醜悪いとかげ
「みにくいとかげ」です。
唇のないのっぺらぼうが吐いた
ことばに胸を痛めてやるもんか
つまるところは つまらぬ意地を押し通し
肩肘ぺたりと はりつけ 生きるだけ
翼 はためく翼
ないものねだりなら
この背中からは
ひれかとげをはやそう
まだ あんたなしじゃ
まだ さみしい夜をもう 壁にあずけぬように
天狗づらした 魔女の鼻をあかせば
鵺の縫い目にゃ 糸切り鋏を
くだるさきには くだらぬ場所と決めつけて
肩肘ぎらりと とがらせ おれはゆく
鱗 覆うは鱗
あるものだのみなら
このすがた まるで
醜悪いとかげのよう
まだ 切れたしっぽに
まだ 尾を引く未練でも 根元で深く断て
綺麗なとかげも、いるよね。