよ…。

 もっと色々あったろ、ブルースとかバーニィとかロックとか、せめてマッシュでもよかった。どっちにもいるし。

 ・・・なんでベガなのかなぁ。腕組んで後ろの方に立ってたら『ベガ立ち』って言ってやる。決定事項だ。


 そんなところで話を戻すが、この腹違いの弟、基本的にずっと寝てやがる。お互いにガッツリ乳児なのもあってあまり会話をすることもない。


 だがアホみたいにあいつと重なって見えるからな、もう俺から質問してやる。


 『ヨシュア、あなたにとって筋肉とは?』


 『筋肉とはッ!全てを司り、全てを解決することができる、己の中に共存する最高の芸術であり、最強の矛であり、盾だッ!!』


 ・・・あぁ。確信に変わったよ。


 『おい、俺だ義也、海崎だ。』


 ・・・どうやら俺は前世の親友と腹違いの兄弟になったらしい。



 ・・・なんかすげえイヤだな!!すぐ会える?秒じゃねえか!てか別れてもねえじゃねえか!!ずっと一緒だったじゃん!!今までもこんなに一緒だったことないぞ!?


 神からのプレゼントは、サプライズというよりはドッキリだった。

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