第九章④ 話が急転直下すぎて主人公だけどついていけない…
「魔力封じですね」ケンジャが答えた。
「自分の中の魔力を封じ込め、使えないようにする術式です。きっと幼い頃に施されたので、気づけなかったのでしょう」
「じゃあ今の俺は、本来の魔力が戻ったってこと?」
「そうです」
「俺の魔力って、どれくらい大きいんだ?」
「人間を超えるレベルですね」
「すげえ!」
「私より大きいぞ」とルル。
あんなにスゴイと思っていたルル以上と言われ、俺はいい気になった。
「所詮お前も人間レベルということだな」
「いや、私は人間ではないのだが」ルルは真顔で答えた。
「いいって、そんな負け惜しみ」
「私は魔獣だぞ」
「は?」
「見せてあげてもよろしいんじゃなくて。もう最後なのだし」
ケンジャが言うと、ルルは頷いた。そしてピョンと跳ね、バク宙したかと思ったら、ルルが黒ネコになっていた。
「ネコ!」思わず叫んだ俺。それにしても、センスない悲鳴である。
「そう、ネコだ」
テーブルの上に着地したルルは、二股に分かれた尾をユラユラと動かしていた。
「ほら見ろ、尻尾が二股になっているだろ。魔獣の証だ。見たいなら本気の魔獣モードに変身してみせようか」
「ちょっと待ってくれ。お前が魔獣なのはわかった。だがなんで魔獣が俺の幼馴染なんだ? なんで街に住んでいる? ああ、ちょっと待て。混乱してきた……」
「それには私が答えましょう」
ケンジャがルルの頭を撫でた。ルルは気持ちよさそうに喉を鳴らした。
「ちょっと思い出話をしましょう。ほんの三百年前のお話をね……」




